北海道大学 1961年 理系 第3問 解説

方針・初手
- 「二次方程式が異符号の実数解をもつ」という条件は、判別式 $D$ の条件を考える必要がなく、「2解の積が負」のみで必要十分条件となる。解と係数の関係を用いて不等式を立てる。
- (2) は (1) で求めた $a$ の範囲において、解と係数の関係を利用し、$a$ の分数関数の最大値を求める問題に帰着する。分子の次数を下げてから、相加・相乗平均の関係や微分を用いて最大値を調べる。
解法1
(1)
与えられた方程式が $x$ に関する二次方程式であるから、$x^2$ の係数について、 $$ a+2 \neq 0 \iff a \neq -2 $$ である。この二次方程式が異符号の実数解をもつための条件は、解と係数の関係より、2つの解の積が負となることである。 $$ \alpha\beta = \frac{-(a^2-1)}{a+2} < 0 $$
$$ \frac{a^2-1}{a+2} > 0 $$
両辺に $(a+2)^2 > 0$ を掛けると、 $$ (a^2-1)(a+2) > 0 $$
$$ (a+1)(a-1)(a+2) > 0 $$
これを解くと、 $$ -2 < a < -1, \quad 1 < a $$ となり、これは $a \neq -2$ を満たす。
(2)
解と係数の関係より、 $$ \alpha+\beta = \frac{2(a-1)}{a+2} $$ であるから、求める式を $f(a)$ とおくと、 $$ \begin{aligned} f(a) &= \alpha\beta+2(\alpha+\beta) \\ &= \frac{-(a^2-1)}{a+2} + 2 \cdot \frac{2(a-1)}{a+2} \\ &= \frac{-a^2+1+4a-4}{a+2} \\ &= \frac{-a^2+4a-3}{a+2} \end{aligned} $$
分子を分母 $a+2$ で割って式を変形する。 $$ \begin{aligned} -a^2+4a-3 &= -(a^2+4a+4) + 8a + 1 \\ &= -(a+2)^2 + 8(a+2) - 15 \end{aligned} $$
よって、$f(a)$ は次のように変形できる。 $$ f(a) = -(a+2) + 8 - \frac{15}{a+2} $$
(1) で求めた範囲において $f(a)$ の最大値を考える。
(i) $a > 1$ のとき
$a+2 > 3 > 0$ であり、相加・相乗平均の関係より、 $$ (a+2) + \frac{15}{a+2} \geqq 2\sqrt{(a+2) \cdot \frac{15}{a+2}} = 2\sqrt{15} $$
したがって、 $$ f(a) = 8 - \left\{ (a+2) + \frac{15}{a+2} \right\} \leqq 8 - 2\sqrt{15} $$
等号が成立するのは、$a+2 = \frac{15}{a+2}$ すなわち $(a+2)^2 = 15$ のときである。 $a+2 > 0$ より $a+2 = \sqrt{15}$ であり、$a = \sqrt{15}-2$ となる。 $3 < \sqrt{15} < 4$ より $1 < \sqrt{15}-2 < 2$ であるから、この $a$ の値は $a > 1$ を満たす。 よって、この範囲での最大値は $8 - 2\sqrt{15}$ である。
(ii) $-2 < a < -1$ のとき
$0 < a+2 < 1$ である。$t = a+2$ とおくと、$0 < t < 1$ であり、 $$ f(a) = -t - \frac{15}{t} + 8 $$ これを $g(t)$ とおく。 $$ g'(t) = -1 + \frac{15}{t^2} = \frac{15-t^2}{t^2} $$
$0 < t < 1$ において $g'(t) > 0$ であるから、$g(t)$ は単調増加する。 $t \to 1-0$ のとき $g(t) \to g(1) = -1 - 15 + 8 = -8$ であるから、この範囲で $f(a) < -8$ を満たす。
(i), (ii) より、$8 - 2\sqrt{15} > 8 - 2 \cdot 4 = 0 > -8$ であるから、$f(a)$ の最大値は $8 - 2\sqrt{15}$ である。
解法2
(1) は解法1と共通。(2) における $f(a)$ の最大値を微分を用いて求める。
(2)
解法1と同様にして、 $$ f(a) = \frac{-a^2+4a-3}{a+2} $$ を得る。これを $a$ について微分すると、商の微分法より、 $$ \begin{aligned} f'(a) &= \frac{(-2a+4)(a+2) - (-a^2+4a-3) \cdot 1}{(a+2)^2} \\ &= \frac{-2a^2+8 - (-a^2+4a-3)}{(a+2)^2} \\ &= \frac{-a^2-4a+11}{(a+2)^2} \end{aligned} $$
$f'(a) = 0$ となる $a$ の値を求めると、$-a^2-4a+11 = 0$ より、 $$ a = -2 \pm \sqrt{15} $$
(1) より定義域は $-2 < a < -1$ および $a > 1$ である。 $3 < \sqrt{15} < 4$ であるから、$-6 < -2-\sqrt{15} < -5$ および $1 < -2+\sqrt{15} < 2$ となる。 したがって、定義域に含まれるのは $a = -2+\sqrt{15}$ のみである。
定義域における $f(a)$ の増減表は以下のようになる。
| $a$ | $(-2)$ | $\cdots$ | $(-1)$ | $\cdots$ | $(1)$ | $\cdots$ | $-2+\sqrt{15}$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $f'(a)$ | $+$ | $+$ | $0$ | $-$ | ||||
| $f(a)$ | $\nearrow$ | $(-8)$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ |
$a \to -2+0$ のとき $f(a) \to -\infty$ であり、$a = -1$ のとき $f(-1) = \frac{-1-4-3}{1} = -8$ である。したがって、$-2 < a < -1$ の範囲では $f(a) < -8$ である。
また、$a > 1$ の範囲では、$a = -2+\sqrt{15}$ のときに極大かつ最大となる。 このときの最大値は、$-a^2-4a+11 = 0$ を用いて次数下げを行うと計算しやすい。 $-a^2+4a-3 = (-a^2-4a+11) + 8a - 14$ より、$a = -2+\sqrt{15}$ のとき分子は $8(-2+\sqrt{15}) - 14 = 8\sqrt{15} - 30$ となる。 分母は $a+2 = \sqrt{15}$ であるから、 $$ f(-2+\sqrt{15}) = \frac{8\sqrt{15} - 30}{\sqrt{15}} = 8 - 2\sqrt{15} $$
$-2 < a < -1$ での値は負であるから、全体としての最大値は $8 - 2\sqrt{15}$ である。
解説
- 「二次方程式が異符号の実数解をもつ」という条件について、判別式 $D > 0$ を同時に考える必要はない。2解の積 $\alpha\beta < 0$ であれば、解と係数の関係から自動的に $D > 0$ が満たされるためである。
- 分数関数の最大・最小問題では、「分子の次数 $\geqq$ 分母の次数」の場合に分子を分母で割って次数を下げるのが定石である。これにより、相加・相乗平均の関係が使える形に持ち込みやすくなる。
- 相加・相乗平均の関係を用いる際は、項が正であることの確認と、等号成立条件が与えられた定義域内に存在することの確認を必ず記述する必要がある。
答え
(1) $-2 < a < -1, \quad 1 < a$
(2) $8 - 2\sqrt{15}$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











