京都大学 2010年 理系 第6問(甲) 解説

方針・初手
立方体をその対角線を軸にして回転させる問題です。回転体の体積を求める基本方針として、「回転軸に垂直な平面で立体を切断し、その断面を回転させたときの面積を積分する」という手順をとります。
- 回転軸 $OF$ 上の点を、原点からの距離などを用いてパラメタライズします。
- 回転軸に垂直な平面で立方体を切断したときの断面(多角形)を考えます。
- その断面内で、軸(平面と軸の交点)から最も遠い点までの距離を求めます。これが回転体の半径になります。
- 断面の面積を軸方向に沿って積分し、体積を求めます。
解法1
立方体は、不等式 $0 \leqq x \leqq 1$, $0 \leqq y \leqq 1$, $0 \leqq z \leqq 1$ が表す領域である。 回転軸は原点 $O(0,0,0)$ と $F(1,1,1)$ を通る直線 $OF$ であり、方向ベクトルは $\vec{d} = (1,1,1)$ である。
直線 $OF$ に垂直な平面 $\alpha$ の方程式を $x+y+z=k$ とおく。立方体と交わる範囲は $0 \leqq k \leqq 3$ である。 平面 $\alpha$ と直線 $OF$ の交点を $H$ とすると、$H$ は平面 $\alpha$ 上にあり、かつ $H(t,t,t)$ とおけるため、$t+t+t=k$ より $t=\dfrac{k}{3}$ となる。すなわち $H\!\left(\dfrac{k}{3}, \dfrac{k}{3}, \dfrac{k}{3}\right)$ である。
点 $H$ の原点 $O$ からの距離を $s = OH$ とすると、$s = \sqrt{\left(\dfrac{k}{3}\right)^2 \times 3} = \dfrac{k}{\sqrt{3}}$ であり、$k$ が $0$ から $3$ まで変化するとき、$s$ は $0$ から $\sqrt{3}$ まで変化する。
平面 $\alpha$ による立方体の切断面を $S_k$ とする。断面 $S_k$ 内の点 $Q(x,y,z)$ を軸 $OF$ の周りに回転させたときの軌跡は、半径 $HQ$ の円盤となる。したがって、この平面における回転体の断面の半径 $R(k)$ は、$S_k$ 内の点における $HQ$ の最大値に等しい。
$$ HQ^2 = \left(x - \frac{k}{3}\right)^2 + \left(y - \frac{k}{3}\right)^2 + \left(z - \frac{k}{3}\right)^2 = x^2+y^2+z^2 - \frac{2}{3}k(x+y+z) + \frac{1}{3}k^2 $$
$Q$ は平面 $\alpha$ 上にあるため $x+y+z=k$ であり、
$$ HQ^2 = x^2+y^2+z^2 - \frac{k^2}{3} $$
となる。$k$ を固定したとき、$HQ^2$ が最大となるのは $f(x,y,z) = x^2+y^2+z^2$ が最大となるときである。
関数 $f(x,y,z)$ は下に凸な関数であり、$S_k$ は立方体と平面の共通部分である凸多角形であるから、最大値はその頂点でとる。
$S_k$ の頂点は、立方体の辺と平面 $\alpha$ の交点である。また、立方体は点 $\left(\dfrac{1}{2}, \dfrac{1}{2}, \dfrac{1}{2}\right)$ に関して点対称であるため、断面の形状は $k = \dfrac{3}{2}$ を境に対称となる。よって $0 \leqq k \leqq \dfrac{3}{2}$ の範囲で考える。
(i) $0 \leqq k \leqq 1$ のとき
平面 $x+y+z=k$ と交わる辺は、原点 $O$ から出る3本の辺($x$ 軸、$y$ 軸、$z$ 軸上の線分)である。 交点は $(k, 0, 0)$, $(0, k, 0)$, $(0, 0, k)$ の3つであり、いずれの点でも $x^2+y^2+z^2 = k^2$ である。
したがって、
$$ R(k)^2 = k^2 - \frac{k^2}{3} = \frac{2}{3}k^2 $$
(ii) $1 \leqq k \leqq \dfrac{3}{2}$ のとき
