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名古屋大学 2020年 文系 第1問 解説

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名古屋大学 2020年 文系 第1問 解説

方針・初手

2次方程式の解の配置問題と、絶対値を含む定積分、および微分による最小値問題の総合問題である。

(1) では、放物線 $y = f(x)$ の「頂点の位置」「判別式」「端点での符号」から、解が存在する条件を絞り込む。

(2) では、被積分関数に絶対値がついているため、積分区間を $f(x)$ の正負で分割する。定積分の図形的な意味から、全体の面積から負の部分の面積の2倍を引く形に変形すると、いわゆる「$\frac{1}{6}$ 公式」が使えて計算が容易になる。

(3) では、(2) で求めた関数 $S(a)$ を微分して増減を調べる。$S(a)$ が偶関数であることに着目すると、考察範囲を半分に減らすことができる。

解法1

(1)

$$ f(x) = 2x^2 - 2ax - a^2 = 2 \left( x - \frac{a}{2} \right)^2 - \frac{3}{2}a^2 $$

方程式 $f(x) = 0$ について、判別式を $D$ とすると $\frac{D}{4} = (-a)^2 - 2(-a^2) = 3a^2 \geqq 0$ となり、すべての実数 $a$ について常に実数解をもつ。

方程式の解 $t$ が必ず $-1 \leqq t \leqq 1$ をみたすためには、$y = f(x)$ のグラフが $x$ 軸と交わる点がすべて $-1 \leqq x \leqq 1$ の範囲にあればよい。 そのための条件は、放物線の軸の位置および区間の端点での $y$ 座標の符号について、以下の連立不等式が成り立つことである。

$$ \begin{cases} -1 \leqq \frac{a}{2} \leqq 1 \\ f(-1) \geqq 0 \\ f(1) \geqq 0 \end{cases} $$

これを解くと、以下のようになる。

$$ \begin{cases} -2 \leqq a \leqq 2 \\ 2 + 2a - a^2 \geqq 0 \\ 2 - 2a - a^2 \geqq 0 \end{cases} $$

第2式より $a^2 - 2a - 2 \leqq 0$ となり、$1 - \sqrt{3} \leqq a \leqq 1 + \sqrt{3}$。 第3式より $a^2 + 2a - 2 \leqq 0$ となり、$-1 - \sqrt{3} \leqq a \leqq -1 + \sqrt{3}$。

$1 < \sqrt{3} < 2$ であることを考慮して、これら3つの条件の共通範囲を求めると、

$$ 1 - \sqrt{3} \leqq a \leqq -1 + \sqrt{3} $$

(2)

方程式 $f(x) = 0$ の2つの解を $\alpha, \beta$ ($\alpha \leqq \beta$)とする。解の公式より、

$$ x = \frac{a \pm \sqrt{a^2 - 2(-a^2)}}{2} = \frac{a \pm \sqrt{3a^2}}{2} = \frac{a \pm \sqrt{3}|a|}{2} $$

したがって、$\beta - \alpha = \sqrt{3}|a|$ である。

(1) で求めた条件下では $-1 \leqq \alpha \leqq \beta \leqq 1$ であり、区間 $[-1, \alpha]$ および $[\beta, 1]$ では $f(x) \geqq 0$、区間 $[\alpha, \beta]$ では $f(x) \leqq 0$ となる。 したがって、積分 $S(a)$ は次のように展開できる。

$$ S(a) = \int_{-1}^1 |f(x)| dx = \int_{-1}^{\alpha} f(x) dx - \int_{\alpha}^{\beta} f(x) dx + \int_{\beta}^1 f(x) dx $$

