九州大学 2004年 文系 第4問 解説

方針・初手
6個の電球それぞれの色の光り方は赤または青の2通りであるため、すべての色の並び方は $2^6 = 64$ 通りあり、これらは同様に確からしい。 「色の変化が起こる」という事象は、隣り合う2つの電球の色が異なることに等しい。6個の電球が並んでいるとき、隣り合う電球の間は $6-1=5$ 箇所ある。ここに「色が変化する箇所」として仕切りを選ぶと考えれば、組合せの問題として見通しよく解くことができる。
解法1
(1) 6個の電球の色の並び方は全体で $2^6 = 64$ 通りある。 左端が赤色で、色の変化がちょうど1回起きるパターンを考える。 隣り合う電球の間は5箇所あり、色の変化が1回起きるということは、この5箇所のうち1箇所でのみ色が異なるということである。 その色が変化する箇所の選び方は ${}_5\mathrm{C}_1 = 5$ 通りある。 左端が赤色と決まっているため、色が変化する箇所が1つ決まれば、6個すべての電球の色は一意に定まる。 したがって、求める確率は
$$ \frac{5}{64} $$
である。
(2) 「少なくとも2回起きる」事象は、「0回起きる」または「1回起きる」事象の余事象である。
色の変化が0回起きるパターンは、すべて赤色か、すべて青色の2通りである。
色の変化が1回起きるパターンは、(1) と同様に考えると、変化する箇所の選び方が ${}_5\mathrm{C}_1 = 5$ 通りであり、左端の色の選び方が赤または青の2通りあるため、$2 \times 5 = 10$ 通りである。
よって、色の変化が0回または1回起きる確率は
$$ \frac{2 + 10}{64} = \frac{12}{64} = \frac{3}{16} $$
となる。したがって、求める余事象の確率は
$$ 1 - \frac{3}{16} = \frac{13}{16} $$
である。
(3) 色の変化がちょうど $n$ 回起きる確率を求める。 隣り合う電球の間5箇所のうち、色が変化する $n$ 箇所を選ぶ。その選び方は ${}_5\mathrm{C}_n$ 通りである。 左端の電球の色の選び方は赤または青の2通りである。 左端の色と色が変化する箇所が決まれば、6個すべての電球の色は一意に定まる。 したがって、条件を満たす色の並び方は $2 \times {}_5\mathrm{C}_n$ 通りとなるため、求める確率は
$$ \frac{2 \times {}_5\mathrm{C}_n}{2^6} = \frac{{}_5\mathrm{C}_n}{32} $$
である。
(4) (3) より、色の変化の回数が $n$ となる確率は $P(n) = \frac{{}_5\mathrm{C}_n}{32}$ である。 求める期待値 $E$ は、
$$ E = \sum_{n=0}^5 n \frac{{}_5\mathrm{C}_n}{32} $$
である。ここで、二項係数の性質 $n \cdot {}_5\mathrm{C}_n = 5 \cdot {}_4\mathrm{C}_{n-1}$ ($1 \leqq n \leqq 5$)を用いると、
$$ \begin{aligned} E &= \frac{1}{32} \sum_{n=1}^5 5 \cdot {}_4\mathrm{C}_{n-1} \\ &= \frac{5}{32} ( {}_4\mathrm{C}_0 + {}_4\mathrm{C}_1 + {}_4\mathrm{C}_2 + {}_4\mathrm{C}_3 + {}_4\mathrm{C}_4 ) \\ &= \frac{5}{32} \cdot (1+1)^4 \\ &= \frac{5}{32} \cdot 16 \\ &= \frac{5}{2} \end{aligned} $$
である。
解法2
(4) の別解(期待値の線形性を用いた解法)
左から $k$ 番目($1 \leqq k \leqq 5$)の電球と $k+1$ 番目の電球の色が異なる場合に $1$、同じ場合に $0$ をとる確率変数 $X_k$ を考える。 $k$ 番目の電球の色が赤であれ青であれ、$k+1$ 番目の電球の色がそれと異なる確率は $\frac{1}{2}$ であるため、
$$ P(X_k = 1) = \frac{1}{2}, \quad P(X_k = 0) = \frac{1}{2} $$
となる。このとき、$X_k$ の期待値は
$$ E[X_k] = 1 \cdot \frac{1}{2} + 0 \cdot \frac{1}{2} = \frac{1}{2} $$
である。色の変化の総回数を表す確率変数 $X$ は $X = X_1 + X_2 + X_3 + X_4 + X_5$ と表せる。 期待値の線形性より、
$$ \begin{aligned} E[X] &= E[X_1 + X_2 + X_3 + X_4 + X_5] \\ &= E[X_1] + E[X_2] + E[X_3] + E[X_4] + E[X_5] \\ &= 5 \times \frac{1}{2} \\ &= \frac{5}{2} \end{aligned} $$
である。
解説
「色の変化」を「隣り合う電球の間(5箇所)から色を変える箇所を選ぶ」と言い換えることができるかが鍵となる問題である。この視点を持てば、(1) から (3) は標準的な反復試行・組合せの問題に帰着できる。 (4) については、(3) の結果を利用して定義通りに計算する(解法1)のが自然な流れであるが、シグマ計算や二項係数の扱いに慣れている必要がある。一方で、確率変数を「各すきまでの変化の有無」に分解し、期待値の線形性 $E[X+Y]=E[X]+E[Y]$ を用いるアプローチ(解法2)を知っていると、煩雑な計算を回避でき、応用範囲も広いため非常に有用である。
答え
(1) $\frac{5}{64}$
(2) $\frac{13}{16}$
(3) $\frac{{}_5\mathrm{C}_n}{32}$
(4) $\frac{5}{2}$
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