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名古屋大学 2003年 文系 第1問 解説

数学C/平面ベクトル数学A/図形の性質テーマ/図形総合
名古屋大学 2003年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) は平面幾何の「三角形の角の二等分線の定理」そのものですが、ベクトルの問題として出題されているため、単位ベクトルを用いて方向ベクトルを表現し、直線の方程式のベクトル表示から内分比を導出する方針をとります。

(2) は、(1) で求めた $\overrightarrow{OP}$ を用いて、条件 $\overrightarrow{PQ} \perp \overrightarrow{OA}$ から内積を用いて点 $Q$ の位置を決定し、長さ $OQ$ を計算します。正射影ベクトルの考え方を用いるとより簡潔に計算できます。

解法1

(1)

$\vec{a}, \vec{b}$ と同じ向きの単位ベクトルをそれぞれ $\vec{e_1}, \vec{e_2}$ とすると、

$$ \vec{e_1} = \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|}, \quad \vec{e_2} = \frac{\vec{b}}{|\vec{b}|} $$

である。 直線 $OP$ は $\angle AOB$ の二等分線であるから、ひし形の対角線の性質より、ベクトル $\vec{e_1} + \vec{e_2}$ は直線 $OP$ の方向ベクトルの一つとなる。 したがって、点 $P$ は直線 $OP$ 上にあるため、実数 $k$ を用いて次のように表せる。

$$ \overrightarrow{OP} = k(\vec{e_1} + \vec{e_2}) = k \left( \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|} + \frac{\vec{b}}{|\vec{b}|} \right) = \frac{k}{|\vec{a}|}\vec{a} + \frac{k}{|\vec{b}|}\vec{b} $$

また、点 $P$ は直線 $AB$ 上にあるため、係数の和は $1$ になる。

$$ \frac{k}{|\vec{a}|} + \frac{k}{|\vec{b}|} = 1 $$

これを $k$ について解くと、

$$ k \frac{|\vec{b}| + |\vec{a}|}{|\vec{a}||\vec{b}|} = 1 \iff k = \frac{|\vec{a}||\vec{b}|}{|\vec{a}| + |\vec{b}|} $$

となる。これを $\overrightarrow{OP}$ の式に代入すると、

$$ \overrightarrow{OP} = \frac{|\vec{b}|}{|\vec{a}| + |\vec{b}|}\vec{a} + \frac{|\vec{a}|}{|\vec{a}| + |\vec{b}|}\vec{b} = \frac{|\vec{b}|\vec{a} + |\vec{a}|\vec{b}}{|\vec{a}| + |\vec{b}|} $$

この式は、点 $P$ が線分 $AB$ を $|\vec{a}| : |\vec{b}|$ に内分する点であることを示している。

(2)

点 $Q$ は直線 $OA$ 上にあるので、実数 $t$ を用いて $\overrightarrow{OQ} = t\vec{a}$ とおける。 $PQ \perp OA$ より $\overrightarrow{PQ} \perp \overrightarrow{OA}$ であるから、内積について $\overrightarrow{PQ} \cdot \vec{a} = 0$ が成り立つ。

$$ \overrightarrow{PQ} = \overrightarrow{OQ} - \overrightarrow{OP} = t\vec{a} - \frac{|\vec{b}|\vec{a} + |\vec{a}|\vec{b}}{|\vec{a}| + |\vec{b}|} $$

であるから、

$$ \left( t\vec{a} - \frac{|\vec{b}|\vec{a} + |\vec{a}|\vec{b}}{|\vec{a}| + |\vec{b}|} \right) \cdot \vec{a} = 0 $$

展開して整理すると、

$$ t|\vec{a}|^2 - \frac{|\vec{b}||\vec{a}|^2 + |\vec{a}|(\vec{a} \cdot \vec{b})}{|\vec{a}| + |\vec{b}|} = 0 $$

$|\vec{a}| \neq 0$ であるから、両辺を $|\vec{a}|$ で割ると、

$$ t|\vec{a}| - \frac{|\vec{a}||\vec{b}| + \vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}| + |\vec{b}|} = 0 $$

$$ t|\vec{a}| = \frac{|\vec{a}||\vec{b}| + \vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}| + |\vec{b}|} $$

