九州大学 2003年 文系 第1問 解説

方針・初手
$0 \leqq x \leqq 1$ で不等式 $ax^2 + c \geqq (x+1)^2$ が常に成り立つ条件を考える。これを $c$ について解いた形 $c \geqq -ax^2 + (x+1)^2$ に変形し、右辺を $g(x)$ とおく。 区間 $0 \leqq x \leqq 1$ における $g(x)$ の最大値 $M(a)$ を求めれば、条件は $c \geqq M(a)$ となるため、最小の $c$ の値は $M(a)$ となる。 $g(x)$ は2次関数または1次関数となるが、$x^2$ の係数 $1-a$ の正負と軸の位置によって最大値をとる $x$ が変化するため、(1)および(2)の誘導に従って $a$ の値で場合分けをして $M(a)$ を求める。(3)は定積分を計算した上で、(1)(2)の結果を利用して最小値問題に帰着させる。
解法1
(1)
条件 $(*)$ は、 $0 \leqq x \leqq 1$ において
$$ c \geqq -ax^2 + (x+1)^2 $$
$$ c \geqq (1-a)x^2 + 2x + 1 $$
が常に成り立つことである。 $g(x) = (1-a)x^2 + 2x + 1$ とおく。条件 $(*)$ を満たす最小の $c$ の値は、 $0 \leqq x \leqq 1$ における $g(x)$ の最大値に等しい。
$a \geqq 2$ のとき、 $1-a \leqq -1 < 0$ であるから、$y=g(x)$ のグラフは上に凸の放物線である。 $g(x)$ を平方完成すると、
$$ g(x) = (1-a) \left( x + \frac{1}{1-a} \right)^2 - \frac{1}{1-a} + 1 = (1-a) \left( x - \frac{1}{a-1} \right)^2 + \frac{a}{a-1} $$
放物線の軸は $x = \frac{1}{a-1}$ である。 $a \geqq 2$ より $a-1 \geqq 1$ であるから、
$$ 0 < \frac{1}{a-1} \leqq 1 $$
が成り立つ。すなわち、軸 $x = \frac{1}{a-1}$ は区間 $0 \leqq x \leqq 1$ に含まれる。 したがって、$g(x)$ は頂点である $x = \frac{1}{a-1}$ で最大値をとる。 その最大値は、
$$ g\left( \frac{1}{a-1} \right) = \frac{a}{a-1} $$
よって、$a \geqq 2$ のとき、条件 $(*)$ を満たす最小の $c$ の値は $\frac{a}{a-1}$ である。(証明終)
(2)
$a \leqq 2$ のとき、 $0 \leqq x \leqq 1$ における $g(x)$ の最大値を求める。 $a$ の値によって $y=g(x)$ のグラフの形状や軸の位置が異なるため、場合分けをして考える。
(i) $a < 1$ のとき $1-a > 0$ となり、$y=g(x)$ は下に凸の放物線となる。 軸は $x = \frac{1}{a-1}$ であり、$a-1 < 0$ より軸は $x < 0$ となる。 したがって、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において $g(x)$ は単調増加する関数である。 最大値は $x = 1$ のときにとり、
$$ g(1) = (1-a) + 2 + 1 = 4-a $$
(ii) $a = 1$ のとき $g(x) = 2x + 1$ となり、傾きが正の直線となる。 単調増加であるから、最大値は $x = 1$ のときにとり、
$$ g(1) = 3 $$
これは $4-a$ に $a=1$ を代入した値と一致する。
(iii) $1 < a \leqq 2$ のとき $1-a < 0$ となり、$y=g(x)$ は上に凸の放物線となる。 軸は $x = \frac{1}{a-1}$ であり、$1 < a \leqq 2$ より $0 < a-1 \leqq 1$ であるから、
$$ \frac{1}{a-1} \geqq 1 $$
となる。すなわち、軸は区間 $0 \leqq x \leqq 1$ の右側(または右端)にある。 したがって、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において $g(x)$ は単調増加する関数である。 最大値は $x = 1$ のときにとり、
