北海道大学 1989年 理系 第1問 解説

方針・初手
球面 $S$ と原点 $O$ を通る直線が接するとき、その接点 $P(x, y, z)$ が満たすべき条件を立式し、軌跡 $A$ を表す方程式を求める。 接点 $P$ において、直線 $OP$ と球面 $S$ の中心 $C$ を結ぶ直線 $CP$ が直交することを利用するか、三平方の定理を用いて線分 $OP$ の長さを求めて立式する。 得られた軌跡 $A$ の関係式から、不要な文字を消去することで各座標平面への正射影を求める。その際、消去する文字が実数として存在するための条件を忘れないようにする。
解法1
球面 $S: (x-2)^2 + y^2 + (z-1)^2 = 4$ の中心を $C(2, 0, 1)$、半径を $r=2$ とする。 接点の座標を $P(x, y, z)$ とおく。 直線 $OP$ は点 $P$ において球面 $S$ に接するため、$\vec{OP} \perp \vec{CP}$ である。 したがって、$\vec{OP} \cdot \vec{CP} = 0$ が成り立つ。
$$ x(x-2) + y(y-0) + z(z-1) = 0 $$
整理すると、
$$ x^2 - 2x + y^2 + z^2 - z = 0 $$
これを①とする。 また、点 $P$ は球面 $S$ 上の点であるから、
$$ (x-2)^2 + y^2 + (z-1)^2 = 4 $$
展開して整理すると、
$$ x^2 - 4x + y^2 + z^2 - 2z + 1 = 0 $$
これを②とする。 軌跡 $A$ は、①かつ②を満たす点の集合である。 ①から②を辺々引くと、
$$ 2x + z - 1 = 0 \iff z = -2x + 1 $$
これを③とする。軌跡 $A$ は曲面①(または②)と平面③の交線である。
(i) $xy$ 平面への正射影 $A'$ について
軌跡 $A$ を表す式から $z$ を消去する。 ③を①に代入して、
$$ x^2 - 2x + y^2 + (-2x + 1)^2 - (-2x + 1) = 0 $$
展開して整理すると、
$$ x^2 - 2x + y^2 + 4x^2 - 4x + 1 + 2x - 1 = 0 $$
$$ 5x^2 - 4x + y^2 = 0 $$
平方完成すると、
$$ 5 \left( x - \frac{2}{5} \right)^2 + y^2 = \frac{4}{5} $$
両辺を $\frac{4}{5}$ で割ると、
$$ \frac{\left( x - \frac{2}{5} \right)^2}{\frac{4}{25}} + \frac{y^2}{\frac{4}{5}} = 1 $$
これは $xy$ 平面上において、中心が $\left( \frac{2}{5}, 0 \right)$ の楕円を表す。 $x, y$ に対して対応する実数 $z$ が必ず一つ定まる(③による)ため、これが正射影 $A'$ 全体となる。
(ii) $xz$ 平面への正射影 $A''$ について
軌跡 $A$ は③の平面上にあり、正射影 $A''$ は直線 $z = -2x + 1$ 上にあるが、$y$ 座標が実数として存在するための条件から $x$ に制限がつく。 $A'$ の方程式 $5x^2 - 4x + y^2 = 0$ より、
$$ y^2 = -5x^2 + 4x $$
$y$ は実数であるから、$y^2 \ge 0$ が成り立つ。
$$ -5x^2 + 4x \ge 0 $$
$$ x(5x - 4) \le 0 $$
よって、$x$ の取り得る範囲は
$$ 0 \le x \le \frac{4}{5} $$
このとき、$z$ の取り得る範囲は $z = -2x + 1$ より、
$$ -\frac{3}{5} \le z \le 1 $$
したがって、$A''$ は $xz$ 平面上の線分 $z = -2x + 1 \quad \left( 0 \le x \le \frac{4}{5} \right)$ となる。
解法2
球面 $S: (x-2)^2 + y^2 + (z-1)^2 = 4$ の中心を $C(2, 0, 1)$、半径を $r=2$ とする。 接点の座標を $P(x, y, z)$ とおく。 直角三角形 $\text{OPC}$ において、三平方の定理より
