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名古屋大学 1961年 文系 第1問 解説

数学A/図形の性質数学2/指数対数数学2/微分法数学2/三角関数テーマ/整式の証明
名古屋大学 1961年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) 三角形の角と辺の関係から外接円の半径を求めるために、正弦定理を用いる。垂心の性質を利用して、分割された各三角形の角の大きさを元の $\triangle ABC$ の角で表すことが鍵となる。

(2) 対数の底が $a$ と $b$ で異なるため、底の変換公式を用いて底を統一する。与えられた等式から $ab$ と $c$ に関する条件を導き出し、証明すべき等式を $(ab-1)(c-1)=0$ と因数分解した形と結びつける。

(3) 「$x$ が増していくとき、$f(x)$ も増していく」とは、関数 $f(x)$ が単調増加関数であることを意味する。導関数 $f'(x)$ を計算し、常に $f'(x) > 0$ となることを示せばよい。

解法1

(1) $\triangle ABC$ の内角をそれぞれ $A, B, C$、外接円の半径を $R$ とする。 正弦定理より、以下の式が成り立つ。

$$\frac{BC}{\sin A} = 2R$$

次に、$\triangle HBC$ について考える。頂点 $B, C$ から対辺に下ろした垂線の足をそれぞれ $E, F$ とする。 $\triangle BCE$ は直角三角形なので、$\angle EBC = 90^\circ - C$ である。 同様に、$\triangle CBF$ において、$\angle FCB = 90^\circ - B$ である。 $\triangle HBC$ の内角の和に注目すると、

$$\angle BHC = 180^\circ - (\angle HBC + \angle HCB) = 180^\circ - \{(90^\circ - C) + (90^\circ - B)\} = B + C$$

となる。$\triangle ABC$ において $A + B + C = 180^\circ$ であるから、$B + C = 180^\circ - A$ となる。 したがって、$\angle BHC = 180^\circ - A$ である。 $\triangle HBC$ の外接円の半径を $R_1$ とし、正弦定理を適用すると、

$$\frac{BC}{\sin \angle BHC} = 2R_1$$

$$2R_1 = \frac{BC}{\sin(180^\circ - A)} = \frac{BC}{\sin A}$$

これより、$2R_1 = 2R$、すなわち $R_1 = R$ を得る。 同様の議論から、$\triangle HCA$ の外接円の半径、$\triangle HAB$ の外接円の半径もそれぞれ元の $\triangle ABC$ の外接円の半径 $R$ に等しいことが示される。

(2) 対数の底および真数の条件より、$a > 0, a \neq 1, b > 0, b \neq 1, c > 0$ である。 自然対数(あるいは任意の $1$ 以外の正の数を底とする対数)を用いて、与式の底を変換する。

$$\frac{\log c}{\log a} + \frac{\log c}{\log b} = 0$$

両辺に $\log a \log b$ を掛けると、

$$\log c \log b + \log c \log a = 0$$

$$\log c (\log a + \log b) = 0$$

対数の性質を用いて括弧内をまとめると、

$$\log c \cdot \log(ab) = 0$$

となる。 したがって、$\log c = 0$ または $\log(ab) = 0$ が成り立つ。 これはすなわち、$c = 1$ または $ab = 1$ であることを意味する。 よって、以下の等式が成立する。

$$(ab - 1)(c - 1) = 0$$

左辺を展開すると、

$$abc - ab - c + 1 = 0$$

$$abc + 1 = ab + c$$

となり、示された。

(3) 与えられた関数 $f(x) = x^3 - 4x^2 + 6x - 7$ を $x$ で微分する。

$$f'(x) = 3x^2 - 8x + 6$$

この二次式について平方完成を行うと、

$$f'(x) = 3\left(x^2 - \frac{8}{3}x\right) + 6$$

$$f'(x) = 3\left(x - \frac{4}{3}\right)^2 - 3 \cdot \frac{16}{9} + 6$$

$$f'(x) = 3\left(x - \frac{4}{3}\right)^2 - \frac{16}{3} + \frac{18}{3} = 3\left(x - \frac{4}{3}\right)^2 + \frac{2}{3}$$

となる。 すべての実数 $x$ において $\left(x - \frac{4}{3}\right)^2 \geqq 0$ であるから、常に $f'(x) \geqq \frac{2}{3} > 0$ が成り立つ。 導関数が常に正であるため、関数 $f(x)$ は単調に増加する。 したがって、$x$ が増していくとき、$f(x)$ も増していくことが示された。

解法2

(2) 底の変換公式を用いずに、等式を変形する方法を示す。 対数の底および真数の条件より、$a > 0, a \neq 1, b > 0, b \neq 1, c > 0$ である。

(i) $c = 1$ のとき 与式は $\log_a 1 + \log_b 1 = 0 + 0 = 0$ となり成立する。このとき、証明すべき等式は $ab \cdot 1 + 1 = ab + 1$ となり、両辺が等しくなるため成立する。

(ii) $c \neq 1$ のとき 底の変換公式を用いて底を $c$ に統一する。

$$\frac{1}{\log_c a} + \frac{1}{\log_c b} = 0$$

両辺に $\log_c a \log_c b$ を掛けると、

$$\log_c b + \log_c a = 0$$

$$\log_c (ab) = 0$$

これより、$ab = 1$ を得る。 このとき、証明すべき等式の左辺は $1 \cdot c + 1 = c + 1$、右辺は $1 + c$ となり、両辺が等しくなるため成立する。

以上のいずれの場合でも $abc + 1 = ab + c$ が成立するため、証明された。

(3) 判別式を用いた方法を示す。 与えられた関数 $f(x) = x^3 - 4x^2 + 6x - 7$ を $x$ で微分する。

$$f'(x) = 3x^2 - 8x + 6$$

方程式 $f'(x) = 0$ の判別式を $D$ とすると、

$$\frac{D}{4} = (-4)^2 - 3 \cdot 6 = 16 - 18 = -2$$

$D < 0$ であり、$x^2$ の係数が正であることから、すべての実数 $x$ において $f'(x) > 0$ が成り立つ。 導関数が常に正であるため、関数 $f(x)$ は単調増加する。 したがって、$x$ が増していくとき、$f(x)$ も増していくことが示された。

解説

独立した3つの小問からなる標準的な問題である。

(1) は図形の性質と三角比の融合問題。垂心が絡む角の計算は頻出であり、直角三角形の鋭角の関係から $\angle BHC = 180^\circ - A$ を導き出せるようにしておきたい。外接円の半径とくれば正弦定理という定石に素直に従うことが大切である。

(2) は対数の計算と恒等式の証明。「対数の和が0」という条件から、「真数が1」または「底同士の積が1」という条件を抽出できるかがポイント。また、証明すべき式を $(ab-1)(c-1)=0$ と因数分解の形に捉え直すことで、見通しが良くなる。最初に真数条件・底の条件を明記することを忘れないようにしたい。

(3) は微分法の基本問題。関数の増減を調べるために導関数を求め、その符号を判定する。二次関数の符号判定には平方完成や判別式を用いるのが定石である。常に正であることを示せば、単調増加であることが証明できる。

答え

(1) 3つの三角形の外接円の大きさはすべて等しく、さらに元の $\triangle ABC$ の外接円の大きさとも等しい。

(2) 証明は解法の通り。対数の性質から $\log c \cdot \log(ab) = 0$ を導き、$c=1$ または $ab=1$ であることを用いて証明する。

(3) 証明は解法の通り。導関数 $f'(x) = 3x^2 - 8x + 6$ が常に正の値をとることを示し、単調増加であることを証明する。

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