北海道大学 2000年 理系 第2問 解説

注意 画像(2)の冒頭に「3点 $P_0P_1, P_kP_{k+1}, P_lP_{l+1}$」とありますが、記号の構成および幾何的な文脈から「3直線(あるいは3辺) $P_0P_1, P_kP_{k+1}, P_lP_{l+1}$」の誤記と判断し、以下解答解説を作成します。
方針・初手
(1) 正多角形の各辺の「方向」に注目します。頂点を進むごとの方向ベクトルの回転角(外角)を足し合わせることで、2直線のなす角を求めるのが最も簡潔です。あるいは、正多角形が円に内接することを利用し、外接円と割線のなす角の性質からアプローチすることもできます。
(2) (1) の結果を利用して、3直線が作る三角形の3つの内角を求めます。それらがすべて鋭角($\frac{\pi}{2}$ 未満)となるような $k, l$ の条件を立式し、条件を満たす自然数の組を数え上げます。
解法1
(1)
正 $4n$ 角形の1つの外角の大きさは $\frac{2\pi}{4n} = \frac{\pi}{2n}$ である。
多角形の周上を $P_0$ から反時計回りに進むとする。辺 $P_0 P_1$ を含む直線から辺 $P_k P_{k+1}$ を含む直線に至るまでに、頂点 $P_1, P_2, \dots, P_k$ においてそれぞれ $\frac{\pi}{2n}$ ずつ進行方向が回転する。
回転する回数は $k$ 回であるから、辺 $P_0 P_1$ の方向ベクトルを $\vec{v_0}$、辺 $P_k P_{k+1}$ の方向ベクトルを $\vec{v_k}$ とすると、$\vec{v_0}$ から $\vec{v_k}$ への回転角は $\frac{k\pi}{2n}$ である。
問題の図のように、直線 $P_0P_1$ と直線 $P_kP_{k+1}$ を延長してできる三角形の頂点 $Q_k$ において、この回転角は三角形の外角に相当する。したがって、求める内角 $\angle P_0 Q_k P_{k+1}$ は、
$$ \pi - \frac{k\pi}{2n} $$
である。
(2)
(1) と同様に考えると、3直線 $P_0P_1$, $P_kP_{k+1}$, $P_lP_{l+1}$ を延長してできる三角形の3つの内角は、多角形の辺に沿った各区間の回転角(外角)から求められる。それぞれの区間での回転角は以下のようになる。
- 辺 $P_0P_1$ から辺 $P_kP_{k+1}$ まで:$\frac{k\pi}{2n}$
- 辺 $P_kP_{k+1}$ から辺 $P_lP_{l+1}$ まで:$\frac{(l-k)\pi}{2n}$
- 辺 $P_lP_{l+1}$ から辺 $P_0P_1$ まで:$\frac{(4n-l)\pi}{2n}$
これらが、作られる三角形の3つの外角となるため、対応する3つの内角はそれぞれ以下のように表される。
$$ \pi - \frac{k\pi}{2n}, \quad \pi - \frac{(l-k)\pi}{2n}, \quad \pi - \frac{(4n-l)\pi}{2n} $$
この三角形が鋭角三角形となる条件は、これら3つの内角がすべて $\frac{\pi}{2}$ より小さくなることである。したがって、以下の連立不等式が成り立つ。
$$ \begin{cases} \pi - \frac{k\pi}{2n} < \frac{\pi}{2} \\ \pi - \frac{(l-k)\pi}{2n} < \frac{\pi}{2} \\ \pi - \frac{(4n-l)\pi}{2n} < \frac{\pi}{2} \end{cases} $$
整理すると、
$$ \begin{cases} k > n \\ l - k > n \\ 4n - l > n \end{cases} $$
すなわち、
$$ k + n < l < 3n \quad \cdots \text{①} $$
かつ $k > n$ である。
不等式①を満たす自然数 $l$ が存在するためには、
$$ k + n + 1 \le 3n - 1 \iff k \le 2n - 2 $$
が必要である。条件 $k > n$ とあわせると、$k$ のとりうる範囲は
$$ n + 1 \le k \le 2n - 2 $$
である。この範囲の各 $k$ に対して、①を満たす $l$ は $k+n+1$ から $3n-1$ までの自然数となるため、その個数は
$$ (3n - 1) - (k + n + 1) + 1 = 2n - k - 1 \text{ (個)} $$
存在する。これを満たす $(k, l)$ の組の総数は、
$$ \sum_{k=n+1}^{2n-2} (2n - k - 1) $$
ここで、$j = 2n - k - 1$ とおくと、$k$ が $n+1$ から $2n-2$ まで動くとき、$j$ は $n-2$ から $1$ まで動く。よって、
$$ \sum_{j=1}^{n-2} j = \frac{1}{2}(n-2)(n-1) $$
これは $n \ge 3$ のときに意味を持ち、この式から得られる値は $n=1, 2$ のときそれぞれ $0$ となり、条件を満たす組が存在しないことと一致する。以上より、求める組の数は $\frac{1}{2}(n-1)(n-2)$ 通りである。
解法2
(1) の別解
正 $4n$ 角形は外接円をもつ。その円周上の点は反時計回りに $P_0, P_1, \dots, P_{4n-1}$ と並んでいるとする。各辺に対応する円周の弧の中心角は $\frac{2\pi}{4n} = \frac{\pi}{2n}$ である。
直線 $P_0 P_1$ と直線 $P_k P_{k+1}$ はこの円の割線であり、交点 $Q_k$ は円の外部にある。図の位置関係より、2直線が交差して円の角 $\angle Q_k$ の内部に切り取る弧は、近い側の弧 $P_1 P_k$ と、遠い側の弧 $P_{k+1} \dots P_{4n-1} P_0$ である。
弧 $P_1 P_k$ は $k-1$ 個の辺に対応し、その中心角は $(k-1)\frac{\pi}{2n}$ である。
弧 $P_{k+1} \dots P_0$ は $4n - (k+1)$ 個の辺に対応し、その中心角は $(4n-k-1)\frac{\pi}{2n}$ である。
円外の点から引いた2本の割線のなす角は、それらが切り取る2つの弧の中心角の差の半分に等しいから、
$$ \begin{aligned} \angle P_0 Q_k P_{k+1} &= \frac{1}{2} \left\{ (4n-k-1)\frac{\pi}{2n} - (k-1)\frac{\pi}{2n} \right\} \\ &= \frac{1}{2} \left( 4n - 2k \right) \frac{\pi}{2n} \\ &= \frac{2n-k}{2n}\pi \\ &= \pi - \frac{k\pi}{2n} \end{aligned} $$
解説
この問題は、多角形の外角の性質とベクトル(進行方向の回転)の考え方を結びつけると、見通しよく解くことができます。(1) で図形的な意味を正確に捉えられれば、(2) は連立不等式を立てて等差数列の和を計算する問題に帰着します。
別解として示した「円周角の定理の応用(円の割線のなす角)」も、図形の性質を深く理解する上で有用なアプローチです。(2) の数え上げでは、$l$ が存在する条件から $k$ の上限を正確に絞り込むことが完答へのポイントになります。
答え
(1) $\pi - \frac{k\pi}{2n}$
(2) $\frac{1}{2}(n-1)(n-2)$ 通り
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