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北海道大学 2004年 文系 第3問 解説

数学1/立体図形数学1/図形計量テーマ/空間図形テーマ/面積・体積
北海道大学 2004年 文系 第3問 解説

方針・初手

空間図形における平面の交線と、四面体の内接球に関する標準的な問題である。 (1) は平面 $DBFH$ による断面図を取り出し、平面幾何の相似を利用して線分の長さを求める。 (2) は図形の対称性に着目するか、適当な座標系を導入して空間座標の問題として処理する。 (3) は四面体の体積を「底面積 $\times$ 高さ」と「内接球の半径を用いた4つの小四面体の体積の和」の2通りで表して比較するのが定石である。座標を用いて点と平面の距離の公式から求めることもできる。

解法1

(1)

底面 $ABCD$ の対角線 $AC$ と $BD$ の交点を $M$ とする。 点 $M$ は直線 $AC$ 上にあるため平面 $ACF$ 上にあり、直線 $BD$ 上にあるため平面 $DBFH$ 上にもある。 また、点 $F$ は平面 $ACF$ と平面 $DBFH$ の両方に含まれる。 よって、2つの平面 $ACF$ と $DBFH$ の交線は直線 $MF$ である。 点 $P$ は直線 $BH$ と平面 $ACF$ の交点であり、直線 $BH$ は平面 $DBFH$ 上にあるため、点 $P$ は平面 $DBFH$ 上における直線 $MF$ と直線 $BH$ の交点となる。

問題で求められている図示の要領は以下の通りである。

長方形 $DBFH$ において、$DB \parallel HF$ より $\triangle MBP \sim \triangle HFP$ である。 相似比は $MB : HF = \frac{\sqrt{2}}{2} : \sqrt{2} = 1 : 2$ であるため、$BP : PH = 1 : 2$ となる。 $BH = \sqrt{(\sqrt{2})^2 + 1^2} = \sqrt{3}$ であるから、線分 $BP$ の長さは以下のようになる。

$$ BP = \frac{1}{3} BH = \frac{\sqrt{3}}{3} $$

また、$P$ から面 $ABCD$ に下ろした垂線 $PQ$ は、平面 $DBFH$ と面 $ABCD$ が垂直であることから、長方形 $DBFH$ 内で $P$ から辺 $DB$ に下ろした垂線と一致する。 $PQ \parallel FB$ であるから $\triangle MQP \sim \triangle MBF$ となり、相似比は $MP : MF = 1 : 3$ である。 したがって、線分 $PQ$ の長さは以下のようになる。

$$ PQ = \frac{1}{3} FB = \frac{1}{3} $$

(2)

四面体 $ABCF$ において、頂点 $B$ に集まる3つの辺 $BA, BC, BF$ は長さがすべて $1$ であり、立方体の辺であるから互いに垂直である。 したがって、直線 $BH$ は辺 $BA, BC, BF$ となす角がすべて等しく、空間において面 $ABC$, 面 $CBF$, 面 $FAB$ の3面から等距離にある点の集合の一部となる。 四面体 $ABCF$ に内接する球の中心 $O$ はこれら3面から等距離にあるため、直線 $BH$ 上に存在する。 さらに、点 $O$ は四面体 $ABCF$ の内部にある点である。 直線 $BH$ と面 $ACF$ の交点が $P$ であり、点 $B$ から面 $ACF$ に向かう半直線 $BH$ 上において、$O$ は面 $ACF$ を越えない(点 $B$ と同じ側にある)ため、点 $O$ は線分 $BP$ 上にある。

(3)

四面体 $ABCF$ の体積を $V$、内接球の半径を $r$ とする。 $\triangle ABC$ を底面、線分 $BF$ を高さとみると、体積 $V$ は次のように求まる。

$$ V = \frac{1}{3} \cdot \triangle ABC \cdot BF = \frac{1}{3} \cdot \left( \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 1 \right) \cdot 1 = \frac{1}{6} $$

一方、四面体 $ABCF$ を、内接球の中心 $O$ を頂点とし各面を底面とする4つの小四面体に分割して体積を計算する。

$$ V = \frac{1}{3} r ( \triangle ABC + \triangle CBF + \triangle FAB + \triangle ACF ) $$

ここで、$\triangle ABC = \triangle CBF = \triangle FAB = \frac{1}{2}$ である。 また、$\triangle ACF$ は1辺の長さが $\sqrt{2}$ の正三角形であるから、その面積は以下の通りである。

$$ \triangle ACF = \frac{1}{2} \cdot \sqrt{2} \cdot \sqrt{2} \sin 60^\circ = \frac{\sqrt{3}}{2} $$

これらを体積の式に代入する。

$$ \frac{1}{6} = \frac{1}{3} r \left( \frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2} \right) $$

$$ \frac{1}{6} = \frac{1}{3} r \left( \frac{3+\sqrt{3}}{2} \right) $$

$$ 1 = r ( 3+\sqrt{3} ) $$

これを $r$ について解き、有理化する。

$$ r = \frac{1}{3+\sqrt{3}} = \frac{3-\sqrt{3}}{(3+\sqrt{3})(3-\sqrt{3})} = \frac{3-\sqrt{3}}{9-3} = \frac{3-\sqrt{3}}{6} $$

