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九州大学 1965年 理系 第1問 解説

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九州大学 1965年 理系 第1問 解説

方針・初手

二等辺三角形の性質を利用するため、辺ABの中点をMと設定します。平面と平面が垂直であるという条件は、交線(今回は辺AB)に対して垂直な2直線のなす角が $90^\circ$ になることと同値です。この性質から $\triangle CMD$ が直角三角形になることを見抜きます。

(2) の共通垂線については、直線ABが平面CMDと垂直であることに着目し、点Mから直線CDへ引いた垂線が共通垂線となることを図形的に示します。または、直交座標系を設定して機械的に処理する方針も有効です。

解法1

辺ABの中点をMとする。 $\triangle ABC$ は $AC=BC=l$ の二等辺三角形であるから、$CM \perp AB$ である。 $\triangle ABD$ は $AD=BD=m$ の二等辺三角形であるから、$DM \perp AB$ である。

2つの平面ABCと平面ABDの交線は直線ABである。 平面ABCと平面ABDが垂直に交わるという条件から、交線ABに垂直な平面ABC上の直線CMと、平面ABD上の直線DMのなす角は $90^\circ$ である。 すなわち、$\angle CMD = 90^\circ$ であり、$\triangle CMD$ は直角三角形となる。

(1)

直角三角形AMCにおいて、三平方の定理より

$$CM^2 = AC^2 - AM^2 = l^2 - \left(\frac{n}{2}\right)^2 = l^2 - \frac{n^2}{4}$$

同様に、直角三角形AMDにおいて、三平方の定理より

$$DM^2 = AD^2 - AM^2 = m^2 - \left(\frac{n}{2}\right)^2 = m^2 - \frac{n^2}{4}$$

$\triangle CMD$ は $\angle CMD = 90^\circ$ の直角三角形であるから、三平方の定理より

$$CD^2 = CM^2 + DM^2 = \left(l^2 - \frac{n^2}{4}\right) + \left(m^2 - \frac{n^2}{4}\right) = l^2 + m^2 - \frac{n^2}{2}$$

$CD > 0$ であるから

$$CD = \sqrt{l^2 + m^2 - \frac{n^2}{2}}$$

(2)

$AB \perp CM$ かつ $AB \perp DM$ であるから、直線ABは、交わる2直線CM, DMを含む平面CMDに垂直である。 したがって、直線ABは平面CMD上のすべての直線と垂直になる。

点Mから辺CDに下ろした垂線の足をHとすると、直線MHは平面CMD上の直線であるから、$AB \perp MH$ である。 また、作図より $CD \perp MH$ であるから、線分MHは辺ABと辺CDの両方に垂直であり、これが共通垂線である。

直角三角形CMDの面積に注目すると、底辺と高さの取り方を2通り考えることで

$$\frac{1}{2} \cdot CD \cdot MH = \frac{1}{2} \cdot CM \cdot DM$$

が成り立つ。これを $MH$ について解くと

$$MH = \frac{CM \cdot DM}{CD}$$

ここで、

$$CM = \sqrt{l^2 - \frac{n^2}{4}} = \frac{\sqrt{4l^2 - n^2}}{2}$$

$$DM = \sqrt{m^2 - \frac{n^2}{4}} = \frac{\sqrt{4m^2 - n^2}}{2}$$

$$CD = \sqrt{\frac{4l^2 + 4m^2 - 2n^2}{4}} = \frac{\sqrt{4l^2 + 4m^2 - 2n^2}}{2}$$

これらを代入して

$$\begin{aligned} MH &= \frac{\frac{\sqrt{4l^2 - n^2}}{2} \cdot \frac{\sqrt{4m^2 - n^2}}{2}}{\frac{\sqrt{4l^2 + 4m^2 - 2n^2}}{2}} \\ &= \frac{\sqrt{(4l^2 - n^2)(4m^2 - n^2)}}{2\sqrt{4l^2 + 4m^2 - 2n^2}} \end{aligned}$$

