東京大学 2004年 文系 第2問 解説

方針・初手
領域 $D$ が存在する $x$ の範囲を求め、問題の条件を整理する。 $x$ を一つ固定したとき、$x+y$ が最大(または最小)になるのは、$y$ が最大(または最小)になるときである。領域 $D$ の不等式から $y$ の範囲が $x$ の関数として上下から挟まれているため、$x+y$ の最大・最小は、それぞれの上側境界・下側境界における1変数関数の最大・最小問題に帰着できる。
解法1
連立不等式
$$ y \geqq x^2, \quad y \leqq -2x^2 + 3ax + 6a^2 $$
を同時に満たす実数 $y$ が存在するような $x$ の条件は、
$$ x^2 \leqq -2x^2 + 3ax + 6a^2 $$
これを整理すると、
$$ 3x^2 - 3ax - 6a^2 \leqq 0 $$
$$ x^2 - ax - 2a^2 \leqq 0 $$
$$ (x - 2a)(x + a) \leqq 0 $$
$a > 0$ であるから、$-a < 2a$ となり、領域 $D$ が存在する $x$ の範囲は
$$ -a \leqq x \leqq 2a $$
である。
領域 $D$ における $x+y$ の最大値について考える。 $x$ を区間 $-a \leqq x \leqq 2a$ 内で固定すると、$y$ は $y = -2x^2 + 3ax + 6a^2$ のときに最大となる。 したがって、$x+y$ の最大値は、関数
$$ f(x) = x + (-2x^2 + 3ax + 6a^2) = -2x^2 + (3a+1)x + 6a^2 \quad (-a \leqq x \leqq 2a) $$
の最大値を求めればよい。 $f(x)$ を平方完成すると、
$$ f(x) = -2\left(x - \frac{3a+1}{4}\right)^2 + \frac{(3a+1)^2}{8} + 6a^2 = -2\left(x - \frac{3a+1}{4}\right)^2 + \frac{57a^2+6a+1}{8} $$
放物線 $y = f(x)$ の軸は $x = \frac{3a+1}{4}$ である。 $a > 0$ より $\frac{3a+1}{4} - (-a) = \frac{7a+1}{4} > 0$ であるから、軸は常に区間の左端 $x = -a$ より右側にある。 区間の右端 $x = 2a$ と軸の位置関係により、次のように場合分けを行う。
(i)
$\frac{3a+1}{4} > 2a$ すなわち $0 < a < \frac{1}{5}$ のとき
軸は区間 $-a \leqq x \leqq 2a$ の右側に外れているため、$f(x)$ はこの区間で単調増加する。 したがって、$x = 2a$ のとき最大値をとる。 最大値は
$$ f(2a) = -2(2a)^2 + (3a+1)(2a) + 6a^2 = -8a^2 + 6a^2 + 2a + 6a^2 = 4a^2 + 2a $$
(ii)
$\frac{3a+1}{4} \leqq 2a$ すなわち $a \geqq \frac{1}{5}$ のとき
軸は区間 $-a \leqq x \leqq 2a$ 内にあるため、$f(x)$ は頂点で最大値をとる。 最大値は
$$ f\left(\frac{3a+1}{4}\right) = \frac{57a^2+6a+1}{8} $$
次に、領域 $D$ における $x+y$ の最小値について考える。 同様に、$x$ を固定すると、$y$ は $y = x^2$ のときに最小となる。 したがって、$x+y$ の最小値は、関数
$$ g(x) = x + x^2 \quad (-a \leqq x \leqq 2a) $$
の最小値を求めればよい。 $g(x)$ を平方完成すると、
$$ g(x) = \left(x + \frac{1}{2}\right)^2 - \frac{1}{4} $$
放物線 $y = g(x)$ の軸は $x = -\frac{1}{2}$ である。 $a > 0$ より $2a > 0 > -\frac{1}{2}$ であるから、軸は常に区間の右端 $x = 2a$ より左側にある。 区間の左端 $x = -a$ と軸の位置関係により、次のように場合分けを行う。
(iii)
$-a > -\frac{1}{2}$ すなわち $0 < a < \frac{1}{2}$ のとき
軸は区間 $-a \leqq x \leqq 2a$ の左側に外れているため、$g(x)$ はこの区間で単調増加する。 したがって、$x = -a$ のとき最小値をとる。 最小値は
$$ g(-a) = (-a)^2 - a = a^2 - a $$
(iv)
$-a \leqq -\frac{1}{2}$ すなわち $a \geqq \frac{1}{2}$ のとき
軸は区間 $-a \leqq x \leqq 2a$ 内にあるため、$g(x)$ は頂点で最小値をとる。 最小値は
$$ g\left(-\frac{1}{2}\right) = -\frac{1}{4} $$
解説
領域内の点における多変数関数の最大・最小問題である。 本問のように、領域を表す不等式が $y$ について解かれた形($f_1(x) \leqq y \leqq f_2(x)$)で与えられている場合は、$x+y=k$ とおいて直線と図形の共有点を考える図形的なアプローチよりも、$x$ を固定して先に $y$ を動かす「1文字固定(予選決勝法)」の考え方を用いると見通しが良い。 結果として、定義域が制限された2次関数の最大・最小問題に帰着される。定義域の端点に文字 $a$ が含まれること、また上側境界から作られる2次関数は軸の位置にも $a$ が含まれることから、定義域と軸の相対的な位置関係を丁寧に調べ、正確に場合分けを行うことが求められる。
答え
最大値: $0 < a < \frac{1}{5}$ のとき、$4a^2 + 2a$ $a \geqq \frac{1}{5}$ のとき、$\frac{57a^2+6a+1}{8}$
最小値: $0 < a < \frac{1}{2}$ のとき、$a^2 - a$ $a \geqq \frac{1}{2}$ のとき、$-\frac{1}{4}$
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