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京都大学 1978年 文系 第5問 解説

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京都大学 1978年 文系 第5問 解説

方針・初手

(i) は「すべての整数 $k$ について」成り立つことを示すため、必要性の確認と、数学的帰納法を用いた十分性の証明を行う。 (ii) は (i) の結果を利用して差分をとることで次数を下げていく方法(解法1)と、いくつかの整数値を代入して必要条件を求め、それが十分条件でもあることを確認する方法(解法2)の2通りのアプローチが考えられる。

解法1

(i) 「すべての整数 $k$ について、$f(k)$ が整数である」を条件 $P$ とし、「$f(0)$ が整数であって、すべての整数 $k$ について、$f(k) - f(k-1)$ が整数となる」を条件 $Q$ とする。$P \iff Q$ を証明する。

[必要性の証明 ($P \implies Q$)] すべての整数 $k$ について $f(k)$ が整数であると仮定する。 このとき、$k=0$ とすると $f(0)$ は整数である。 また、任意の整数 $k$ に対して、$k$ も $k-1$ も整数であるから、仮定より $f(k)$ と $f(k-1)$ はともに整数である。整数の差は整数であるから、$f(k) - f(k-1)$ も整数となる。 よって、条件 $Q$ は成り立つ。

[十分性の証明 ($Q \implies P$)] $f(0)$ が整数であり、すべての整数 $k$ について $f(k) - f(k-1)$ が整数であると仮定する。 数学的帰納法を用いて、すべての整数 $k$ で $f(k)$ が整数となることを示す。

(I)

$k \geqq 0$ のとき $k=0$ のとき、仮定より $f(0)$ は整数であり成り立つ。 $k=n$ ($n \geqq 0$ の整数) のとき、$f(n)$ が整数であると仮定する。

$$ f(n+1) = f(n) + \{ f(n+1) - f(n) \} $$

仮定より $f(n+1) - f(n)$ は整数であり、$f(n)$ も帰納法の仮定から整数であるから、その和 $f(n+1)$ も整数となる。 よって、すべての非負整数 $k$ について $f(k)$ は整数である。

(II)

$k \leqq 0$ のとき $k=0$ のとき、仮定より $f(0)$ は整数であり成り立つ。 $k=n$ ($n \leqq 0$ の整数) のとき、$f(n)$ が整数であると仮定する。

$$ f(n-1) = f(n) - \{ f(n) - f(n-1) \} $$

仮定より $f(n) - f(n-1)$ は整数であり、$f(n)$ も帰納法の仮定から整数であるから、その差 $f(n-1)$ も整数となる。 よって、すべての負の整数 $k$ について $f(k)$ は整数である。

(I), (II) より、すべての整数 $k$ について $f(k)$ は整数となる。 以上より、必要十分条件であることが証明された。

(ii) $f(x) = ax^2 + bx + c$ とする。 (i) の結果より、すべての整数 $k$ について $f(k)$ が整数となるための必要十分条件は、 「$f(0)$ が整数」かつ「すべての整数 $k$ について $f(k) - f(k-1)$ が整数」となることである。

$f(0) = c$ より、第1の条件は「$c$ が整数」である。 次に $g(k) = f(k) - f(k-1)$ とおくと、

$$ \begin{aligned} g(k) &= (ak^2 + bk + c) - \{a(k-1)^2 + b(k-1) + c\} \\ &= 2ak - a + b \end{aligned} $$

第2の条件は「すべての整数 $k$ について $g(k)$ が整数となる」ことである。 これに (i) の結果を再び適用すると、すべての整数 $k$ について $g(k)$ が整数となるための必要十分条件は、 「$g(0)$ が整数」かつ「すべての整数 $k$ について $g(k) - g(k-1)$ が整数」となることである。

$g(0) = -a+b$ $g(k) - g(k-1) = (2ak - a + b) - \{2a(k-1) - a + b\} = 2a$

これがすべての整数 $k$ で整数となるのは、$2a$ が整数のときである。 したがって、求める必要十分条件は、$2a$, $-a+b$, $c$ がすべて整数となることである。 (※ $2a$, $-a+b$ がともに整数であることと、$2a$, $a+b$ がともに整数であることは、$a+b = 2a + (-a+b)$ より同値であるため、条件は「$2a, a+b, c$ がすべて整数」としてもよい)

解法2

(ii)の別解 必要条件と十分条件に分けて考える。

[必要性] すべての整数 $k$ について $f(k)$ が整数であると仮定する。 $k=0, 1, -1$ のときも $f(k)$ は整数となるから、

$$ \begin{cases} f(0) = c \\ f(1) = a + b + c \\ f(-1) = a - b + c \end{cases} $$

はすべて整数である。 よって、$c$ は整数である。 また、$f(1) + f(-1) - 2f(0) = (a + b + c) + (a - b + c) - 2c = 2a$ も整数の和・差であるから整数である。 さらに、$f(1) - f(0) = a + b$ も整数である。 以上より、$2a$, $a+b$, $c$ はすべて整数である。

[十分性] $2a$, $a+b$, $c$ がすべて整数であると仮定する。 任意の整数 $k$ に対して、$f(k)$ を以下のように変形する。

$$ \begin{aligned} f(k) &= ak^2 + bk + c \\ &= a(k^2 - k) + (a+b)k + c \\ &= 2a \cdot \frac{k(k-1)}{2} + (a+b)k + c \end{aligned} $$

ここで、$k, k-1$ は連続する2つの整数であるから、その積 $k(k-1)$ は偶数であり、$\frac{k(k-1)}{2}$ は整数となる。 仮定より $2a$, $a+b$, $c$ は整数であるから、$f(k)$ は整数の和と積で表され、結果として整数となる。 よって、すべての整数 $k$ について $f(k)$ は整数である。

以上より、求める必要十分条件は $2a$, $a+b$, $c$ がすべて整数となることである。

解説

「整数値多項式」と呼ばれる、任意の整数に対して整数値を返す多項式に関する典型問題である。 (i) の性質は、階差数列の考え方と同じであり、差分 $f(k) - f(k-1)$ を考えることで多項式の次数を1つ下げられるという強力な特徴を持つ。 (ii) については、解法1のように (i) の事実を繰り返し適用して多項式の次数を落としていくアプローチと、解法2のように少数の値($k=0, 1, -1$ など)を代入して必要条件から係数を絞り込み、変形によって十分性を鮮やかに示すアプローチの2つが有名である。どちらもマスターしておきたい定石だ。

答え

(i)

すべての整数 $k$ について $f(k)$ が整数であることと、$f(0)$ が整数かつすべての整数 $k$ について $f(k) - f(k-1)$ が整数であることが同値であることを証明した。(証明は解法1を参照)

(ii)

$2a$, $a+b$, $c$ がすべて整数となること。(または $2a$, $-a+b$, $c$ がすべて整数となること)

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