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北海道大学 2008年 理系 第1問 解説

数学1/二次関数数学1/方程式不等式数学2/図形と式テーマ/最大・最小テーマ/二次曲線
北海道大学 2008年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1) 絶対値記号の中身である2次関数 $y = (x-\alpha)(x-\beta)$ のグラフの概形を考えます。この関数は $0 < x < 2$ の範囲で $x$ 軸と2回交わり、折り返されたグラフ $y = f(x)$ は、端点および極大点で最大値をとる可能性があります。最大値となる $x$ がちょうど3つ存在するという条件から、これら3つの候補地点すべてで同じ最大値をとることを立式します。

(2) 方程式 $f(x) - mx = 0$ を $f(x) = mx$ と変形し、$y=f(x)$ のグラフと原点を通る直線 $y=mx$ の共有点の個数を考えます。絶対値を外して $f(x)$ を3つの区間に分け、直線の傾き $m$ を変化させたときに、各区間で共有点がいくつ存在するかを方程式の解の配置問題として調べます。

解法1

(1)

関数 $f(x) = |(x-\alpha)(x-\beta)|$ のグラフは、下に凸の放物線 $y = (x-\alpha)(x-\beta)$ の $x$ 軸より下の部分を折り返した形である。 $0 < \alpha < \beta < 2$ であるから、区間 $0 \leqq x \leqq 2$ において $f(x)$ が極大値(および最大値の候補)をとる可能性がある $x$ の値は、$x = 0$、$x = 2$、および極大点 $x = \frac{\alpha+\beta}{2}$ の3箇所のみである。

区間 $0 \leqq x \leqq 2$ において $f(x) = M$ となる $x$ がちょうど3つあるための条件は、これら3箇所すべてで最大値 $M$ をとることである。すなわち、

$$ f(0) = f(2) = f\left(\frac{\alpha+\beta}{2}\right) = M $$

が成り立つことである。

まず、$f(0) = f(2)$ より、

$$ \alpha\beta = (2-\alpha)(2-\beta) $$

$$ \alpha\beta = 4 - 2(\alpha+\beta) + \alpha\beta $$

$$ 2(\alpha+\beta) = 4 $$

したがって、$\alpha+\beta = 2$ を得る。

このとき、極大点での $x$ 座標は $x = 1$ となり、$f(1)$ の値は

$$ f(1) = |(1-\alpha)(1-\beta)| = |1 - (\alpha+\beta) + \alpha\beta| = |1 - 2 + \alpha\beta| = |\alpha\beta - 1| $$

ここで、$\alpha+\beta=2$ と $0 < \alpha < \beta$ より、$\alpha = 2-\beta < \beta$ すなわち $1 < \beta$ である。また $\beta < 2$ より、$\alpha = 2-\beta > 0$。 よって $\alpha, \beta$ はともに正であるから $\alpha\beta > 0$。 さらに、$\alpha\beta - 1 = \alpha(2-\alpha) - 1 = -(\alpha-1)^2 < 0$ であるため、$|\alpha\beta - 1| = 1 - \alpha\beta$ となる。

$f(0) = f(1)$ であるから、

$$ \alpha\beta = 1 - \alpha\beta $$

$$ 2\alpha\beta = 1 $$

したがって、$\alpha\beta = \frac{1}{2}$ を得る。

$\alpha+\beta = 2$ かつ $\alpha\beta = \frac{1}{2}$ であるから、$\alpha, \beta$ は $t$ についての2次方程式 $t^2 - 2t + \frac{1}{2} = 0$、すなわち $2t^2 - 4t + 1 = 0$ の2つの解である。 これを解くと、

$$ t = \frac{2 \pm \sqrt{4-2}}{2} = \frac{2 \pm \sqrt{2}}{2} $$

$0 < \alpha < \beta < 2$ を満たすので、

$$ \alpha = \frac{2-\sqrt{2}}{2}, \quad \beta = \frac{2+\sqrt{2}}{2} $$

このとき、最大値 $M$ は

$$ M = f(0) = \alpha\beta = \frac{1}{2} $$

(2)

(1)より、

$$ f(x) = \left| x^2 - 2x + \frac{1}{2} \right| $$

方程式 $f(x) - mx = 0$ すなわち $f(x) = mx$ の異なる解の個数は、区間 $0 \leqq x \leqq 2$ における曲線 $y=f(x)$ と原点を通る直線 $y=mx$ の共有点の個数に等しい。

$f(x)$ を絶対値を外して区間ごとに表すと、以下のようになる。

$$ f(x) = \begin{cases} x^2 - 2x + \frac{1}{2} & (0 \leqq x \leqq \alpha) \\ -x^2 + 2x - \frac{1}{2} & (\alpha \leqq x \leqq \beta) \\ x^2 - 2x + \frac{1}{2} & (\beta \leqq x \leqq 2) \end{cases} $$

