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北海道大学 1994年 理系 第2問 解説

数学1/立体図形数学C/空間ベクトルテーマ/空間図形テーマ/最大・最小
北海道大学 1994年 理系 第2問 解説

方針・初手

(1) 点 $P$ が球 $S$ 上にあるという条件から関係式を立て、平面の方程式をシンプルにします。その後、空間における点と平面の距離の公式を適用します。

(2) (1) の結果から $d(P) = r$ を満たす点 $P$ の軌跡が、ある2つの平面と球 $S$ の交線として表されることを読み取ります。「全体が1つの円となる」ための図形的な条件(球と平面の距離)に帰着させます。

解法1

(1) 点 $P(a, b, c)$ は球 $S: x^2 + y^2 + z^2 = 1$ 上にあるため、次の関係式が成り立ちます。

$$ a^2 + b^2 + c^2 = 1 $$

与えられた平面の方程式を展開します。

$$ ax - a^2 + by - b^2 + cz - c^2 = 0 $$

$$ ax + by + cz - (a^2 + b^2 + c^2) = 0 $$

先ほどの関係式を代入すると、平面の方程式は次のように整理できます。

$$ ax + by + cz - 1 = 0 $$

この平面と点 $(2, 1, 1)$ との距離 $d(P)$ は、点と平面の距離の公式より以下のようになります。

$$ d(P) = \frac{|2a + 1 \cdot b + 1 \cdot c - 1|}{\sqrt{a^2 + b^2 + c^2}} $$

分母に $a^2 + b^2 + c^2 = 1$ を代入して整理します。

$$ d(P) = |2a + b + c - 1| $$

(2) 球 $S$ 上の点 $P$ の座標 $(a, b, c)$ を変数 $(x, y, z)$ とみなして考えます。点 $P$ は球 $S$ 上の点なので、$x^2 + y^2 + z^2 = 1$ を満たします。 条件 $d(P) = r$ より、以下の式が成り立ちます。

$$ |2x + y + z - 1| = r $$

これは、点 $P$ が次の2つの平面 $\alpha, \beta$ のいずれかの上にあることを意味します。

$$ \begin{cases} \alpha: 2x + y + z - (1 + r) = 0 \\ \beta: 2x + y + z - (1 - r) = 0 \end{cases} $$

つまり、条件を満たす点 $P$ 全体の集合は、「球 $S$ と平面 $\alpha$ の共通部分」と「球 $S$ と平面 $\beta$ の共通部分」を合わせた図形になります。 $r > 0$ であるため、$1 + r \neq 1 - r$ となり、平面 $\alpha$ と平面 $\beta$ は互いに平行で異なる平面です。したがって、これらが球 $S$ 上に作る図形が互いに交わることはありません。

この図形全体が「1つの円となる」ための条件は、平面 $\alpha, \beta$ の一方が球 $S$ と交わって円(半径が正の円)を作り、もう一方が球 $S$ と共有点を持たない(交わらない)ことです。 (※平面が球に接する場合は共通部分が1点となり、図形全体が「円と点」となってしまうため不適です。)

球の中心(原点)と平面 $\alpha, \beta$ との距離をそれぞれ $d_\alpha, d_\beta$ とすると、球 $S$ の半径は $1$ なので、交わって円を作る条件は距離が $1$ 未満、共有点を持たない条件は距離が $1$ より大きいことになります。

点と平面の距離の公式より、$d_\alpha$ と $d_\beta$ を求めます。$r > 0$ より $r + 1 > 0$ であることに注意します。

$$ d_\alpha = \frac{|-(1 + r)|}{\sqrt{2^2 + 1^2 + 1^2}} = \frac{r + 1}{\sqrt{6}} $$

$$ d_\beta = \frac{|-(1 - r)|}{\sqrt{6}} = \frac{|r - 1|}{\sqrt{6}} $$

条件を満たすのは、以下の (i) または (ii) のいずれかが成り立つ場合です。

(i) 平面 $\alpha$ が円を作り、平面 $\beta$ が交わらない場合 すなわち、$d_\alpha < 1$ かつ $d_\beta > 1$ です。

$$ \frac{r + 1}{\sqrt{6}} < 1 \iff r < \sqrt{6} - 1 $$

$$ \frac{|r - 1|}{\sqrt{6}} > 1 \iff |r - 1| > \sqrt{6} \iff r < 1 - \sqrt{6} \text{ または } r > 1 + \sqrt{6} $$

これらを同時に満たす正の数 $r$ は存在しません。

(ii) 平面 $\beta$ が円を作り、平面 $\alpha$ が交わらない場合 すなわち、$d_\beta < 1$ かつ $d_\alpha > 1$ です。

$$ \frac{|r - 1|}{\sqrt{6}} < 1 \iff -\sqrt{6} < r - 1 < \sqrt{6} \iff 1 - \sqrt{6} < r < 1 + \sqrt{6} $$

$$ \frac{r + 1}{\sqrt{6}} > 1 \iff r + 1 > \sqrt{6} \iff r > \sqrt{6} - 1 $$

これらを同時に満たす範囲を求めます。$\sqrt{6} - 1 > 1 - \sqrt{6}$ であるため、共通範囲は次のようになります。

$$ \sqrt{6} - 1 < r < \sqrt{6} + 1 $$

このとき $\sqrt{6} > 2$ より $\sqrt{6} - 1 > 0$ であるため、正の数 $r$ という条件も満たします。

解説

絶対値を含む方程式 $|X| = r$ を $X = r$ と $X = -r$ の2つの平面に分解し、図形的に考察する空間図形の典型問題です。 「全体が1つの円になる」という表現の解釈が最大のポイントです。絶対値から導かれる2つの平面がそれぞれ球とどのような位置関係になればよいかを考え、中心からの距離と球の半径の大小比較に持ち込むことで、すっきりと不等式の問題に帰着できます。接する場合(距離が1)は「円」ではなく「点」になるため、境界を含まない不等式を立てることに注意が必要です。

答え

(1) $$ d(P) = |2a + b + c - 1| $$

(2) $$ \sqrt{6} - 1 < r < \sqrt{6} + 1 $$

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