東京大学 2008年 理系 第4問 解説

方針・初手
2点 $P, Q$ の座標を文字でおき、線分 $PQ$ の傾き $m$、長さの2乗 $L^2$、中点の $y$ 座標 $h$ をそれぞれ立式する。 その後、対称式の性質を用いて $h$ を $m$ と $L$ を用いた式で表す。 後半は $L$ を定数とみて $m$ を動かし、$h$ の最小値を求める。その際、置換を用いて関数を整理し、定義域に注意しながら相加平均と相乗平均の大小関係や関数の増減を利用して場合分けを行う。
解法1
(1)
放物線 $y = x^2$ 上の2点 $P, Q$ の座標をそれぞれ $(p, p^2), (q, q^2)$ とおく。2点は異なるため $p \neq q$ である。 線分 $PQ$ の傾き $m$ は
$$ m = \frac{q^2 - p^2}{q - p} = p + q $$
線分 $PQ$ の長さ $L$ の2乗は
$$ \begin{aligned} L^2 &= (q - p)^2 + (q^2 - p^2)^2 \\ &= (q - p)^2 + (q - p)^2(p + q)^2 \\ &= (q - p)^2 \{1 + (p + q)^2\} \\ &= (q - p)^2(1 + m^2) \end{aligned} $$
$L > 0$ であり、$1 + m^2 > 0$ であるから
$$ (q - p)^2 = \frac{L^2}{1 + m^2} $$
線分 $PQ$ の中点の $y$ 座標 $h$ は
$$ h = \frac{p^2 + q^2}{2} $$
恒等式 $(p + q)^2 + (q - p)^2 = 2(p^2 + q^2)$ を用いると
$$ \begin{aligned} h &= \frac{(p + q)^2 + (q - p)^2}{4} \\ &= \frac{m^2}{4} + \frac{L^2}{4(1 + m^2)} \end{aligned} $$
これが $h$ を $L, m$ で表した式である。
(2)
$t = 1 + m^2$ とおく。$m$ は実数全体をとりうるため $t \ge 1$ である。 (1)の結果より、$h$ を $t$ を用いて表すと
$$ \begin{aligned} h &= \frac{t - 1}{4} + \frac{L^2}{4t} \\ &= \frac{1}{4} \left( t + \frac{L^2}{t} \right) - \frac{1}{4} \end{aligned} $$
ここで $f(t) = t + \frac{L^2}{t}$ とおき、$t \ge 1$ における $f(t)$ の最小値を求める。 $t > 0, \frac{L^2}{t} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より
$$ t + \frac{L^2}{t} \ge 2\sqrt{t \cdot \frac{L^2}{t}} = 2L $$
等号が成立するのは $t = \frac{L^2}{t}$ すなわち $t^2 = L^2$ のときである。$t > 0, L > 0$ より $t = L$ となる。
(i)
$L \ge 1$ のとき
等号成立条件 $t = L$ は定義域 $t \ge 1$ を満たす。 よって $f(t)$ は $t = L$ のとき最小値 $2L$ をとる。 このとき $h$ の最小値は
$$ h = \frac{1}{4} \cdot 2L - \frac{1}{4} = \frac{2L - 1}{4} $$
(ii)
$0 < L < 1$ のとき
等号成立条件 $t = L$ は定義域 $t \ge 1$ の範囲外である。 $f(t)$ を $t$ で微分すると
$$ f'(t) = 1 - \frac{L^2}{t^2} = \frac{t^2 - L^2}{t^2} $$
$t \ge 1$ のとき $t^2 \ge 1 > L^2$ であるから、$f'(t) > 0$ となる。 したがって、$f(t)$ は $t \ge 1$ において単調増加する。 ゆえに $f(t)$ は $t = 1$ のとき最小値 $1 + L^2$ をとる。 このとき $h$ の最小値は
$$ h = \frac{1}{4} (1 + L^2) - \frac{1}{4} = \frac{L^2}{4} $$
解説
(1)は対称式の処理の基本問題である。2変数の和と差の2乗を用いて2乗の和を表す式変形がポイントとなる。直線 $PQ$ の方程式を $y = mx + n$ とおき、放物線 $y = x^2$ と連立して得られる2次方程式について、解と係数の関係を利用して立式しても同様の結果が得られる。 (2)は分数関数の最小値問題であり、相加平均と相乗平均の大小関係を用いるのが簡明である。ただし、等号成立条件が変数の定義域(ここでは $t \ge 1$)に含まれるかどうかの確認を怠ると、場合分けに気づかず誤答となるため注意が必要である。
答え
(1)
$$ h = \frac{m^2}{4} + \frac{L^2}{4(m^2 + 1)} $$
(2)
- $L \ge 1$ のとき、 $\frac{2L - 1}{4}$
- $0 < L < 1$ のとき、 $\frac{L^2}{4}$
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