大阪大学 1983年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) は正四面体の4面すべてに接する球、すなわち内接球の半径を求める問題である。正四面体の体積と表面積の関係を利用するか、頂点から底面に下ろした垂線を重心で内分する性質を用いて計算する。 (2) は正四面体の3面に接し、かつ(1)の内接球に外接する球の半径を求める問題である。空間図形において、同じ「角」(3つの面の交わり)に内接する球の中心は、頂点と正四面体の中心を結ぶ直線上にあるという対称性に着目し、相似比を利用して方程式を立てるのが有効である。
解法1
(1)
正四面体を $\text{A-BCD}$ とし、1辺の長さを $a=1$ とする。 頂点 $\text{A}$ から底面 $\text{BCD}$ に下ろした垂線の足を $\text{H}$ とすると、$\text{H}$ は正三角形 $\text{BCD}$ の重心となる。
$$ \text{BH} = 1 \times \frac{\sqrt{3}}{2} \times \frac{2}{3} = \frac{\sqrt{3}}{3} $$
直角三角形 $\text{ABH}$ において三平方の定理より、正四面体の高さ $h$ は
$$ h = \text{AH} = \sqrt{\text{AB}^2 - \text{BH}^2} = \sqrt{1^2 - \left(\frac{\sqrt{3}}{3}\right)^2} = \frac{\sqrt{6}}{3} $$
正四面体の表面積を $S$、体積を $V$ とする。 底面 $\triangle \text{BCD}$ の面積は $\frac{\sqrt{3}}{4} \times 1^2 = \frac{\sqrt{3}}{4}$ であるから、
$$ S = 4 \times \frac{\sqrt{3}}{4} = \sqrt{3} $$
$$ V = \frac{1}{3} \times \triangle \text{BCD} \times h = \frac{1}{3} \times \frac{\sqrt{3}}{4} \times \frac{\sqrt{6}}{3} = \frac{\sqrt{2}}{12} $$
球 $P$ は4面すべてに接するため、正四面体の内接球である。 球 $P$ の半径を $r_1$ とすると、正四面体の体積 $V$ は内接球の中心と各面を頂点とする4つの三角錐の体積の和に等しいことから、
$$ V = \frac{1}{3} S r_1 $$
が成り立つ。これより、
$$ r_1 = \frac{3V}{S} = \frac{3 \times \frac{\sqrt{2}}{12}}{\sqrt{3}} = \frac{\sqrt{6}}{12} $$
(2)
球 $Q$ は正四面体の3面に接する。対称性より、どの3面に接するとしても同様に考えられるため、頂点 $\text{A}$ を共有する3面($\triangle \text{ABC}, \triangle \text{ACD}, \triangle \text{ADB}$)に接するとする。 球 $P$ の中心を $O_1$、球 $Q$ の中心を $O_2$、半径を $r_2$ とする。
$O_1$ と $O_2$ は、いずれも頂点 $\text{A}$ に集まる3面から等距離にあるため、線分 $\text{AH}$ 上にある。 頂点 $\text{A}$ から球の中心までの距離と、その球の半径の比は常に一定となる。 球 $P$ について、中心 $O_1$ と頂点 $\text{A}$ の距離は
$$ \text{A}O_1 = h - r_1 = \frac{\sqrt{6}}{3} - \frac{\sqrt{6}}{12} = \frac{3\sqrt{6}}{12} = 3r_1 $$
したがって、球の中心と頂点 $\text{A}$ の距離は、半径の $3$ 倍になることがわかる。 ゆえに、球 $Q$ の中心 $O_2$ と頂点 $\text{A}$ の距離についても同様に、
$$ \text{A}O_2 = 3r_2 $$
が成り立つ。
球 $P$ と球 $Q$ は互いに外接するため、中心間の距離 $O_1O_2$ は $r_1 + r_2$ である。 球 $Q$ は正四面体の内部にあるため、$O_2$ は頂点 $\text{A}$ と中心 $O_1$ の間になければならない。 (仮に $O_2$ が $O_1$ より底面側にあった場合、$\text{A}O_2 = \text{A}O_1 + O_1O_2$ となり $3r_2 = 3r_1 + r_1 + r_2 \implies r_2 = 2r_1$ となるため、球 $Q$ が正四面体からはみ出してしまう)
したがって、線分の長さについて以下の関係が成り立つ。
$$ \text{A}O_1 = \text{A}O_2 + O_2O_1 $$
それぞれの値を代入して、
$$ 3r_1 = 3r_2 + (r_1 + r_2) $$
$$ 2r_1 = 4r_2 $$
$$ r_2 = \frac{1}{2} r_1 $$
(1) の結果より $r_1 = \frac{\sqrt{6}}{12}$ であるから、
$$ r_2 = \frac{1}{2} \times \frac{\sqrt{6}}{12} = \frac{\sqrt{6}}{24} $$
解説
正四面体の内接球・外接球に関する標準的な空間図形の問題である。 (1) では、立体を分割して体積から内接球の半径を求める手法(面積から内接円の半径を求める平面図形の手法を空間に拡張したもの)が最も確実である。また、正四面体の内接球の中心が、高さとなる垂線を $3:1$ に内分するという事実を知っていれば、瞬時に答えを導くことも可能である。 (2) は、複数の球が特定の頂点に集まる面と接しているとき、その中心が一直線上にあるという対称性を見抜けるかが鍵になる。各球の中心から頂点までの距離がそれぞれの半径に比例することを利用すると、複雑な断面図を考えずとも中心間距離の方程式に帰着させることができる。
答え
(1)
球 $P$ の半径は $\frac{\sqrt{6}}{12}$
(2)
球 $Q$ の半径は $\frac{\sqrt{6}}{24}$
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