京都大学 1974年 理系 第2問 解説

方針・初手
半球のへりの大円の中心を原点とし、鉛直下向きに座標軸をとって、水面の深さと切り口の面積の関係を立式する。 水面の下がる速さが一定であることから、時刻 $t$ における水面の深さを $t$ の式で表し、定積分を用いて汲み出した水の体積を求める。 さらに、その体積を時間 $t$ で微分することで、水を汲み出す速さ(体積の時間変化率)を求める。
解法1
半球のへりの大円の中心を原点 $O$ とし、鉛直下向きに $x$ 軸をとる。 容器は $0 \leqq x \leqq 10$ の範囲にある。 深さ $x$ における水平な切り口は、三平方の定理より半径 $\sqrt{10^2 - x^2} = \sqrt{100 - x^2}$ の円となる。 したがって、深さ $x$ における断面積 $S(x)$ は以下のようになる。
$$ S(x) = \pi (\sqrt{100-x^2})^2 = \pi (100-x^2) $$
(i)
水面の下がる速さが $v \ (\text{cm/秒})$ で一定であるから、$t$ 秒後の水面の深さ $x$ は $x = vt$ と表せる。 $t$ 秒間にくみ出す水の量 $V(t)$ は、深さ $0$ から $vt$ までの容器の部分の体積に等しいので、断面積 $S(x)$ を $0$ から $vt$ まで定積分して求める。
$$ V(t) = \int_{0}^{vt} S(x) \, dx $$
$$ V(t) = \int_{0}^{vt} \pi (100-x^2) \, dx $$
$$ V(t) = \pi \left[ 100x - \frac{1}{3}x^3 \right]_{0}^{vt} $$
$$ V(t) = \pi \left( 100vt - \frac{1}{3}v^3 t^3 \right) $$
これが $t$ 秒間にくみ出す水の量である。
(ii)
$t$ 秒後において水をくみ出す速さは、くみ出した水の量 $V(t)$ の時間 $t$ についての変化率、すなわち導関数 $\frac{dV}{dt}$ である。 (i) で求めた $V(t)$ を $t$ で微分する。
$$ \frac{dV}{dt} = \frac{d}{dt} \left\{ \pi \left( 100vt - \frac{1}{3}v^3 t^3 \right) \right\} $$
$$ \frac{dV}{dt} = \pi \left( 100v - \frac{1}{3}v^3 \cdot 3t^2 \right) $$
$$ \frac{dV}{dt} = \pi (100v - v^3 t^2) $$
$$ \frac{dV}{dt} = \pi v(100 - v^2 t^2) $$
これが求める水をくみ出す速さである。
解法2
(ii) における合成関数の微分法を用いた別解。
くみ出した水の量 $V$ は水面の深さ $x$ の関数であり、深さ $x$ は時間 $t$ の関数である。 水をくみ出す速さ $\frac{dV}{dt}$ は、合成関数の微分法により以下のように計算できる。
$$ \frac{dV}{dt} = \frac{dV}{dx} \cdot \frac{dx}{dt} $$
ここで、深さ $x$ までの体積 $V(x) = \int_{0}^{x} S(u) \, du$ を $x$ で微分すると、微分積分学の基本定理より $\frac{dV}{dx} = S(x) = \pi(100-x^2)$ である。 また、水面の下がる速さが $v$ であるから、$\frac{dx}{dt} = v$ である。 したがって、$x=vt$ を代入して次のように求まる。
$$ \frac{dV}{dt} = \pi(100 - x^2) \cdot v $$
$$ \frac{dV}{dt} = \pi v (100 - v^2 t^2) $$
解説
回転体の体積と導関数の意味を問う標準的な微積分の問題だ。
座標軸の設定は自由だが、大円を基準にして下向きに軸をとるのが、計算の符号間違いを防ぎやすく最も自然な方針だ。
(ii) の「くみ出す速さ」は、体積の時刻 $t$ での微分(変化率)を意味する。解法1のように求めた体積の式を直接 $t$ で微分するのが素直だが、解法2のように「微小時間における体積の増加分 = 断面積 $\times$ 水面の降下距離」と捉えて連鎖律(合成関数の微分)を用いると、積分計算を省略して見通しよく解くことができる。
答え
(i)
$$ \pi \left( 100vt - \frac{1}{3}v^3 t^3 \right) \ (\text{cm}^3) $$
(ii)
$$ \pi v(100 - v^2 t^2) \ (\text{cm}^3/\text{秒}) $$
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