$$ |\vec{OP}|^2 = |\vec{OC}|^2 - |\vec{CP}|^2 $$
ここで、$|\vec{OC}|^2 = 2^2 + 0^2 + 1^2 = 5$ であり、接点であるから $|\vec{CP}| = r = 2$ である。 したがって、
$$ |\vec{OP}|^2 = 5 - 4 = 1 $$
よって、接点 $P$ は原点 $O$ を中心とする半径 $1$ の球面上にある。
$$ x^2 + y^2 + z^2 = 1 \quad \cdots \text{④} $$
また、点 $P$ は球面 $S$ 上の点でもあるから、
$$ x^2 + y^2 + z^2 - 4x - 2z + 1 = 0 \quad \cdots \text{⑤} $$
④を⑤に代入すると、
$$ 1 - 4x - 2z + 1 = 0 $$
$$ z = -2x + 1 \quad \cdots \text{⑥} $$
軌跡 $A$ は、④の球面と⑥の平面の交線(円)である。
(i) $xy$ 平面への正射影 $A'$ について
④と⑥から $z$ を消去する。 ⑥を④に代入して、
$$ x^2 + y^2 + (-2x + 1)^2 = 1 $$
$$ 5x^2 - 4x + y^2 = 0 $$
変形すると、
$$ \frac{\left( x - \frac{2}{5} \right)^2}{\frac{4}{25}} + \frac{y^2}{\frac{4}{5}} = 1 $$
これが $xy$ 平面への正射影 $A'$ の方程式である。
(ii) $xz$ 平面への正射影 $A''$ について
軌跡 $A$ は⑥の平面上の曲線であるから、$xz$ 平面への正射影は直線 $z = -2x + 1$ に含まれる。 ④より、$y^2 = 1 - x^2 - z^2$ であり、$y$ が実数として存在するための条件は
$$ 1 - x^2 - z^2 \ge 0 $$
これに⑥を代入して、
$$ 1 - x^2 - (-2x + 1)^2 \ge 0 $$
$$ -5x^2 + 4x \ge 0 $$
$$ 0 \le x \le \frac{4}{5} $$
したがって、$A''$ は $xz$ 平面上の線分 $z = -2x + 1 \quad \left( 0 \le x \le \frac{4}{5} \right)$ である。
解説
空間内の曲線を各座標平面へ正射影する典型問題である。 空間曲線は「2つの曲面(または平面)の交わり」として連立方程式で表される。 ある平面への正射影を求めるには、その平面の軸以外の文字を消去すればよい(たとえば $xy$ 平面への正射影なら $z$ を消去する)。 この際、消去する文字が実数として存在する条件を確認することが極めて重要である。本問の $xz$ 平面への正射影では、$y^2 \ge 0$ から $x$ の定義域が制限され、直線全体ではなく線分となる点に注意したい。 また、軌跡 $A$ を立式する際、解法2のように幾何学的な位置関係から「原点を中心とする球面との交線」であることを見抜けると、計算量が大幅に削減され見通しが良くなる。
答え
$A'$ は $xy$ 平面上の楕円であり、その方程式は $$ 5x^2 - 4x + y^2 = 0 \quad \left( または \frac{\left( x - \frac{2}{5} \right)^2}{\frac{4}{25}} + \frac{y^2}{\frac{4}{5}} = 1 \right) $$ 図示する際は、$xy$ 平面上において中心が $\left( \frac{2}{5}, 0 \right)$、長軸が $y$ 軸に平行で長さが $\frac{4}{\sqrt{5}}$、短軸が $x$ 軸に平行で長さが $\frac{4}{5}$ となり、原点を通る楕円を描く。
$A''$ は $xz$ 平面上の線分であり、その方程式は $$ z = -2x + 1 \quad \left( 0 \le x \le \frac{4}{5} \right) $$ 図示する際は、$xz$ 平面上において、2点 $(0, 1)$ と $\left( \frac{4}{5}, -\frac{3}{5} \right)$ を結ぶ線分を描く。
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