九州大学 2005年 文系 第4問 解説

方針・初手
さいころの目の出方に関する確率と期待値を求める問題である。
大小関係が「$<$」で指定された条件(例えば $x_1 < x_2$)は、異なる目を選びさえすれば小さい順に一意に値が定まるため、組合せ ${}_n\mathrm{C}_r$ を用いて場合の数を数えるのが基本となる。
後半の小問では、事象の包含関係や余事象を利用して、計算の労力を減らす工夫を考える。
解法1
(1)
1から6までの目の中から異なる2つを選ぶと、小さい方が $x_1$、大きい方が $x_2$ として1通りに決まる。
その選び方は ${}_6\mathrm{C}_2 = 15$ 通りである。
残りの $x_3, x_4$ は、それぞれ1から6までのどの目が出てもよい。
さいころを4回投げたときのすべての目の出方は $6^4$ 通りであるから、求める確率は
$$ \frac{15 \times 6^2}{6^4} = \frac{15}{36} = \frac{5}{12} $$
(2)
1から6までの目の中から異なる3つを選ぶと、$x_1 < x_2 < x_3$ となる目の出方が1通りに決まる。
その選び方は ${}_6\mathrm{C}_3 = 20$ 通りである。
残りの $x_4$ は、1から6までのどの目が出てもよいので、求める確率は
$$ \frac{20 \times 6}{6^4} = \frac{20}{216} = \frac{5}{54} $$
(3)
「$x_1 < x_2$」となる事象を $A$、「$x_2 < x_3$」となる事象を $B$ とすると、求める事象は $A \cap \bar{B}$ と表せる。
ここで、事象 $A \cap B$ は「$x_1 < x_2 < x_3$」を意味する。
確率の性質から $P(A \cap \bar{B}) = P(A) - P(A \cap B)$ が成り立つ。
(1), (2) の結果より $P(A) = \frac{5}{12}$, $P(A \cap B) = \frac{5}{54}$ であるから、求める確率は
$$ P(A \cap \bar{B}) = \frac{5}{12} - \frac{5}{54} = \frac{45}{108} - \frac{10}{108} = \frac{35}{108} $$
(4)
$k$ のとりうる値は $1, 2, 3, 4$ であり、それぞれの確率 $P(k=i)$ を求める。
$k=1$ となる事象は「$x_1 \geqq x_2$」であり、これは事象 $A$ の余事象 $\bar{A}$ である。
$$ P(k=1) = 1 - P(A) = 1 - \frac{5}{12} = \frac{7}{12} $$
$k=2$ となる事象は「$x_1 < x_2$ かつ $x_2 \geqq x_3$」であり、これは (3) の事象 $A \cap \bar{B}$ に等しい。
$$ P(k=2) = \frac{35}{108} $$
$k=3$ となる事象は「$x_1 < x_2 < x_3$ かつ $x_3 \geqq x_4$」である。
「$x_1 < x_2 < x_3 < x_4$」となる事象を $C$ とすると、$P(C)$ は1から6までの目の中から異なる4つを選ぶ確率なので、
$$ P(C) = \frac{{}_6\mathrm{C}_4}{6^4} = \frac{15}{1296} = \frac{5}{432} $$
「$x_1 < x_2 < x_3$」となる事象は $A \cap B$ であり、$k=3$ となる事象は $(A \cap B) \cap \bar{C}$ と表せる。
$$ P(k=3) = P(A \cap B) - P(C) = \frac{5}{54} - \frac{5}{432} = \frac{40 - 5}{432} = \frac{35}{432} $$
$k=4$ となる事象は、問題の条件から「$x_1 < x_2 < x_3 < x_4$」であるときとして定められており、これは事象 $C$ である。
$$ P(k=4) = \frac{5}{432} $$
以上より、求める期待値 $E$ は、
$$ E = 1 \times \frac{7}{12} + 2 \times \frac{35}{108} + 3 \times \frac{35}{432} + 4 \times \frac{5}{432} $$
$$ E = \frac{252}{432} + \frac{280}{432} + \frac{105}{432} + \frac{20}{432} = \frac{657}{432} = \frac{73}{48} $$
解法2
(4) の別解
期待値の公式 $E = \sum_{i=1}^n P(k \geqq i)$ を用いる。
$k$ は $x_i \geqq x_{i+1}$ となる最小の自然数であり、$x_1 < x_2 < x_3 < x_4$ のときは $k=4$ と定められている。
$k \geqq 1$ となる確率は
$$ P(k \geqq 1) = 1 $$
$k \geqq 2$ となるのは、$k=1$ ではないとき、すなわち「$x_1 < x_2$」のときである。この確率は (1) で求めた通り、
$$ P(k \geqq 2) = \frac{5}{12} $$
$k \geqq 3$ となるのは、$k=1, 2$ ではないとき、すなわち「$x_1 < x_2 < x_3$」のときである。この確率は (2) で求めた通り、
$$ P(k \geqq 3) = \frac{5}{54} $$
$k \geqq 4$ となるのは、$k=1, 2, 3$ ではないとき、すなわち「$x_1 < x_2 < x_3 < x_4$」のときである。
6つの目から異なる4つを選ぶ選び方は ${}_6\mathrm{C}_4 = 15$ 通りであるから、その確率は
$$ P(k \geqq 4) = \frac{15}{6^4} = \frac{15}{1296} = \frac{5}{432} $$
以上より、求める期待値 $E$ は
$$ \begin{aligned} E &= P(k \geqq 1) + P(k \geqq 2) + P(k \geqq 3) + P(k \geqq 4) \\ &= 1 + \frac{5}{12} + \frac{5}{54} + \frac{5}{432} \\ &= \frac{432 + 180 + 40 + 5}{432} \\ &= \frac{657}{432} \\ &= \frac{73}{48} \end{aligned} $$
解説
- サイコロの目の大小関係(「$<$」や「$\leqq$」)が指定された確率問題は、組合せ ${}_n\mathrm{C}_r$ や重複組合せ ${}_n\mathrm{H}_r$ を用いて場合の数を求めるのが定石である。
- 本問のように「$x_1 < x_2$」や「$x_1 < x_2 < x_3$」などの一部の大小関係が確定している事象を利用して、複雑な事象を切り分ける集合の考え方($P(A \cap \bar{B}) = P(A) - P(A \cap B)$)を用いると計算が劇的に楽になる。
- 期待値の計算において、$E = \sum P(k \geqq i)$ の関係式(テール確率の和)を知っていると、(4) の計算量が大幅に減る。離散確率分布における実戦的なテクニックである。
答え
(1) $\frac{5}{12}$
(2) $\frac{5}{54}$
(3) $\frac{35}{108}$
(4) $\frac{73}{48}$
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