名古屋大学 2012年 文系 第3問 解説

方針・初手
- (1) は二項定理を直接適用し、特定の項の係数を求める。
- (2) も二項定理、あるいは因数分解の公式を用いて $p$ を因数に持つことを示す。$m$ が奇数であるという条件が効く。
- (3) は $r$ に関する数学的帰納法を用いる。(2) の結果が $r=1$ の場合の証明に利用できる。
解法1
(1)
二項定理より、$(x-1)^{101}$ の一般項は次のように表される。
$$ {}_{101}\mathrm{C}_{k} x^k (-1)^{101-k} \quad (k=0, 1, \dots, 101) $$
$x^2$ の項は $k=2$ のときであり、その係数は以下のようになる。
$$ {}_{101}\mathrm{C}_{2} (-1)^{101-2} = \frac{101 \cdot 100}{2 \cdot 1} (-1)^{99} $$
$(-1)^{99} = -1$ であるから、計算すると次のようになる。
$$ -5050 $$
(2)
二項定理を用いて $(p-1)^m$ を展開する。
$$ (p-1)^m + 1 = \sum_{k=0}^{m} {}_{m}\mathrm{C}_{k} p^k (-1)^{m-k} + 1 $$
シグマの $k=0$ の項を外に出すと、次のようになる。
$$ = {}_{m}\mathrm{C}_{0} p^0 (-1)^m + \sum_{k=1}^{m} {}_{m}\mathrm{C}_{k} p^k (-1)^{m-k} + 1 $$
ここで、$m$ は正の奇数であるから $(-1)^m = -1$ である。
$$ = -1 + \sum_{k=1}^{m} {}_{m}\mathrm{C}_{k} p^k (-1)^{m-k} + 1 $$
$$ = \sum_{k=1}^{m} {}_{m}\mathrm{C}_{k} p^k (-1)^{m-k} $$
右辺の各項は $k \geqq 1$ であるため、すべて $p$ を因数として持つ。したがって、$(p-1)^m+1$ は $p$ で割り切れる。
(3)
$2^s+1$ が $3^r$ で割り切れることを、$r$ に関する数学的帰納法で示す。
(I) $r=1$ のとき
$s = 3^{1-1}m = m$ である。
$$ 2^s+1 = 2^m+1 = (3-1)^m+1 $$
(2) で示した事実において $p=3$ とすると、$(3-1)^m+1$ は $3$ で割り切れる。すなわち $3^1$ で割り切れるので、$r=1$ のとき成立する。
(II) $r=k$ ($k$ は正の整数) のとき成立すると仮定する
すなわち、$s_k = 3^{k-1}m$ とおくと、$2^{s_k}+1$ は $3^k$ で割り切れると仮定する。このとき、ある整数 $N$ を用いて次のように表せる。
$$ 2^{s_k}+1 = 3^k N $$
これより、$2^{s_k} = 3^k N - 1$ である。
$r=k+1$ のときを考える。$s_{k+1} = 3^k m = 3 \cdot 3^{k-1}m = 3 s_k$ である。
$$ 2^{s_{k+1}}+1 = 2^{3 s_k}+1 = (2^{s_k})^3 + 1^3 $$
因数分解公式 $a^3+b^3 = (a+b)(a^2-ab+b^2)$ を用いると、次のように変形できる。
$$ = (2^{s_k} + 1)\{(2^{s_k})^2 - 2^{s_k} + 1\} $$
帰納法の仮定より、第1因数は $2^{s_k} + 1 = 3^k N$ である。第2因数に $2^{s_k} = 3^k N - 1$ を代入すると、
$$ (3^k N - 1)^2 - (3^k N - 1) + 1 $$
$$ = 3^{2k} N^2 - 2 \cdot 3^k N + 1 - 3^k N + 1 + 1 $$
$$ = 3^{2k} N^2 - 3 \cdot 3^k N + 3 $$
$$ = 3 (3^{2k-1} N^2 - 3^k N + 1) $$
$k \geqq 1$ より $2k-1 \geqq 1$ であるから、カッコ内の $3^{2k-1} N^2 - 3^k N + 1$ は整数である。これらを掛け合わせると、
$$ 2^{s_{k+1}}+1 = 3^k N \cdot 3 (3^{2k-1} N^2 - 3^k N + 1) = 3^{k+1} N (3^{2k-1} N^2 - 3^k N + 1) $$
となり、$2^{s_{k+1}}+1$ は $3^{k+1}$ で割り切れる。したがって、$r=k+1$ のときも成立する。
(I), (II) より、すべての正の整数 $r$ について命題は成立する。
解法2
(2) の別解
$m$ が正の奇数であるとき、因数分解の公式 $a^m+b^m = (a+b)(a^{m-1} - a^{m-2}b + \cdots + b^{m-1})$ が成り立つことを利用する。
$a=p-1, b=1$ として公式を適用すると、次のようになる。
$$ (p-1)^m + 1^m = \{(p-1)+1\}\{(p-1)^{m-1} - (p-1)^{m-2}\cdot 1 + \cdots + 1^{m-1}\} $$
$$ = p \{(p-1)^{m-1} - (p-1)^{m-2} + \cdots + 1\} $$
波カッコの中は整数であるから、$(p-1)^m+1$ は $p$ の倍数であり、$p$ で割り切れる。
解説
整数分野における合同式や倍数判定に関する標準的な問題である。
(1)と(2)は二項定理の基本的な使い方を確認する設問である。(2)は因数分解の公式を使っても簡潔に示すことができる。
(3)は、指数にさらに指数が含まれる形をしており扱いづらいが、$r$ についての数学的帰納法を用いることで見通しよく証明できる。その際、(2)の結論が $r=1$ の場合の証明に直接活きるという誘導になっている。帰納法のステップでは、$(a^3+b^3)$ の因数分解を利用して $3$ を一つくくり出す操作が鍵となる。この「累乗の和を因数分解して素因数を引き出す」手法は、整数問題で頻出のテクニックである。
答え
(1) $-5050$
(2) $(p-1)^m + 1$ は $p$ で割り切れる。
(3) $s = 3^{r-1}m$ とすると、$2^s + 1$ は $3^r$ で割り切れる。
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