これが求める共通垂線の長さである。

解法2

辺ABの中点を原点 $M(0, 0, 0)$ とする座標空間を考える。 直線ABを $x$ 軸とし、$\text{A}\left(-\frac{n}{2}, 0, 0\right)$、$\text{B}\left(\frac{n}{2}, 0, 0\right)$ と設定する。 $\triangle ABC$ と $\triangle ABD$ はそれぞれ $AC=BC$、$AD=BD$ の二等辺三角形であるから、点Cと点Dは $yz$ 平面上($x=0$)に存在する。

さらに、平面ABCと平面ABDが垂直に交わることから、原点Mを通る直線MCと直線MDは直交する。 したがって、点Cを $y$ 軸上、点Dを $z$ 軸上にとっても一般性を失わない。 各座標を $\text{C}(0, y_c, 0)$、$\text{D}(0, 0, z_d)$ とおく。($y_c > 0, z_d > 0$ とする)

(1)

直角三角形AMCにおいて、

$$y_c = CM = \sqrt{AC^2 - AM^2} = \sqrt{l^2 - \frac{n^2}{4}}$$

直角三角形AMDにおいて、

$$z_d = DM = \sqrt{AD^2 - AM^2} = \sqrt{m^2 - \frac{n^2}{4}}$$

点Cと点Dの距離は

$$CD = \sqrt{(0-0)^2 + (0-y_c)^2 + (z_d-0)^2} = \sqrt{y_c^2 + z_d^2}$$

これらを代入して

$$CD = \sqrt{\left(l^2 - \frac{n^2}{4}\right) + \left(m^2 - \frac{n^2}{4}\right)} = \sqrt{l^2 + m^2 - \frac{n^2}{2}}$$

(2)

辺ABは $x$ 軸であり、辺CDは $yz$ 平面上の線分である。 $x$ 軸上の任意の点と、線分CD上の任意の点との距離が最小になるのは、両者を結ぶ線分がそれぞれに直交するとき(共通垂線)である。

$x$ 軸上の点 $\text{P}(x, 0, 0)$ と、$yz$ 平面上の線分CD上の点 $\text{Q}(0, y, z)$ の距離の2乗は

$$PQ^2 = x^2 + y^2 + z^2$$

であるから、これが最小となるのは明らかに $x = 0$ のとき、すなわち点Pが原点Mのときである。 したがって、求める共通垂線の長さは、原点Mから $yz$ 平面上の直線CDに下ろした垂線の長さに等しい。

$yz$ 平面において、直線CDの方程式は

$$\frac{y}{y_c} + \frac{z}{z_d} = 1 \iff z_d y + y_c z - y_c z_d = 0$$

原点 $(0,0)$ とこの直線の距離 $d$ を、点と直線の距離の公式を用いて求めると

$$d = \frac{|-y_c z_d|}{\sqrt{z_d^2 + y_c^2}} = \frac{y_c z_d}{\sqrt{y_c^2 + z_d^2}}$$

ここで、分母は (1) で求めた $CD$ に等しく、分子は

$$y_c z_d = \sqrt{l^2 - \frac{n^2}{4}} \sqrt{m^2 - \frac{n^2}{4}} = \frac{\sqrt{(4l^2 - n^2)(4m^2 - n^2)}}{4}$$

したがって、

$$d = \frac{\frac{\sqrt{(4l^2 - n^2)(4m^2 - n^2)}}{4}}{\frac{\sqrt{4l^2 + 4m^2 - 2n^2}}{2}} = \frac{\sqrt{(4l^2 - n^2)(4m^2 - n^2)}}{2\sqrt{4l^2 + 4m^2 - 2n^2}}$$

解説

空間図形における「2つの平面の垂直」や「共通垂線」の定義と性質を正しく理解しているかを問う標準問題です。

図形的性質から論証するのが王道(解法1)ですが、直角が多く現れる空間図形の問題では、対称性や垂直条件を利用して自分で直交座標系を設定するアプローチ(解法2)も強力な武器となります。

答え

(1)

$$\sqrt{l^2 + m^2 - \frac{n^2}{2}} \quad \left( または \frac{\sqrt{4l^2 + 4m^2 - 2n^2}}{2} \right)$$

(2)

$$\frac{\sqrt{(4l^2 - n^2)(4m^2 - n^2)}}{2\sqrt{4l^2 + 4m^2 - 2n^2}}$$

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