九州大学 1998年 理系 第2問 解説

方針・初手
円周を12等分する点を頂点とする三角形は、選んだ3点によって円周を3つの弧に分割する。この3つの弧の長さ(等分された1単位の弧がいくつ分か)の組合せに注目する。 弧の長さを $a, b, c$ とおくと、$a, b, c$ は自然数であり、$a+b+c=12$ を満たす。 正三角形、二等辺三角形、直角三角形、図形の合同といった幾何学的な条件を、この $a, b, c$ の方程式の条件に翻訳して考えるのが定石である。
解法1
(1)
正三角形になるのは、3つの弧の長さがすべて等しいときである。 すなわち、$a=b=c=4$ の場合である。 ある頂点を1つ固定すると、正三角形を作る残りの2点は一意に定まる。 頂点の選び方は12通りあるが、1つの正三角形につき頂点は3つあるため、それぞれの正三角形の頂点を始点として3回ずつ重複して数えることになる。 よって、正三角形の選び方の総数は
$$\frac{12}{3} = 4 \text{(通り)}$$
(2)
二等辺三角形になるのは、$a, b, c$ のうち少なくとも2つが等しいときである。 3つの頂点から成る三角形において、長さが等しい2つの辺に挟まれた頂点を「頂角の頂点」と呼ぶことにする。 頂角の頂点を1つ固定したとき、残りの2点の選び方を考える。 頂角から左右に伸びる弧の長さを $k$ とすると、もう1つの弧の長さは $12-2k$ となる。 $k$ と $12-2k$ は自然数であるから、$k \geqq 1$ かつ $12-2k \geqq 1$ より、$1 \leqq k \leqq 5$ となる。 すなわち、1つの頂点に対して、$k=1, 2, 3, 4, 5$ の5通りの二等辺三角形が存在する。
このうち、$k=4$ のときは3つの弧の長さが $4, 4, 4$ となり、正三角形となる。正三角形の場合、どの頂点も頂角とみなせるため、頂角の頂点を固定して数え上げると、同じ三角形を3回重複して数えてしまう。 一方、$k \neq 4$ のとき(4通り)は正三角形ではない二等辺三角形であり、頂角として選べる頂点は1つだけであるため、重複なく数えられる。
頂角の頂点の選び方は12通りあるので、正三角形でない二等辺三角形の個数は
$$12 \times 4 = 48 \text{(通り)}$$
これに (1) で求めた正三角形の個数を加えて、二等辺三角形の総数は
$$48 + 4 = 52 \text{(通り)}$$
(3)
円に内接する三角形が直角三角形になるための必要十分条件は、三角形のある1辺が外接円の直径となることである。 円周を12等分する点から2点を選んで作られる直径は、向かい合う点($A$ と $G$ など)を結んだ線分であり、全部で $\frac{12}{2} = 6$ 本ある。 この1本の直径(直角三角形の斜辺)に対して、直角の頂点となる残りの1点の選び方は、直径の両端以外の点を選べばよいので、$12 - 2 = 10$ 通りある。 よって、直角三角形の選び方の総数は
$$6 \times 10 = 60 \text{(通り)}$$
(4)
3点を選んで得られる三角形が互いに合同であることは、3つの弧の長さの組 $\{a, b, c\}$ が一致することと同値である。 したがって、互いに合同でない三角形の総数は、$a+b+c=12$ を満たす自然数 $a, b, c$ の組のうち、順序を区別しないものの個数に等しい。 重複を防ぐため、$a \leqq b \leqq c$ となるように $a, b, c$ の組を数え上げる。
$a=1$ のとき、$b+c=11$ であり、$(b, c) = (1, 10), (2, 9), (3, 8), (4, 7), (5, 6)$ の5通り。
$a=2$ のとき、$b+c=10$ であり、$2 \leqq b$ に注意すると、$(b, c) = (2, 8), (3, 7), (4, 6), (5, 5)$ の4通り。
$a=3$ のとき、$b+c=9$ であり、$3 \leqq b$ に注意すると、$(b, c) = (3, 6), (4, 5)$ の2通り。
$a=4$ のとき、$b+c=8$ であり、$4 \leqq b$ に注意すると、$(b, c) = (4, 4)$ の1通り。
$a \geqq 5$ のときは、$a+b+c \geqq 5+5+5=15$ となり、$a+b+c=12$ を満たさない。
したがって、互いに合同でない三角形の数は
$$5 + 4 + 2 + 1 = 12 \text{(個)}$$
解説
正多角形の頂点を選んで図形を作る問題は、場合の数や確率の分野における頻出テーマである。 本問のように、頂点によって分割される「弧の長さ(等分された弧の個数)」に着目することで、図形の対称性や合同条件を整数の不定方程式に帰着させることができる。
特に (2) の二等辺三角形の数え上げにおいては、正三角形が「3つの頂点すべてが頂角の条件を満たす」という特殊な性質を持つため、単に頂角を固定して掛け算するだけでは重複が生じてしまう。正三角形とそうでない二等辺三角形を明確に分けて計算するのが、数えすぎを防ぐ安全なアプローチである。
(4) の合同な図形の分類は、「自然数の分割」の問題に相当する。漏れなく重複なく数え上げるためには、解答のように $a \leqq b \leqq c$ と大小関係を固定して辞書式に書き出すのが最も確実である。
答え
(1) 4 通り (2) 52 通り (3) 60 通り (4) 12 個
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