ここで、線分の長さ $OQ$ は $|\overrightarrow{OQ}| = |t\vec{a}| = |t||\vec{a}|$ である。 $\angle AOB = \theta$ $(0 < \theta < \pi)$ とすると、$\vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta$ であり、

$$ |\vec{a}||\vec{b}| + \vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}||\vec{b}|(1 + \cos\theta) > 0 $$

となるため、$t|\vec{a}| > 0$ である。 したがって、$OQ = t|\vec{a}|$ であり、

$$ OQ = \frac{|\vec{a}||\vec{b}| + \vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}| + |\vec{b}|} $$

となる。

解法2

(1)

平面幾何の定理(三角形の角の二等分線の定理)を用いる。 $\triangle OAB$ において、直線 $OP$ は $\angle AOB$ の二等分線であるから、辺 $AB$ を挟む $2$ 辺の長さの比が $AP : PB$ の比に等しい。 すなわち、

$$ AP : PB = OA : OB $$

が成り立つ。 ここで、$OA = |\vec{a}|$、$OB = |\vec{b}|$ であるから、

$$ AP : PB = |\vec{a}| : |\vec{b}| $$

となり、点 $P$ は線分 $AB$ を $|\vec{a}| : |\vec{b}|$ に内分する点であることが示された。

(2)

(1) の結果より、点 $P$ の位置ベクトルは

$$ \overrightarrow{OP} = \frac{|\vec{b}|\vec{a} + |\vec{a}|\vec{b}}{|\vec{a}| + |\vec{b}|} $$

と表せる。 線分 $OQ$ の長さは、ベクトル $\overrightarrow{OP}$ の直線 $OA$ 上への正射影ベクトルの大きさである。 直線 $OA$ の方向の単位ベクトルを $\vec{e} = \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|}$ とすると、$OQ$ の長さは $\overrightarrow{OP}$ と $\vec{e}$ の内積の絶対値となる。 また、$\angle POA$ は $\angle AOB$ の二等分角であり鋭角であるため、内積の値そのものが線分の長さとなる。

$$ OQ = \overrightarrow{OP} \cdot \vec{e} = \overrightarrow{OP} \cdot \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|} $$

代入して計算すると、

$$ OQ = \frac{|\vec{b}|\vec{a} + |\vec{a}|\vec{b}}{|\vec{a}| + |\vec{b}|} \cdot \frac{\vec{a}}{|\vec{a}|} $$

$$ OQ = \frac{|\vec{b}||\vec{a}|^2 + |\vec{a}|(\vec{a} \cdot \vec{b})}{|\vec{a}|(|\vec{a}| + |\vec{b}|)} $$

分子を $|\vec{a}|$ でくくって約分すると、

$$ OQ = \frac{|\vec{a}|(|\vec{b}||\vec{a}| + \vec{a} \cdot \vec{b})}{|\vec{a}|(|\vec{a}| + |\vec{b}|)} = \frac{|\vec{a}||\vec{b}| + \vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}| + |\vec{b}|} $$

解説

(1) は平面幾何の基本定理の証明、あるいは確認です。ベクトルの分野で出題された場合は、解法1のように単位ベクトルの和が角の二等分線の方向ベクトルとなる性質を用いて証明するのが最もスタンダードで確実な手法です。解法2のように幾何の定理をそのまま用いても論理的な誤りではありませんが、出題意図を踏まえるとベクトルの演算による証明が望ましいでしょう。

(2) は「垂線を下ろす」という条件から「内積が $0$」という関係式を立てるか、正射影ベクトルの考え方を用いるのが定石です。正射影ベクトルを用いると計算量が減り、見通しよく解くことができます。また、$OQ$ が長さであることに注意し、符号の確認(内積の計算結果が正であること)を忘れないように記述することが重要です。

答え

(1) 略(解法参照)

(2) $OQ = \frac{|\vec{a}||\vec{b}| + \vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}| + |\vec{b}|}$

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