ここで、積分区間全体について $\int_{-1}^1 f(x) dx = \int_{-1}^{\alpha} f(x) dx + \int_{\alpha}^{\beta} f(x) dx + \int_{\beta}^1 f(x) dx$ であることを用いると、次のように変形できる。

$$ S(a) = \int_{-1}^1 f(x) dx - 2\int_{\alpha}^{\beta} f(x) dx $$

それぞれの積分を計算する。

$$ \int_{-1}^1 f(x) dx = \int_{-1}^1 (2x^2 - 2ax - a^2) dx = 2 \int_{0}^1 (2x^2 - a^2) dx = 2 \left[ \frac{2}{3}x^3 - a^2x \right]_0^1 = \frac{4}{3} - 2a^2 $$

$$ \int_{\alpha}^{\beta} f(x) dx = \int_{\alpha}^{\beta} 2(x - \alpha)(x - \beta) dx = -\frac{2}{6} (\beta - \alpha)^3 = -\frac{1}{3} (\sqrt{3}|a|)^3 = -\sqrt{3}|a|^3 $$

これらを $S(a)$ の式に代入する。

$$ S(a) = \frac{4}{3} - 2a^2 - 2 \left( -\sqrt{3}|a|^3 \right) = 2\sqrt{3}|a|^3 - 2a^2 + \frac{4}{3} $$

(3)

$S(a)$ は $S(-a) = 2\sqrt{3}|-a|^3 - 2(-a)^2 + \frac{4}{3} = S(a)$ を満たすため、偶関数である。したがって、$a \geqq 0$ すなわち $0 \leqq a \leqq -1 + \sqrt{3}$ の範囲について調べる。 この範囲では $|a| = a$ であり、

$$ S(a) = 2\sqrt{3}a^3 - 2a^2 + \frac{4}{3} $$

これを $a$ について微分すると、

$$ S'(a) = 6\sqrt{3}a^2 - 4a = 2a(3\sqrt{3}a - 2) $$

$S'(a) = 0$ となるのは $a = 0, \frac{2}{3\sqrt{3}}$ のときである。$\frac{2}{3\sqrt{3}} = \frac{2\sqrt{3}}{9}$ と表す。 ここで、区間の右端 $-1 + \sqrt{3}$ と大小を比較する。$\sqrt{3} \fallingdotseq 1.732$ より、$\frac{2\sqrt{3}}{9} \fallingdotseq 0.38$、$-1 + \sqrt{3} \fallingdotseq 0.73$ であるから、$0 < \frac{2\sqrt{3}}{9} < -1 + \sqrt{3}$ が成り立つ。

$a \geqq 0$ の範囲での増減表は以下のようになる。

$a$ $0$ $\cdots$ $\frac{2\sqrt{3}}{9}$ $\cdots$ $-1+\sqrt{3}$
$S'(a)$ $0$ $-$ $0$ $+$
$S(a)$ $\frac{4}{3}$ $\searrow$ 極小かつ最小 $\nearrow$

したがって、$a \geqq 0$ における最小値は $a = \frac{2\sqrt{3}}{9}$ のときにとる。 $S(a)$ は偶関数であるから、$a < 0$ の範囲も含めて対称性を考慮すると、最小値をとる $a$ の値は $a = \pm \frac{2\sqrt{3}}{9}$ である。

解説

2次関数の解の配置、絶対値付き定積分、微分の基本操作を問う標準的な問題である。

(1) の「解 $t$ が必ず条件を満たす」という表現は「方程式のすべての解が条件を満たす」という意味であり、2つの解(重解を含む)がともに指定された区間に入る条件を求める。 (2) の絶対値積分では、積分区間をそのまま3つに分割して愚直に計算することも可能だが、定積分の性質を活用して $\int_{-1}^1 f(x) dx - 2\int_{\alpha}^{\beta} f(x) dx$ の形に変形すると計算ミスを防ぐことができる。「$\frac{1}{6}$ 公式」の活用が鍵となる。また、$\beta - \alpha$ を求めるときに $a$ の符号が決まっていないため、$|a|$ を忘れないように注意が必要である。 (3) では、関数 $S(a)$ が偶関数($y$ 軸対称)であることを見抜ければ、微分と増減表の作成を $a \geqq 0$ の範囲に限定でき、大幅に計算の手間とミスを減らすことができる。

答え

(1) $1 - \sqrt{3} \leqq a \leqq -1 + \sqrt{3}$

(2) $S(a) = 2\sqrt{3}|a|^3 - 2a^2 + \frac{4}{3}$

(3) $a = \pm \frac{2\sqrt{3}}{9}$

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