平面 $x+y+z=k$ と交わる辺は、座標の1つが $1$、1つが $0$ に固定されている6本の辺である。 たとえば辺($x=1, z=0, 0 \leqq y \leqq 1$)上の点との交点は $1+y+0=k$ より $(1, k-1, 0)$ となる。$1 \leqq k \leqq 2$ であれば $0 \leqq k-1 \leqq 1$ を満たすため、確かに辺上の点である。
対称性より、交点は $(1, k-1, 0)$, $(1, 0, k-1)$, $(k-1, 1, 0)$, $(0, 1, k-1)$, $(k-1, 0, 1)$, $(0, k-1, 1)$ の6点となる。 これらの点に対して、
$$ x^2+y^2+z^2 = 1^2 + (k-1)^2 + 0^2 = k^2 - 2k + 2 $$
したがって、
$$ R(k)^2 = (k^2 - 2k + 2) - \frac{k^2}{3} = \frac{2}{3}k^2 - 2k + 2 $$
求める回転体の体積 $V$ は、微小厚さ $ds = \dfrac{1}{\sqrt{3}} dk$ の円柱の体積 $\pi R(k)^2\, ds$ を $0 \leqq k \leqq 3$ で積分したものである。 対称性から $0 \leqq k \leqq \dfrac{3}{2}$ の部分を2倍して計算する。
$$ V = 2 \int_0^{\frac{3}{2}} \pi R(k)^2\, ds = \frac{2\pi}{\sqrt{3}} \int_0^{\frac{3}{2}} R(k)^2\, dk $$
積分を2つの区間に分けて計算する。
$$ \int_0^{\frac{3}{2}} R(k)^2\, dk = \int_0^1 \frac{2}{3}k^2\, dk + \int_1^{\frac{3}{2}} \left( \frac{2}{3}k^2 - 2k + 2 \right) dk $$
それぞれの定積分は、
$$ \int_0^1 \frac{2}{3}k^2\, dk = \left[ \frac{2}{9}k^3 \right]_0^1 = \frac{2}{9} $$
$$ \int_1^{\frac{3}{2}} \left( \frac{2}{3}k^2 - 2k + 2 \right) dk = \left[ \frac{2}{9}k^3 - k^2 + 2k \right]_1^{\frac{3}{2}} $$
$$ = \left( \frac{2}{9}\cdot\frac{27}{8} - \frac{9}{4} + 3 \right) - \left( \frac{2}{9} - 1 + 2 \right) = \left( \frac{3}{4} - \frac{9}{4} + 3 \right) - \frac{11}{9} = \frac{3}{2} - \frac{11}{9} = \frac{5}{18} $$
よって、
$$ V = \frac{2\pi}{\sqrt{3}} \left( \frac{2}{9} + \frac{5}{18} \right) = \frac{2\pi}{\sqrt{3}} \cdot \frac{9}{18} = \frac{\pi}{\sqrt{3}} $$
解説
空間図形を特定の軸の周りに回転させた立体の体積を求める典型的な問題です。いわゆる「傘型分割」と呼ばれる手法で、回転軸に垂直な平面で立体を切断し、その断面上で「軸から最も遠い点」までの距離(回転体の半径)を求めることが基本方針となります。
今回、平面と立方体が交わってできる断面は凸多角形になるため、軸(重心)から最も遠い点は必ず多角形の頂点になります。
さらに、立方体の点対称性を活用することで、片側半分の積分だけで済むように工夫すると、計算量を減らしてミスを防ぐことができます。平面の方程式 $x+y+z=k$ と立方体の辺との交点を具体的に書き出すことで、確実に見通しよく立式できます。
答え
$$ \frac{\sqrt{3}}{3}\pi $$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











