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名古屋大学 1973年 理系 第4問 解説

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名古屋大学 1973年 理系 第4問 解説

方針・初手

方程式の実数解の個数は、関数 $f(x) = x^2 + ax - \sin x$ のグラフと $x$ 軸の共有点の個数に等しい。方程式に $x = 0$ を代入すると成立することに着目し、導関数を用いて $f(x)$ の増減を調べる。第2次導関数まで計算することで、$f(x)$ のグラフの凹凸と増減を明らかにし、共有点の個数を確定させる。

解法1

与えられた方程式 $x^2 + ax = \sin x$ より、関数 $f(x)$ を

$$ f(x) = x^2 + ax - \sin x $$

と定める。求める実根の個数は、曲線 $y = f(x)$ と $x$ 軸との共有点の個数に等しい。

$f(x)$ を $x$ について微分すると

$$ f'(x) = 2x + a - \cos x $$

さらに微分すると

$$ f''(x) = 2 + \sin x $$

となる。すべての実数 $x$ において $-1 \leqq \sin x \leqq 1$ であるから

$$ f''(x) \geqq 2 - 1 = 1 > 0 $$

が成り立つ。 したがって、$f'(x)$ は実数全体で単調に増加する関数である。

また、極限を考えると

$$ \lim_{x \to \infty} f'(x) = \infty, \quad \lim_{x \to -\infty} f'(x) = -\infty $$

であるから、中間値の定理より $f'(\alpha) = 0$ を満たす実数 $\alpha$ がただ1つ存在する。 このとき、$f'(x)$ の符号は $x = \alpha$ の前後で負から正へと変化するため、$f(x)$ は $x = \alpha$ において極小かつ最小となる。

ここで、$f(x)$ と $f'(x)$ の $x = 0$ における値を調べる。

$$ f(0) = 0^2 + a \cdot 0 - \sin 0 = 0 $$

$$ f'(0) = 2 \cdot 0 + a - \cos 0 = a - 1 $$

問題の条件より $a \neq 1$ であるから、$f'(0) \neq 0$ である。 これにより、$\alpha \neq 0$ であることがわかる。

$a$ の値によって、以下の2つの場合に分けて考える。

(i) $a > 1$ のとき

$f'(0) = a - 1 > 0$ である。$f'(x)$ は単調増加であるから、$f'(\alpha) = 0$ となる $\alpha$ は $\alpha < 0$ を満たす。

$f(x)$ の増減は以下のようになる。 $x < \alpha$ において $f'(x) < 0$ より単調減少。 $x > \alpha$ において $f'(x) > 0$ より単調増加。

$f(0) = 0$ であり、$x = \alpha$ で最小値をとるから

$$ f(\alpha) < f(0) = 0 $$

である。 $x > \alpha$ の範囲では、単調増加であり $f(0) = 0$ であるから、$x = 0$ が唯一の解である。 $x < \alpha$ の範囲では、単調減少であり $f(\alpha) < 0$ かつ $\lim_{x \to -\infty} f(x) = \infty$ であるから、$f(x) = 0$ となる解がただ1つ存在する。 したがって、$f(x) = 0$ を満たす実数 $x$ はちょうど2つである。

(ii) $a < 1$ のとき

$f'(0) = a - 1 < 0$ である。$f'(x)$ は単調増加であるから、$f'(\alpha) = 0$ となる $\alpha$ は $\alpha > 0$ を満たす。

$f(x)$ の増減は以下のようになる。 $x < \alpha$ において $f'(x) < 0$ より単調減少。 $x > \alpha$ において $f'(x) > 0$ より単調増加。

$f(0) = 0$ であり、$x = \alpha$ で最小値をとるから

$$ f(\alpha) < f(0) = 0 $$

である。 $x < \alpha$ の範囲では、単調減少であり $f(0) = 0$ であるから、$x = 0$ が唯一の解である。 $x > \alpha$ の範囲では、単調増加であり $f(\alpha) < 0$ かつ $\lim_{x \to \infty} f(x) = \infty$ であるから、$f(x) = 0$ となる解がただ1つ存在する。 したがって、$f(x) = 0$ を満たす実数 $x$ はちょうど2つである。

以上 (i), (ii) より、$a \neq 1$ である任意の実数 $a$ に対して、方程式 $x^2 + ax = \sin x$ はちょうど2つの実根をもつ。

解説

方程式の実数解の個数をグラフの共有点の個数に帰着させる典型的な微積分問題である。$f(0) = 0$ となるため、$x=0$ を解にもつことはすぐに分かる。つまり、「$x=0$ 以外に実数解を1つだけ持つ」ことを示せばよい。

第1次導関数 $f'(x)$ の符号変化を調べるために、第2次導関数 $f''(x)$ まで計算し、$f'(x)$ が単調増加関数であることを示すのが最大のポイントである。また、$a \neq 1$ という条件により $f'(0) \neq 0$ となる事実を用いることで、$x=0$ が極値をとる点ではないことが確定し、グラフの概形が容易に描けるようになる。

答え

$f(x) = x^2 + ax - \sin x$ とおき、$f''(x) > 0$ から $f'(x)$ が単調増加であることを示し、$f(0)=0$ および $f'(0) = a-1 \neq 0$ を用いて増減を調べることで、方程式がちょうど2つの実根をもつことが証明された。

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