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東京大学 1973年 理系 第1問 解説

数学1/立体図形数学C/空間ベクトルテーマ/空間図形テーマ/軌跡・領域テーマ/最大・最小
東京大学 1973年 理系 第1問 解説

方針・初手

点 $N$ を座標空間の $z$ 軸上にとり、点 $P$ の円運動を座標またはベクトルで表すことが第一歩である。 最大のポイントは「不透明な球面 $S$ により、点 $N$ から点 $P$ が見える条件」を数式に翻訳することである。点 $N$ から引いた線分 $NP$ が、球面 $S$ の内部を通らない条件を立式し、点 $P$ の満たすべき座標の条件を導く。

解法1

空間に直交座標系 $O-xyz$ を定め、球面 $S$ の中心を原点 $O(0,0,0)$、点 $N$ の座標を $(0,0,a)$ とする。 球面 $S$ は不等式 $x^2 + y^2 + z^2 \le a^2$ の表す領域(境界および内部)である。

点 $P(X, Y, Z)$ が点 $N$ から見える条件は、線分 $NP$ が点 $N$ 以外で球面 $S$ の内部を通らないことである。 線分 $NP$ 上の点は、媒介変数 $s \ (0 < s \le 1)$ を用いて

$$ (sX, sY, a + s(Z-a)) $$

と表せる。これが球面 $S$ の内部に入らない条件は

$$ (sX)^2 + (sY)^2 + (a + s(Z-a))^2 \ge a^2 $$

が $0 < s \le 1$ で常に成り立つことである。左辺を展開して整理すると

$$ s^2(X^2 + Y^2 + Z^2 - 2aZ + a^2) + 2as(Z-a) \ge 0 $$

となる。点 $P$ は原点 $O$ を中心とする半径 $4a$ の円周上にあるため、$X^2 + Y^2 + Z^2 = 16a^2$ である。これを代入し、両辺を $s \ (>0)$ で割ると

$$ s(17a^2 - 2aZ) + 2a(Z-a) \ge 0 $$

これが $0 < s \le 1$ のすべての $s$ に対して成り立つ必要がある。$s$ についての一次関数であり、$s=1$ のときは $15a^2 \ge 0$ となり常に正である。したがって、極限 $s \to +0$ のときに非負であればよく、

$$ 2a(Z-a) \ge 0 \iff Z \ge a $$

が「点 $P$ が見える条件」となる。

次に、点 $P$ の軌跡を座標で表す。 点 $P$ が運動する平面 $\alpha$ は、原点 $O$ を通り、$z$ 軸(線分 $ON$)と $\frac{\pi}{3}$ の角をなす。 このような平面上の点を表すため、$\alpha$ 上で互いに直交する2つの単位ベクトル $\vec{u}, \vec{v}$ をとる。 $\vec{u}$ を $z$ 軸と $\frac{\pi}{3}$ の角をなすベクトルとし、$\vec{v}$ を $xy$ 平面に平行なベクトルとすると、

$$ \vec{u} = \left(-\frac{\sqrt{3}}{2}, 0, \frac{1}{2}\right), \quad \vec{v} = (0, 1, 0) $$

のように設定できる。点 $P$ は $O$ を中心とする半径 $4a$ の等速円運動をするため、時刻 $t$ における角変位を $\theta = \frac{\pi}{12}t + \theta_0$ として、位置ベクトルは

$$ \vec{OP} = 4a(\cos\theta \vec{u} + \sin\theta \vec{v}) = (-2\sqrt{3}a\cos\theta, \ 4a\sin\theta, \ 2a\cos\theta) $$

と表せる。

点 $P$ が見える条件 $Z \ge a$ より

$$ 2a\cos\theta \ge a \iff \cos\theta \ge \frac{1}{2} $$

これを満たす $\theta$ の範囲は $-\frac{\pi}{3} + 2m\pi \le \theta \le \frac{\pi}{3} + 2m\pi$ ($m$ は整数) である。 連続して見えつづける $\theta$ の区間の幅は $\frac{2\pi}{3}$ であり、角速度は毎秒 $\frac{\pi}{12}$ であるから、見えつづける時間は

$$ \frac{\frac{2\pi}{3}}{\frac{\pi}{12}} = 8 \ (\text{秒}) $$

となる。

また、線分 $NP$ の長さの2乗は

$$ \overline{NP}^2 = X^2 + Y^2 + (Z-a)^2 = X^2 + Y^2 + Z^2 - 2aZ + a^2 $$

$$ \overline{NP}^2 = 16a^2 - 2a(2a\cos\theta) + a^2 = 17a^2 - 4a^2\cos\theta $$

点 $P$ が見えている間、$\cos\theta$ のとりうる値の範囲は $\frac{1}{2} \le \cos\theta \le 1$ である。 したがって、 $\cos\theta = \frac{1}{2}$ のとき、$\overline{NP}^2$ は最大値 $15a^2$ をとる。 $\cos\theta = 1$ のとき、$\overline{NP}^2$ は最小値 $13a^2$ をとる。

解説

「不透明な球面により見えなくなる」という条件を、数式に正しく翻訳できるかが最大の難所である。 直感的には「球の接平面より下に行くと、球自身が邪魔で見えなくなる」と判断できるが、解答では線分 $NP$ が球の内部($x^2+y^2+z^2 < a^2$)に入らない条件として厳密に不等式を立てるのが確実である。 また、円運動の平面をパラメータ表示する際、座標軸をうまく設定して点 $P$ の $z$ 座標だけを抽出できれば、計算量を大幅に減らすことができる。

答え

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