名古屋大学 2023年 文系 第2問 解説

方針・初手
(1) は二次関数の最大値を求める問題であり、式を平方完成して頂点の座標を求める。 (2) は直線と放物線の交点に関する問題である。点 $P$ と原点を通る直線 $l$ の方程式を立て、放物線 $C$ の方程式と連立させて交点の $x$ 座標を求める。共有点 $Q$ が $P$ と異なる条件は、連立方程式から得られる2次方程式が重解を持たないことである。 (3) は2点間の距離の2乗を計算し、与えられた $X$ で表す。その後、距離の大小関係の不等式を解き、$t$ の条件を求める。
解法1
(1)
$y = -x^2 + tx + t$ を平方完成する。
$$ y = -\left(x^2 - tx\right) + t $$
$$ y = -\left(x - \frac{t}{2}\right)^2 + \frac{t^2}{4} + t $$
放物線 $C$ は上に凸であるため、$y$ 座標が最大となるのは頂点である。 よって、点 $P$ の座標は以下のようになる。
$$ \left(\frac{t}{2}, \frac{t^2}{4} + t\right) $$
(2)
$t \neq 0$ より点 $P$ の $x$ 座標は $\frac{t}{2} \neq 0$ であるから、原点 $O(0, 0)$ と $P$ を通る直線 $l$ の傾きは次のように表される。
$$ \frac{\frac{t^2}{4} + t}{\frac{t}{2}} = \frac{t}{2} + 2 $$
よって、直線 $l$ の方程式は以下の通りである。
$$ y = \left(\frac{t}{2} + 2\right)x $$
直線 $l$ と放物線 $C$ の共有点の $x$ 座標は、次の方程式の解である。
$$ -x^2 + tx + t = \left(\frac{t}{2} + 2\right)x $$
式を整理する。
$$ x^2 + \left(\frac{t}{2} + 2 - t\right)x - t = 0 $$
$$ x^2 + \left(-\frac{t}{2} + 2\right)x - t = 0 $$
この2次方程式は $x = \frac{t}{2}$ を解に持つはずであるから、因数分解すると次のようになる。
$$ \left(x - \frac{t}{2}\right)(x + 2) = 0 $$
よって、共有点の $x$ 座標は $x = \frac{t}{2}$ と $x = -2$ である。
共有点 $Q$ が点 $P$ と異なるための条件は、これら2つの $x$ 座標が異なることである。
$$ \frac{t}{2} \neq -2 $$
$$ t \neq -4 $$
問題の条件 $t \neq 0$ と合わせて、$t$ が満たすべき条件は $t \neq 0$ かつ $t \neq -4$ である。
このとき、点 $Q$ の $x$ 座標は $-2$ であり、$y$ 座標は直線 $l$ の方程式に代入して求める。
$$ y = \left(\frac{t}{2} + 2\right) \cdot (-2) = -t - 4 $$
したがって、点 $Q$ の座標は $(-2, -t - 4)$ である。
(3)
$A(-1, -2)$ であり、$X = \frac{1}{4}t^2 + t$ とおくと、点 $P$ の座標は $\left(\frac{t}{2}, X\right)$ と表せる。 また、(2) より点 $Q$ の座標は $(-2, -t - 4)$ である。
まず $AP^2$ を求める。
$$ AP^2 = \left(\frac{t}{2} - (-1)\right)^2 + (X - (-2))^2 $$
$$ AP^2 = \left(\frac{t}{2} + 1\right)^2 + (X + 2)^2 $$
ここで、$\left(\frac{t}{2} + 1\right)^2 = \frac{t^2}{4} + t + 1 = X + 1$ であるから、次のように変形できる。
$$ AP^2 = (X + 1) + (X^2 + 4X + 4) = X^2 + 5X + 5 $$
次に $AQ^2$ を求める。
$$ AQ^2 = (-2 - (-1))^2 + (-t - 4 - (-2))^2 $$
$$ AQ^2 = (-1)^2 + (-t - 2)^2 = 1 + (t^2 + 4t + 4) = t^2 + 4t + 5 $$
ここで、$4X = t^2 + 4t$ であるから、次のように変形できる。
$$ AQ^2 = 4X + 5 $$
したがって、$AP^2 - AQ^2$ は以下のようになる。
$$ AP^2 - AQ^2 = (X^2 + 5X + 5) - (4X + 5) = X^2 + X $$
次に、$AP < AQ$ となる条件を求める。 $AP > 0$ かつ $AQ > 0$ であるため、$AP < AQ \iff AP^2 < AQ^2 \iff AP^2 - AQ^2 < 0$ となる。 よって、解くべき不等式は以下の通りである。
$$ X^2 + X < 0 $$
$$ X(X + 1) < 0 $$
$$ -1 < X < 0 $$
$X = \frac{t^2}{4} + t$ を代入する。
$$ -1 < \frac{t^2}{4} + t < 0 $$
各辺を4倍する。
$$ -4 < t^2 + 4t < 0 $$
この連立不等式は次の2つの不等式からなる。
(i) $t^2 + 4t > -4$ (ii) $t^2 + 4t < 0$
(i) について $t^2 + 4t + 4 > 0$ より $(t + 2)^2 > 0$ これを満たす条件は $t \neq -2$ である。
(ii) について $t(t + 4) < 0$ これを満たす条件は $-4 < t < 0$ である。
(i), (ii) を同時に満たす $t$ の範囲は以下の通りである。
$$ -4 < t < -2, \quad -2 < t < 0 $$
この範囲は、(2) で求めた条件($t \neq 0$ かつ $t \neq -4$)を満たしている。
解説
関数のグラフの頂点、直線と放物線の交点、2点間の距離といった、図形と方程式や2次関数の基本的なテーマを組み合わせた総合問題である。 (2) の交点の $x$ 座標を求める方程式では、点 $P$ が交点の1つであることを意識すると因数分解が容易になる。 (3) では、直接 $t$ の式として $AP^2$ を計算すると次数が高くなり計算が煩雑になるため、誘導に従って $X$ という塊を作って計算を進めることがポイントである。距離の大小を2乗の差に置き換えて処理する手法は、根号を含む不等式において有効な定石である。
答え
(1) $P\left(\frac{t}{2}, \frac{t^2}{4} + t\right)$
(2) $t$ の条件:$t \neq 0$ かつ $t \neq -4$ 点 $Q$ の座標:$(-2, -t - 4)$
(3) $AP^2 - AQ^2 = X^2 + X$ $t$ の条件:$-4 < t < -2, \quad -2 < t < 0$
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