解法2

空間座標を用いた別解を示す。 頂点 $B$ を原点 $(0,0,0)$ とし、$\vec{BA}$, $\vec{BC}$, $\vec{BF}$ の方向をそれぞれ $x$ 軸、$y$ 軸、$z$ 軸の正の向きとする空間座標を設定する。 各頂点の座標は $B(0,0,0), A(1,0,0), C(0,1,0), F(0,0,1)$ となり、$H$ は $(1,1,1)$ となる。

(1)

平面 $ACF$ は $x, y, z$ 軸との切片がすべて $1$ であるから、その方程式は $x+y+z=1$ である。 直線 $BH$ は原点 $B$ と $H(1,1,1)$ を通るため、直線上の点は実数 $t$ を用いて $(t,t,t)$ と表せる。 点 $P$ は平面 $ACF$ と直線 $BH$ の交点であるから、平面の方程式に代入する。

$$ t+t+t = 1 \iff t = \frac{1}{3} $$

よって $P\left(\frac{1}{3}, \frac{1}{3}, \frac{1}{3}\right)$ となる。この座標から $BP$ の長さを求める。

$$ BP = \sqrt{\left(\frac{1}{3}\right)^2 + \left(\frac{1}{3}\right)^2 + \left(\frac{1}{3}\right)^2} = \frac{\sqrt{3}}{3} $$

点 $P$ から面 $ABCD$($xy$ 平面)に下ろした垂線の足 $Q$ の座標は、点 $P$ の $z$ 座標を $0$ にしたものであるから $Q\left(\frac{1}{3}, \frac{1}{3}, 0\right)$ である。 $PQ$ の長さは点 $P$ の $z$ 座標に等しく、$PQ = \frac{1}{3}$ となる。

(2)

内接球の半径を $r$ とすると、中心 $O$ は面 $ABC$ ($z=0$)、面 $CBF$ ($x=0$)、面 $FAB$ ($y=0$) からの距離がすべて $r$ である。 さらに、$O$ は四面体の内部(第一象限側)にあるため、その座標は $O(r,r,r)$ と表せる。 これは中心 $O$ が直線 $BH$ の媒介変数表示 $(t,t,t)$ で表される直線上にあることを意味する。 また、$O$ は面 $ACF$ に対して原点 $B$ と同じ側にある。 平面 $ACF$ の式 $x+y+z=1$ に対し、$B(0,0,0)$ では左辺が $0 < 1$ であるから、$O$ についても同様の不等式を満たす。

$$ r+r+r < 1 \iff r < \frac{1}{3} $$

$P$ の座標が $\left(\frac{1}{3}, \frac{1}{3}, \frac{1}{3}\right)$ であったことから、$r < \frac{1}{3}$ を満たす点 $O(r,r,r)$ は線分 $BP$ 上に存在することが示された。

(3)

点 $O(r,r,r)$ から面 $ACF$($x+y+z-1=0$)までの距離も内接球の半径 $r$ に等しい。 点と平面の距離の公式より、以下が成り立つ。

$$ \frac{|r+r+r-1|}{\sqrt{1^2+1^2+1^2}} = r $$

$$ \frac{|3r-1|}{\sqrt{3}} = r $$

(2) より $r < \frac{1}{3}$ すなわち $3r-1 < 0$ であるから、絶対値を外して計算を進める。

$$ 1-3r = \sqrt{3}r $$

$$ (3+\sqrt{3})r = 1 $$

$$ r = \frac{1}{3+\sqrt{3}} = \frac{3-\sqrt{3}}{6} $$

解説

立方体を題材とした空間図形の標準的な問題である。 (1)では、平面の交線を正しく捉え、取り出した平面図形の中で相似比を利用する処理が求められる。 (2)と(3)は、四面体の体積と表面積を用いて内接球の半径を求める初等幾何的なアプローチ(解法1)が王道であるが、直角が集まる頂点 $B$ を原点とする空間座標を導入するアプローチ(解法2)も非常に有効である。対称性の高さから、直線 $BH$ や内接球の中心 $O$ の座標を簡潔に表現でき、計算の見通しが良くなる。

答え

(1) 長方形 $DBFH$ を描き、$M$ を $DB$ の中点、$P$ を $MF$ と $BH$ の交点、$Q$ を $P$ から $DB$ に下ろした垂線の足とする。このとき

$$ BP=\frac{\sqrt{3}}{3},\qquad PQ=\frac{1}{3} $$

(2) 内接球の中心 $O$ は面 $ABC,\ CBF,\ FAB$ から等距離にあるので直線 $BH$ 上にある。また $O$ は四面体 $ABCF$ の内部にあるから、平面 $ACF$ と直線 $BH$ の交点 $P$ を越えず、$O$ は線分 $BP$ 上にある。

(3) $\frac{3-\sqrt{3}}{6}$

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