$$ g(1) = (1-a) + 2 + 1 = 4-a $$
(i) 〜 (iii) より、 $a \leqq 2$ のとき常に $g(x)$ の最大値は $4-a$ である。 よって、条件 $(*)$ を満たす最小の $c$ の値は $4-a$ である。(証明終)
(3)
定積分を計算すると、
$$ \int_0^1 f(x) dx = \int_0^1 (ax^2 + c) dx = \left[ \frac{a}{3}x^3 + cx \right]_0^1 = \frac{a}{3} + c $$
条件 $(*)$ を満たすとき、(1)および(2)により $c$ のとりうる最小値は $a$ に応じて決まっている。定積分 $\frac{a}{3} + c$ を最小にするには、$c$ は条件を満たす範囲で最小の値をとるべきである。 このときの定積分の最小値を $I(a)$ とおく。
(i) $a \geqq 2$ のとき (1)より $c = \frac{a}{a-1}$ であるから、
$$ I(a) = \frac{a}{3} + \frac{a}{a-1} = \frac{a-1+1}{3} + \frac{a-1+1}{a-1} = \frac{1}{3}(a-1) + \frac{1}{a-1} + \frac{4}{3} $$
$a \geqq 2$ より $a-1 > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$ \frac{1}{3}(a-1) + \frac{1}{a-1} \geqq 2 \sqrt{ \frac{1}{3}(a-1) \cdot \frac{1}{a-1} } = \frac{2\sqrt{3}}{3} $$
等号が成立するのは、 $\frac{1}{3}(a-1) = \frac{1}{a-1}$ すなわち $(a-1)^2 = 3$ のときである。 $a-1 > 0$ より $a-1 = \sqrt{3}$ であり、$a = 1 + \sqrt{3}$ となる。 これは $a = 1 + 1.732\cdots > 2$ であり、条件 $a \geqq 2$ を満たしている。 このとき、定積分の値は極小かつ最小となり、
$$ I(1+\sqrt{3}) = \frac{2\sqrt{3}}{3} + \frac{4}{3} = \frac{4+2\sqrt{3}}{3} $$
このときの $c$ の値は、
$$ c = \frac{1+\sqrt{3}}{\sqrt{3}} = \frac{3+\sqrt{3}}{3} $$
(ii) $a \leqq 2$ のとき (2)より $c = 4-a$ であるから、
$$ I(a) = \frac{a}{3} + 4 - a = 4 - \frac{2}{3}a $$
$a \leqq 2$ の範囲で $I(a)$ は単調に減少する関数であるから、$a = 2$ のとき最小となる。
$$ I(2) = 4 - \frac{2}{3} \cdot 2 = \frac{8}{3} $$
(i) と (ii) のそれぞれの最小値を比較する。
$$ \frac{8}{3} - \frac{4+2\sqrt{3}}{3} = \frac{4-2\sqrt{3}}{3} = \frac{\sqrt{16}-\sqrt{12}}{3} > 0 $$
これより、 $\frac{4+2\sqrt{3}}{3} < \frac{8}{3}$ であることがわかる。 したがって、全体での最小値は $a \geqq 2$ の場合にとる。
解説
不等式が「すべての $x$ で成り立つ条件」を扱う問題であり、定数分離に近い形で $c \geqq g(x)$ と変形し、関数の最大値の問題に帰着させるのが定石である。(1)(2)は $x^2$ の係数や軸の位置がパラメータ $a$ に依存して変化するため、適切な場合分けが要求される。 (3)では、定積分を計算したあとの形に $c$ の最小値を代入し、 $a$ の関数として最小化する。分数関数の最小値は微分を用いて求めることもできるが、式変形を行って相加平均・相乗平均の関係を用いる手法が計算ミスも少なく簡便である。
答え
(1) 与式を変形し、放物線の頂点を調べることで題意は示された。 (2) 場合分けを用いて、区間内の単調性を調べることで題意は示された。 (3) $a = 1+\sqrt{3}, c = \frac{3+\sqrt{3}}{3}$ のとき、定積分の値は $\frac{4+2\sqrt{3}}{3}$
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