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名古屋大学 1994年 文系 第1問 解説

数学C/平面ベクトル数学A/図形の性質テーマ/整式の証明テーマ/図形総合
名古屋大学 1994年 文系 第1問 解説

方針・初手

点 $A$ を基準点として、各頂点の位置ベクトルを設定する。内分点の公式を用いて $\vec{AE}, \vec{DF}$ を表し、垂直条件である内積 $\vec{AE} \cdot \vec{DF} = 0$ を立式する。「どんな自然数の組 $(m, n)$ を取っても」という条件から、$m, n$ についての恒等式として処理し、三角形の辺の長さや角度の条件を導き出す。

解法1

点 $A$ を基準とし、$\vec{AB} = \vec{b}$、$\vec{AC} = \vec{c}$ とおく。

点 $D$ は辺 $AB$ を $m:n$ に分割(内分)するので、 $$ \vec{AD} = \frac{m}{m+n}\vec{b} $$

点 $E$ は辺 $BC$ を $m:n$ に分割するので、 $$ \vec{AE} = \frac{n\vec{b} + m\vec{c}}{m+n} $$

点 $F$ は辺 $CA$ を $m:n$ に分割するので、 $$ \vec{AF} = \frac{n\vec{c} + m\vec{0}}{m+n} = \frac{n}{m+n}\vec{c} $$

これより、$\vec{DF}$ は $$ \vec{DF} = \vec{AF} - \vec{AD} = \frac{n\vec{c} - m\vec{b}}{m+n} $$ となる。

$AE \perp DF$ であるから、$\vec{AE} \cdot \vec{DF} = 0$ が成り立つ。 $$ \frac{n\vec{b} + m\vec{c}}{m+n} \cdot \frac{n\vec{c} - m\vec{b}}{m+n} = 0 $$

$m, n$ は自然数であり $(m+n)^2 > 0$ であるから、両辺に $(m+n)^2$ を掛けて展開すると、 $$ (n\vec{b} + m\vec{c}) \cdot (n\vec{c} - m\vec{b}) = 0 $$

$$ n^2 (\vec{b} \cdot \vec{c}) - mn |\vec{b}|^2 + mn |\vec{c}|^2 - m^2 (\vec{b} \cdot \vec{c}) = 0 $$

整理して $m, n$ についてまとめると、 $$ (\vec{b} \cdot \vec{c}) n^2 + (|\vec{c}|^2 - |\vec{b}|^2) mn - (\vec{b} \cdot \vec{c}) m^2 = 0 \cdots (\ast) $$

条件より、$(\ast)$ は任意の自然数の組 $(m, n)$ について成り立つ。 たとえば $(m, n) = (1, 1)$ のとき、$(\ast)$ は以下のようになる。 $$ (\vec{b} \cdot \vec{c}) + (|\vec{c}|^2 - |\vec{b}|^2) - (\vec{b} \cdot \vec{c}) = 0 $$

$$ |\vec{c}|^2 - |\vec{b}|^2 = 0 \quad \text{すなわち} \quad |\vec{b}| = |\vec{c}| $$

これを $(\ast)$ に代入すると、 $$ (\vec{b} \cdot \vec{c}) n^2 - (\vec{b} \cdot \vec{c}) m^2 = 0 $$

$$ (\vec{b} \cdot \vec{c}) (n^2 - m^2) = 0 $$

これが任意の自然数 $m, n$ について成り立つためには(たとえば $(m, n) = (1, 2)$ のときを考えれば)、 $$ \vec{b} \cdot \vec{c} = 0 $$ でなければならない。

逆に、$|\vec{b}| = |\vec{c}|$ かつ $\vec{b} \cdot \vec{c} = 0$ のとき、任意の自然数の組 $(m, n)$ に対して $(\ast)$ は成立する。

以上より、 $$ AB = AC \quad \text{かつ} \quad AB \perp AC $$ よって、$\triangle ABC$ は $\angle A = 90^\circ$ の直角二等辺三角形である。

解法2

座標平面上に $\triangle ABC$ を配置し、$A(0, 0)$、$B(b, 0)$、$C(c, d)$ とおく。 ただし、$A, B, C$ は同一直線上にないため、$b > 0, d \neq 0$ とできる。

点 $D$ は辺 $AB$ を $m:n$ に内分するので、 $$ D\left(\frac{mb}{m+n}, 0\right) $$

点 $E$ は辺 $BC$ を $m:n$ に内分するので、 $$ E\left(\frac{nb+mc}{m+n}, \frac{md}{m+n}\right) $$

点 $F$ は辺 $CA$ を $m:n$ に内分するので、 $$ F\left(\frac{nc}{m+n}, \frac{nd}{m+n}\right) $$

これより、ベクトル $\vec{AE}$ と $\vec{DF}$ の成分はそれぞれ $$ \vec{AE} = \left(\frac{nb+mc}{m+n}, \frac{md}{m+n}\right) $$

$$ \vec{DF} = \left(\frac{nc-mb}{m+n}, \frac{nd}{m+n}\right) $$ となる。

$AE \perp DF$ より内積が $0$ となるため、 $$ \frac{nb+mc}{m+n} \cdot \frac{nc-mb}{m+n} + \frac{md}{m+n} \cdot \frac{nd}{m+n} = 0 $$

両辺に $(m+n)^2$ を掛けて展開し、整理する。 $$ (nb+mc)(nc-mb) + md \cdot nd = 0 $$

$$ bc \cdot n^2 - b^2 \cdot mn + c^2 \cdot mn - bc \cdot m^2 + d^2 \cdot mn = 0 $$

$m, n$ について整理すると、 $$ bc \cdot n^2 + (c^2 + d^2 - b^2) \cdot mn - bc \cdot m^2 = 0 \cdots (\star) $$

これが任意の自然数 $(m, n)$ について成り立つための条件を求める。 $(m, n) = (1, 1)$ を代入すると、 $$ bc + (c^2 + d^2 - b^2) - bc = 0 \iff c^2 + d^2 = b^2 $$

これを $(\star)$ に代入すると、 $$ bc (n^2 - m^2) = 0 $$

これが任意の自然数 $m, n$(たとえば $m=1, n=2$)で成り立つには、 $$ bc = 0 $$

$b > 0$ であるから、$c = 0$ となる。

$c = 0$ を $c^2 + d^2 = b^2$ に代入して、$d^2 = b^2$。$b > 0$ より $|d| = b$ である。 これは $AB \perp AC$ ($y$ 軸上に辺 $AC$ がある)および $AB = AC$ を意味する。 逆に、このとき任意の $(m, n)$ について条件が成り立つ。

したがって、$\triangle ABC$ は $\angle A = 90^\circ$ の直角二等辺三角形である。

解説

幾何的な垂直条件をベクトルの内積 $= 0$ または座標の内積 $= 0$ に翻訳し、「任意の自然数 $(m, n)$ で成り立つ」という条件から変数の恒等式として処理する典型問題である。 内分点の公式をそのまま当てはめれば計算だけで結論まで導けるため、解法1のようにベクトルを用いるのが最も簡明かつ計算ミスを起こしにくい。 任意の $(m, n)$ について成立するという条件を処理する際、適当な $(m, n)$ の組を代入して必要条件を絞り込み、その後逆(十分性)を確認する流れを明確に記述することがポイントとなる。

答え

$\angle A = 90^\circ$ の直角二等辺三角形

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