京都大学 1973年 文系 第5問 解説

方針・初手
底辺の長さと頂角の大きさが一定である三角形において、面積がとりうる値の範囲(集合)を不等式で表すことから始める。底辺が固定されているため、面積は高さに比例する。したがって、頂点が円弧上を動くときの高さの最大値を求め、面積の上限を $a$ と $\theta$ の式で表す。その後、$a$ と $\theta$ のそれぞれの条件から、面積の上限値の大小関係を比較し、集合の包含関係を決定する。
解法1
底辺を $\text{AB}$、その長さを $a$、頂角を $\text{C}$、その大きさを $\theta^\circ$ とする。
$\triangle\text{ABC}$ の外接円上で、弦 $\text{AB}$ に対する円周角が $\theta^\circ$ となる弧の上を点 $\text{C}$ が動くときの $\triangle\text{ABC}$ の面積 $S$ について考える。
底辺 $\text{AB}$ の長さは一定であるため、面積 $S$ が最大となるのは、点 $\text{C}$ から直線 $\text{AB}$ に下ろした垂線の長さ(高さ)$h$ が最大となるときである。
これは、点 $\text{C}$ が弧 $\text{AB}$ の中点に一致し、$\triangle\text{ABC}$ が $\text{CA} = \text{CB}$ の二等辺三角形になるときである。
このとき、点 $\text{C}$ から底辺 $\text{AB}$ に下ろした垂線の足を $\text{M}$ とすると、$\text{AM} = \frac{a}{2}$ であり、$\angle\text{ACM} = \frac{\theta^\circ}{2}$ となる。
直角三角形 $\text{ACM}$ に着目すると、高さの最大値 $h_{\text{max}}$ は、
$$ h_{\text{max}} = \frac{\text{AM}}{\tan\frac{\theta^\circ}{2}} = \frac{a}{2\tan\frac{\theta^\circ}{2}} $$
と表せる。
点 $\text{C}$ は弧 $\text{AB}$ 上の端点($\text{A}, \text{B}$)を除く任意の点をとることができるため、高さ $h$ のとりうる値の範囲は $0 < h \leqq h_{\text{max}}$ である。
したがって、面積 $S = \frac{1}{2}ah$ のとりうる値の範囲は $0 < S \leqq \frac{1}{2} a h_{\text{max}}$ となり、
$$ 0 < S \leqq \frac{a^2}{4\tan\frac{\theta^\circ}{2}} $$
となる。
これを満たす実数 $S$ の集合が $S(a, \theta)$ であるから、
$$ S(a, \theta) = \left\{ x \mathrel{}\middle|\mathrel{} 0 < x \leqq \frac{a^2}{4\tan\frac{\theta^\circ}{2}} \right\} $$
と表される。
次に、$S(a_1, \theta_1)$ と $S(a_2, \theta_2)$ の包含関係を調べる。
条件より $0 < a_1 \leqq a_2$ であるから、
$$ a_1^2 \leqq a_2^2 $$
が成り立つ。
また、$0 < \theta_2 \leqq \theta_1 < 180$ より $0 < \frac{\theta_2^\circ}{2} \leqq \frac{\theta_1^\circ}{2} < 90^\circ$ である。
この範囲において $\tan x$ は単調に増加するため、
$$ \tan\frac{\theta_2^\circ}{2} \leqq \tan\frac{\theta_1^\circ}{2} $$
すなわち、両辺とも正であることから逆数をとって、
$$ \frac{1}{\tan\frac{\theta_1^\circ}{2}} \leqq \frac{1}{\tan\frac{\theta_2^\circ}{2}} $$
が成り立つ。
$a_1^2 > 0$ かつ $\frac{1}{\tan\frac{\theta_1^\circ}{2}} > 0$ であるから、これら2つの不等式の辺々を掛け合わせると、
$$ \frac{a_1^2}{4\tan\frac{\theta_1^\circ}{2}} \leqq \frac{a_2^2}{4\tan\frac{\theta_2^\circ}{2}} $$
が得られる。
これは、集合 $S(a_1, \theta_1)$ の上限が $S(a_2, \theta_2)$ の上限以下であることを意味する。
どちらの集合も下限は $0$ より大きいすべての実数(開区間)であるため、
$$ S(a_1, \theta_1) \subseteq S(a_2, \theta_2) $$
が成り立つ。
さらに、これら2つの集合が等しくなるのは、上限が一致するとき、すなわち
$$ \frac{a_1^2}{4\tan\frac{\theta_1^\circ}{2}} = \frac{a_2^2}{4\tan\frac{\theta_2^\circ}{2}} $$
が成り立つときである。
上の不等式の導出過程から、この等号が成立するのは、$a_1^2 = a_2^2$ かつ $\tan\frac{\theta_2^\circ}{2} = \tan\frac{\theta_1^\circ}{2}$ が同時に成り立つときに限られる。
$a_1, a_2 > 0$ および $0 < \frac{\theta^\circ}{2} < 90^\circ$ であることを考慮すると、これは
$$ a_1 = a_2 \quad \text{かつ} \quad \theta_1 = \theta_2 $$
のときである。
解説
図形の軌跡と面積の最大値を関数として捉え、各変数の単調性から区間の包含関係を導く問題だ。
「底辺と頂角が一定の三角形の面積が最大になるのは二等辺三角形のとき」という幾何的な性質を利用することで、簡潔に面積の上限を求めることができる。
集合の包含関係は、数式で表された区間の上限の大小関係に帰着されるため、不等式の等号成立条件を丁寧に確認することが論理の飛躍を防ぐポイントとなる。
答え
包含関係は $S(a_1, \theta_1) \subseteq S(a_2, \theta_2)$ である。
とくに等しくなるのは $a_1 = a_2$ かつ $\theta_1 = \theta_2$ の場合である。
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