$m \leqq 0$ のとき、$0 < x \leqq 2$ において $mx \leqq 0 \leqq f(x)$ であり、直線と曲線が交わるのは最大でも $f(x)=0$ となる $x=\alpha, \beta$ の2点のみである。よって、共有点が3つになることはないため、$m > 0$ として考える。

$m > 0$ のとき、各区間における共有点の個数を調べる。

(i) 区間 $0 \leqq x \leqq \alpha$ のとき 方程式 $x^2 - 2x + \frac{1}{2} = mx$ を満たす解を考える。 $g(x) = x^2 - (m+2)x + \frac{1}{2}$ とおくと、$g(0) = \frac{1}{2} > 0$ である。 また、$x=\alpha$ は $x^2 - 2x + \frac{1}{2} = 0$ の解であるから、 $g(\alpha) = (\alpha^2 - 2\alpha + \frac{1}{2}) - m\alpha = -m\alpha < 0$ となる。 したがって、区間 $0 < x < \alpha$ に必ず1つの共有点をもつ。

(ii) 区間 $\beta \leqq x \leqq 2$ のとき 先ほどと同様に $g(x) = x^2 - (m+2)x + \frac{1}{2}$ について考える。 $x=\beta$ は $x^2 - 2x + \frac{1}{2} = 0$ の解であるから、 $g(\beta) = (\beta^2 - 2\beta + \frac{1}{2}) - m\beta = -m\beta < 0$ である。 一方、$x=2$ のとき、$g(2) = 4 - 2(m+2) + \frac{1}{2} = \frac{1}{2} - 2m$ となる。 $g(2) \geqq 0$ すなわち $m \leqq \frac{1}{4}$ のときは、区間 $\beta < x \leqq 2$ に1つの共有点をもつ。 $g(2) < 0$ すなわち $m > \frac{1}{4}$ のときは、$g(2)<0$ であり、$g(x)$ の軸 $x = \frac{m+2}{2} > \frac{1/4+2}{2} > 1$ であることと下に凸な放物線であることから、$g(x)=0$ の大きい方の解は $x > 2$ に存在する。したがって、区間 $\beta \leqq x \leqq 2$ に共有点をもたない。

(iii) 区間 $\alpha \leqq x \leqq \beta$ のとき 方程式 $-x^2 + 2x - \frac{1}{2} = mx$ すなわち $x^2 + (m-2)x + \frac{1}{2} = 0$ を満たす解を考える。 この2次方程式の判別式を $D$ とすると、 $D = (m-2)^2 - 2 = m^2 - 4m + 2$ $D > 0$ となる条件は $m < 2-\sqrt{2}, \quad 2+\sqrt{2} < m$ である。 $m>0$ において、直線が放物線と接するのは $m = 2-\sqrt{2}$ のときであり、このときの接点の $x$ 座標は $x = \frac{2-m}{2} = \frac{\sqrt{2}}{2}$ となる。 $\alpha = 1 - \frac{\sqrt{2}}{2} < \frac{\sqrt{2}}{2} < 1 + \frac{\sqrt{2}}{2} = \beta$ であるから、接点は区間 $(\alpha, \beta)$ 内に存在する。 $0 < m \leqq 2-\sqrt{2}$ のとき、軸 $x = \frac{2-m}{2}$ は $\frac{\sqrt{2}}{2} \leqq x < 1$ を満たすため区間 $(\alpha, \beta)$ 内にあり、両端点での値は $h(x) = x^2 + (m-2)x + \frac{1}{2}$ とすると $h(\alpha) = m\alpha > 0$、$h(\beta) = m\beta > 0$ である。 よって、$0 < m < 2-\sqrt{2}$ のときは区間 $(\alpha, \beta)$ 内に2つの共有点をもつ。

以上の (i), (ii), (iii) より、共有点の総数は以下のようになる。

したがって、異なる3つの解をもつような $m$ の値の範囲は

$$ \frac{1}{4} < m < 2 - \sqrt{2} $$

である。

解説

(1) は絶対値を含む関数のグラフの形状(極大値と端点の値)に着目し、最大値の条件を式に翻訳する問題です。「最大値をとる $x$ が3つ」という視覚的にも明らかな条件を、無駄なく数式化できるかが問われています。

(2) は方程式の実数解の個数をグラフの共有点の個数として捉える典型的な解の配置問題です。場合分けして放物線と直線の交点を調べますが、特に $0 \leqq x \leqq \alpha$ の区間で常に1つの交点を持つことを見落とさないように注意が必要です。ここでは中間値の定理の考え方(端点での関数の値の符号の変化)を用いることで、複雑な解の公式を使わずに交点の存在をすっきりと証明できます。

答え

(1) $\alpha = \frac{2-\sqrt{2}}{2}, \beta = \frac{2+\sqrt{2}}{2}, M = \frac{1}{2}$

(2) $\frac{1}{4} < m < 2 - \sqrt{2}$

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