京都大学 1981年 理系 第4問 解説

方針・初手
(1) 直角が1つの頂点に集まっているため、その頂点を原点とする空間座標を設定すると計算が容易になる。各辺の長さを文字で置き、三平方の定理から文字を減らして1変数の最大値問題に帰着させる。 (2) 等しい長さの辺が環状に並んでいるため、対称性を活かす。ひし形を半分に折ったような立体であることを意識し、対角線の中点同士を結ぶ線分を高さの基準として体積を立式する。
どちらも最終的に「3つの正の数の積」の最大化になるため、相加平均と相乗平均の大小関係を用いると鮮やかに解くことができる。
解法1
(1) 点 $Q$ を原点とする直交座標系を設定し、半直線 $QP, QR, QS$ をそれぞれ $x$ 軸、$y$ 軸、$z$ 軸の正の向きにとる。 $P(p,0,0), R(0,r,0), S(0,0,s)$ ($p,r,s > 0$)とおくことができる。 四面体 $PQRS$ の体積 $V_1$ は
$$ V_1 = \frac{1}{6} p r s $$
である。条件 $PR = PS = a$ と三平方の定理より、
$$ p^2 + r^2 = a^2 \implies r^2 = a^2 - p^2 $$
$$ p^2 + s^2 = a^2 \implies s^2 = a^2 - p^2 $$
が成り立つ。$r, s > 0$ より $r = s = \sqrt{a^2 - p^2}$ であり、図形が存在するためには $0 < p < a$ である。 $V_1$ を 2乗して $p$ の関数として表すと、
$$ V_1^2 = \frac{1}{36} p^2 r^2 s^2 = \frac{1}{36} p^2 (a^2 - p^2)^2 = \frac{1}{72} \cdot 2p^2 (a^2 - p^2) (a^2 - p^2) $$
ここで、$2p^2 > 0, a^2 - p^2 > 0$ であるから、3つの正の数 $2p^2, a^2 - p^2, a^2 - p^2$ に対する相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$ \sqrt[3]{ 2p^2 (a^2 - p^2) (a^2 - p^2) } \leqq \frac{2p^2 + (a^2 - p^2) + (a^2 - p^2)}{3} = \frac{2a^2}{3} $$
両辺を 3乗して、
$$ 2p^2 (a^2 - p^2)^2 \leqq \frac{8a^6}{27} \implies p^2 (a^2 - p^2)^2 \leqq \frac{4a^6}{27} $$
等号成立条件は $2p^2 = a^2 - p^2 \iff 3p^2 = a^2 \iff p = \frac{a}{\sqrt{3}}$ のときであり、これは $0 < p < a$ を満たす。 したがって、
$$ V_1^2 \leqq \frac{1}{36} \cdot \frac{4a^6}{27} = \frac{a^6}{243} $$
$V_1 > 0$ より、体積の最大値は
$$ \sqrt{\frac{a^6}{243}} = \frac{a^3}{9\sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3}}{27} a^3 $$
である。
(2) $AB=BC=CD=DA=a$ である四面体 $ABCD$ について考える。 対角線 $AC$ の長さを $2x$、対角線 $BD$ の長さを $2y$ とおく($x>0, y>0$)。 $\triangle ABC$ は $AB=BC=a$ の二等辺三角形であるから、辺 $AC$ の中点を $M$ とすると $BM \perp AC$ である。 同様に、$\triangle ADC$ も $AD=CD=a$ の二等辺三角形であるから、$DM \perp AC$ である。 直角三角形 $ABM$ と $ADM$ において、三平方の定理より
$$ BM = \sqrt{a^2 - x^2}, \quad DM = \sqrt{a^2 - x^2} $$
である。(ここで $0 < x < a$) 直線 $AC$ は $BM, DM$ の両方と垂直であるため、平面 $BMD$ と垂直に交わる。四面体 $ABCD$ は $\triangle BMD$ を境に2つの三角錐 $A-BMD$ と $C-BMD$ に分かれるため、その体積 $V_2$ は
$$ V_2 = \frac{1}{3} \triangle BMD \cdot AM + \frac{1}{3} \triangle BMD \cdot CM = \frac{1}{3} \triangle BMD \cdot AC $$
となる。 次に $\triangle BMD$ の面積を求める。$\triangle BMD$ は $BM=DM$ の二等辺三角形であるから、辺 $BD$ の中点を $N$ とすると $MN \perp BD$ であり、$BN = y$ である。 直角三角形 $BMN$ において、
$$ MN = \sqrt{BM^2 - BN^2} = \sqrt{(a^2 - x^2) - y^2} = \sqrt{a^2 - x^2 - y^2} $$
ゆえに、$\triangle BMD$ の面積は
$$ \frac{1}{2} \cdot BD \cdot MN = \frac{1}{2} \cdot 2y \cdot \sqrt{a^2 - x^2 - y^2} = y\sqrt{a^2 - x^2 - y^2} $$
したがって、四面体の体積 $V_2$ は
$$ V_2 = \frac{1}{3} \cdot y\sqrt{a^2 - x^2 - y^2} \cdot 2x = \frac{2}{3} xy\sqrt{a^2 - x^2 - y^2} $$
となる。$V_2$ を 2乗すると、
$$ V_2^2 = \frac{4}{9} x^2 y^2 (a^2 - x^2 - y^2) $$
ここで、$x^2 > 0, y^2 > 0, a^2 - x^2 - y^2 > 0$ であるから、3つの正の数に対する相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$ \sqrt[3]{ x^2 \cdot y^2 \cdot (a^2 - x^2 - y^2) } \leqq \frac{x^2 + y^2 + (a^2 - x^2 - y^2)}{3} = \frac{a^2}{3} $$
両辺を 3乗して、
$$ x^2 y^2 (a^2 - x^2 - y^2) \leqq \frac{a^6}{27} $$
等号成立条件は $x^2 = y^2 = a^2 - x^2 - y^2 \iff x^2 = y^2 = \frac{a^2}{3}$ のときである。 このとき $MN = \sqrt{a^2 - \frac{a^2}{3} - \frac{a^2}{3}} = \frac{a}{\sqrt{3}} > 0$ となり四面体は確かに存在する。 したがって、
$$ V_2^2 \leqq \frac{4}{9} \cdot \frac{a^6}{27} = \frac{4a^6}{243} $$
$V_2 > 0$ より、体積の最大値は
$$ \sqrt{\frac{4a^6}{243}} = \frac{2a^3}{9\sqrt{3}} = \frac{2\sqrt{3}}{27} a^3 $$
である。
解説
立体図形の体積の最大化を求める良問である。 (1)は $p$ の関数として立式したあと、微分($f(x) = x(a^2-x)^2$ の増減を調べる)を用いて最大値を求めることも可能であるが、式変形を工夫して相加平均・相乗平均の大小関係を利用すると計算量を大幅に削減できる。 (2)も同様に、展開して偏微分などを用いるよりも、$x^2, y^2, a^2-x^2-y^2$ という「和が一定($a^2$)になる3つの正の数」の積の形を作り出すアプローチが最も鮮やかである。対称性の高い図形では、この手法が使えることが非常に多いので定石として覚えておきよう。
答え
(1)
$$ \frac{\sqrt{3}}{27} a^3 $$
(2)
$$ \frac{2\sqrt{3}}{27} a^3 $$
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