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九州大学 2005年 文系 第1問 解説

数学1/二次関数数学2/微分法数学2/積分法テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
九州大学 2005年 文系 第1問 解説

方針・初手

曲線上の動点と定点との距離の最小化問題である。距離の平方を関数として立式し、その最小値を求めるアプローチをとる。後半は定積分による面積計算と、相加平均と相乗平均の大小関係を用いた最小値の決定という、標準的な流れである。

解法1

(1) 曲線 $C$ 上の点 $Q$ の座標を $(t, at^2) \ (t \geqq 0)$ とおく。 点 $A\left(0, a + \frac{1}{2a}\right)$ と点 $Q$ の距離の2乗を $f(t)$ とすると、

$$ f(t) = t^2 + \left( at^2 - a - \frac{1}{2a} \right)^2 $$

これを展開して整理する。

$$ \begin{aligned} f(t) &= t^2 + a^2t^4 - 2a\left(a + \frac{1}{2a}\right)t^2 + \left(a + \frac{1}{2a}\right)^2 \\ &= a^2t^4 + t^2 - \left(2a^2 + 1\right)t^2 + \left(a + \frac{1}{2a}\right)^2 \\ &= a^2t^4 - 2a^2t^2 + \left(a + \frac{1}{2a}\right)^2 \\ &= a^2(t^2 - 1)^2 - a^2 + a^2 + 1 + \frac{1}{4a^2} \\ &= a^2(t^2 - 1)^2 + 1 + \frac{1}{4a^2} \end{aligned} $$

$a$ は正の実数であり、$t \geqq 0$ であるから、$f(t)$ は $t^2 - 1 = 0$ すなわち $t = 1$ のとき最小となる。 点 $P$ は距離が最小となる点であるから、$t = 1$ に対応する。 このとき、点 $P$ の座標は $(1, a)$ である。 また、線分 $AP$ の長さは $\sqrt{f(1)}$ であるから、

$$ AP = \sqrt{1 + \frac{1}{4a^2}} = \sqrt{\frac{4a^2 + 1}{4a^2}} = \frac{\sqrt{4a^2 + 1}}{2a} $$

(2) 曲線 $C$ と $y$ 軸、および線分 $AP$ で囲まれる図形は、$0 \leqq x \leqq 1$ の範囲にある。 2点 $A\left(0, a + \frac{1}{2a}\right)$、$P(1, a)$ を通る直線の方程式を求める。 傾きは、

$$ \frac{a - \left(a + \frac{1}{2a}\right)}{1 - 0} = -\frac{1}{2a} $$

であるから、直線 $AP$ の方程式は $y = -\frac{1}{2a}x + a + \frac{1}{2a}$ となる。 区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において、図形的に直線 $AP$ は曲線 $C$ の上側にあるため、面積 $S(a)$ は以下のように立式できる。

$$ \begin{aligned} S(a) &= \int_0^1 \left\{ \left(-\frac{1}{2a}x + a + \frac{1}{2a}\right) - ax^2 \right\} dx \\ &= \left[ -\frac{1}{4a}x^2 + \left(a + \frac{1}{2a}\right)x - \frac{a}{3}x^3 \right]_0^1 \\ &= -\frac{1}{4a} + a + \frac{1}{2a} - \frac{a}{3} \\ &= \frac{2}{3}a + \frac{1}{4a} \end{aligned} $$

(3) $a > 0$ より $\frac{2}{3}a > 0$ かつ $\frac{1}{4a} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、

$$ S(a) = \frac{2}{3}a + \frac{1}{4a} \geqq 2\sqrt{\frac{2}{3}a \cdot \frac{1}{4a}} = 2\sqrt{\frac{1}{6}} = \frac{2\sqrt{6}}{6} = \frac{\sqrt{6}}{3} $$

等号が成立するのは、$\frac{2}{3}a = \frac{1}{4a}$ のときである。

$$ \frac{2}{3}a = \frac{1}{4a} \iff a^2 = \frac{3}{8} $$

$a > 0$ であるから、

$$ a = \sqrt{\frac{3}{8}} = \frac{\sqrt{6}}{4} $$

したがって、$a = \frac{\sqrt{6}}{4}$ のとき、面積 $S(a)$ は最小値 $\frac{\sqrt{6}}{3}$ をとる。

解法2

(1) の別解

点 $A$ と曲線 $C$ 上の点 $P$ の距離が最小になるとき、線分 $AP$ は点 $P$ における曲線 $C$ の法線の一部となる。 $y = ax^2$ について $y' = 2ax$ であるから、曲線 $C$ 上の点 $(t, at^2) \ (t > 0)$ における法線の方程式は、

$$ y - at^2 = -\frac{1}{2at}(x - t) $$

この法線が点 $A\left(0, a + \frac{1}{2a}\right)$ を通る条件を求める。

$$ a + \frac{1}{2a} - at^2 = -\frac{1}{2at}(-t) $$

$$ a + \frac{1}{2a} - at^2 = \frac{1}{2a} $$

$$ a(1 - t^2) = 0 $$

$a > 0$ であり、$t > 0$ を満たす解は $t = 1$ のみである。 ($t = 0$ のときは原点であり、$A$ との距離は $a + \frac{1}{2a}$。$t = 1$ のとき距離は $\frac{\sqrt{4a^2+1}}{2a}$ となり、後者の方が短いことが確認できる) よって、点 $P$ の座標は $(1, a)$ である。 線分 $AP$ の長さは、2点間の距離の公式より

$$ AP = \sqrt{(1 - 0)^2 + \left( a - \left( a + \frac{1}{2a} \right) \right)^2} = \sqrt{1 + \frac{1}{4a^2}} = \frac{\sqrt{4a^2 + 1}}{2a} $$

(2) および (3) は解法1と同様である。

解説

(1) では、2点間の距離の2乗を考え、それが $t$ の複二次式($t^2$ の2次式)になることを見抜いて平方完成するのがもっとも簡明である。解法2として示したように、「距離が極値をとる点は、その点における法線が定点を通る」という幾何学的な性質を利用すると計算量を抑えられることが多い。 (2) は基本的な定積分の計算であり、区間内での上下関係を間違えないように注意する。 (3) は相加平均と相乗平均の大小関係を用いる典型的な最大・最小問題である。積が定数になる形の和の最小値を求める際には、等号成立条件の確認を必ず行うこと。

答え

(1) 点 $P$ の座標:$(1, a)$ 線分 $AP$ の長さ:$\frac{\sqrt{4a^2 + 1}}{2a}$

(2) $S(a) = \frac{2}{3}a + \frac{1}{4a}$

(3) 最小値 $\frac{\sqrt{6}}{3}$ $\left(a = \frac{\sqrt{6}}{4} \text{ のとき}\right)$

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