名古屋大学 1973年 理系 第3問 解説

方針・初手
放物線上の2点 $P, Q$ の座標を文字でおき、線分 $PQ$ の中点の条件から文字間の関係式を導く。その後、直線 $PQ$ の方程式を1つのパラメータ(媒介変数)で表し、未知の放物線 $y = ax^2 + bx + c$ と接する条件を考える。直線と放物線の方程式から $y$ を消去した $x$ についての2次方程式が重解をもつ条件を利用し、パラメータについての恒等式に帰着させる。
解法1
放物線 $y = x^2$ 上の2点を $P(p, p^2), Q(q, q^2)$ とおく。$P, Q$ は異なる点であるから $p \neq q$ である。 線分 $PQ$ の中点の座標は、
$$ \left( \frac{p+q}{2}, \frac{p^2+q^2}{2} \right) $$
となる。この点が直線 $y = x + 1$ 上にあるから、
$$ \frac{p^2+q^2}{2} = \frac{p+q}{2} + 1 $$
$$ p^2 + q^2 = p + q + 2 $$
が成り立つ。 ここで、直線 $PQ$ の傾きは $\frac{q^2-p^2}{q-p} = p+q$ であるから、その方程式は、
$$ y - p^2 = (p+q)(x - p) $$
$$ y = (p+q)x - pq $$
と表せる。 扱いやすくするため、基本対称式 $u = p+q, v = pq$ とおく。 $p^2 + q^2 = (p+q)^2 - 2pq = u^2 - 2v$ であるから、中点から得られた条件式は、
$$ u^2 - 2v = u + 2 $$
$$ v = \frac{1}{2}u^2 - \frac{1}{2}u - 1 $$
となる。 (なお、$p, q$ は $t$ の2次方程式 $t^2 - ut + v = 0$ の異なる2つの実数解であるため、判別式より $u^2 - 4v > 0$ である。代入して整理すると $u^2 - 2u - 4 < 0$ となり、$u$ は $1 - \sqrt{5} < u < 1 + \sqrt{5}$ の範囲の実数全体を動く)
直線 $PQ$ の方程式を $u$ のみで表すと、
$$ y = ux - \left( \frac{1}{2}u^2 - \frac{1}{2}u - 1 \right) $$
となる。この直線が放物線 $y = ax^2 + bx + c$ に接すると仮定すると、連立して得られる $x$ の2次方程式
$$ ax^2 + bx + c = ux - \frac{1}{2}u^2 + \frac{1}{2}u + 1 $$
$$ ax^2 + (b-u)x + c + \frac{1}{2}u^2 - \frac{1}{2}u - 1 = 0 $$
が重解をもつ。$a \neq 0$ とし、この方程式の判別式を $D$ とすると $D = 0$ より、
$$ (b-u)^2 - 4a \left( c + \frac{1}{2}u^2 - \frac{1}{2}u - 1 \right) = 0 $$
これを $u$ について整理すると、
$$ (1-2a)u^2 - 2(b-a)u + b^2 - 4ac + 4a = 0 $$
直線 $PQ$ は条件を満たすすべての $u$ に対して一定の放物線に接するため、この等式は $u$ についての恒等式となる。したがって、
$$ 1 - 2a = 0 $$
$$ -2(b - a) = 0 $$
$$ b^2 - 4ac + 4a = 0 $$
が成り立つ。これらを順に解くと、
$$ a = \frac{1}{2} $$
$$ b = a = \frac{1}{2} $$
$$ \left( \frac{1}{2} \right)^2 - 4 \cdot \frac{1}{2} \cdot c + 4 \cdot \frac{1}{2} = 0 $$
$$ \frac{1}{4} - 2c + 2 = 0 $$
$$ 2c = \frac{9}{4} $$
$$ c = \frac{9}{8} $$
以上より $a \neq 0$ も満たしており、直線 $PQ$ は一定の放物線 $y = \frac{1}{2}x^2 + \frac{1}{2}x + \frac{9}{8}$ に接することが示された。
解法2
解法1と同様に、直線 $PQ$ の方程式をパラメータ $u$ で表すところまで進める。
$$ y = ux - \frac{1}{2}u^2 + \frac{1}{2}u + 1 $$
両辺を2倍して $u$ について整理し、パラメータ $u$ についての2次方程式とみなす。
$$ u^2 - (2x+1)u + 2y - 2 = 0 \quad \cdots (*) $$
この直線の族が形成する包絡線(直線群が常に接する曲線)上の点 $(x, y)$ においては、方程式 $(*)$ が $u$ について重解をもつ。方程式 $(*)$ の判別式を $D$ とすると $D = 0$ となるので、
$$ \{ -(2x+1) \}^2 - 4 \cdot 1 \cdot (2y - 2) = 0 $$
$$ 4x^2 + 4x + 1 - 8y + 8 = 0 $$
$$ 8y = 4x^2 + 4x + 9 $$
$$ y = \frac{1}{2}x^2 + \frac{1}{2}x + \frac{9}{8} $$
これが直線 $PQ$ が常に接する一定の放物線である。 問題の放物線 $y = ax^2 + bx + c$ と係数を比較して、
$$ a = \frac{1}{2}, \quad b = \frac{1}{2}, \quad c = \frac{9}{8} $$
を得る。
解説
直線群の包絡線(直線の族が形作る外枠の曲線)を求める典型問題である。 解法1のように、未知の放物線を設定して「任意のパラメータ $u$ に対して接する」という条件から、パラメータについての恒等式に帰着させる方法が最も着実で論理の飛躍がない。 一方、解法2のように、直線の方程式をパラメータについての2次方程式とみなし、「包絡線の方程式は、パラメータについての判別式が $0$ になる条件から得られる」という事実を利用すると、非常にスピーディーに結果を得ることができる。計算量を減らす強力な手法として、別解のアプローチもマスターしておきたい。
答え
一定の放物線 $y = \frac{1}{2}x^2 + \frac{1}{2}x + \frac{9}{8}$ に接することが示された。
$$ a = \frac{1}{2}, \quad b = \frac{1}{2}, \quad c = \frac{9}{8} $$
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