京都大学 1974年 理系 第3問 解説

方針・初手
小球が左側のくぼみに留まるためには、容器の断面を表す関数が左側に極小値(くぼみの底)と極大値(右へ転がり落ちるのを防ぐ山)を持つ必要がある。 $q$ の値を大きくしていくと、やがてこの極大値と極小値が一致して「くぼみ」が消滅する。このとき小球は右側へ転落するため、左側の極小値が存在しなくなる限界の $q$ の値を微分を用いて調べる。
解法1
容器の断面を表す曲線を $f(x) = x^4 - 6p^2x^2 - 8q^3x$ とおく。 $f(x)$ を $x$ について微分すると、
$$ f'(x) = 4x^3 - 12p^2x - 8q^3 = 4(x^3 - 3p^2x - 2q^3) $$
となる。ここで、かっこ内の関数を $g(x) = x^3 - 3p^2x - 2q^3$ とおく。 左側にくぼみが存在し、かつ右側に転落しないための壁がある(すなわち $f(x)$ が極大値と複数の極小値を持つ)ためには、方程式 $f'(x) = 0$ すなわち $g(x) = 0$ が異なる3つの実数解を持つ必要がある。 $g(x)$ を微分すると、
$$ g'(x) = 3x^2 - 3p^2 = 3(x+p)(x-p) $$
となる。$p > 0$ であるから、$g(x)$ は $x = -p$ で極大、 $x = p$ で極小となる。 3次方程式 $g(x) = 0$ が異なる3つの実数解を持つ条件は、(極大値)$\times$(極小値)$< 0$ となることである。 それぞれの極値を計算すると、
$$ g(-p) = (-p)^3 - 3p^2(-p) - 2q^3 = 2p^3 - 2q^3 $$
$$ g(p) = p^3 - 3p^2(p) - 2q^3 = -2p^3 - 2q^3 = -2(p^3 + q^3) $$
となる。 問題の条件 $p > 0, q \geqq 0$ より、$g(p) = -2(p^3 + q^3) < 0$ は常に成り立つ。 したがって、$g(x) = 0$ が異なる3実数解を持つための条件は $g(-p) > 0$ であり、
$$ 2p^3 - 2q^3 > 0 $$
$$ q^3 < p^3 $$
$p > 0, q \geqq 0$ より、この条件は $q < p$ となる。 $q < p$ のとき、グラフには左側のくぼみ(極小点)と右側の壁(極大点)が存在するため、小球はその底に留まる。 $q$ の値をだんだん大きくしていくと、$q = p$ となった瞬間に $g(-p) = 0$ となり、$x = -p$ における極大値と極小値が一致する。 このとき導関数は $f'(x) = 4(x+p)^2(x-2p)$ と因数分解でき、$x = -p$ の前後で $f'(x)$ の符号は負のまま変化しない。 よって $f(x)$ は $x = -p$ で極値をもたず、単調減少の途中にある点となるため、左側のくぼみは消滅する。 くぼみが消滅すると、小球は支えを失い、唯一の極小点である右側のくぼみ($x = 2p$)に向かって転落する。 したがって、小球が転落する限界の $q$ の値は $p$ である。
解説
物理的な現象である「小球がくぼみから転落する」という状況を、数学的な「関数の極値の存在条件」に翻訳できるかが問われる問題だ。
4次関数のグラフの形状は導関数の符号変化によって決まるため、3次関数のグラフの $x$ 軸との交点の個数を調べることに帰着させる。くぼみが消える瞬間は、導関数が重解をもつ(極大点と極小点がくっついて極値をもたなくなる)瞬間であると捉えるのがポイントだ。
答え
$$ p $$
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