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名古屋大学 1983年 理系 第6問 解説

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名古屋大学 1983年 理系 第6問 解説

方針・初手

点 $P, Q, R$ は正三角形の周上を一定の速さで同じ向きに動くため、頂点 $A$ を基準とした周上の移動距離を追うことで各点の位置を把握します。正三角形の周の長さは $3\text{ cm}$ であるため、各点の位置は周期的に変化します。 (1) はこの周期性を利用して証明します。 (2) は指定された時間範囲における各点の位置を特定し、面積を $t$ の関数として立式して最小値を求めます。 (3) は「三角形の面積が $0$ になる」という条件を、凸図形の性質を用いて「3点が同じ辺上に存在する」という条件に言い換えて処理します。

解法1

(1)

正三角形 $ABC$ の周の長さは $1 \times 3 = 3\text{ cm}$ である。 点 $P, Q, R$ の動く速さはそれぞれ毎秒 $1\text{ cm}, 2\text{ cm}, 3\text{ cm}$ であるから、$t$ 秒後から $t+3$ 秒後までの $3$ 秒間に各点はそれぞれ $3\text{ cm}, 6\text{ cm}, 9\text{ cm}$ 移動する。

これらの移動距離はいずれも周の長さ $3\text{ cm}$ の整数倍であるため、$3$ 秒経過するごとに、各点は正三角形の周上をちょうど何周かして元の位置に戻る。

したがって、$t+3$ 秒後の3点 $P, Q, R$ の位置は、$t$ 秒後の位置とそれぞれ完全に一致する。 これらを頂点とする三角形も一致するため、その面積について $S(t+3) = S(t)$ が成り立つ。

(2)

$0 \leqq t \leqq \frac{1}{3}$ のとき、各点の出発点からの移動距離は、 点 $P$ は $t\text{ cm}$、点 $Q$ は $2t\text{ cm}$、点 $R$ は $3t\text{ cm}$ である。

この範囲において、 点 $P$ の移動距離は $0 \leqq t \leqq \frac{1}{3}$ であるため、点 $P$ は辺 $AB$ 上にあり、$AP = t$、$PB = 1-t$ となる。 点 $Q$ の移動距離は $0 \leqq 2t \leqq \frac{2}{3}$ であるため、点 $Q$ は辺 $BC$ 上にあり、$BQ = 2t$、$QC = 1-2t$ となる。 点 $R$ の移動距離は $0 \leqq 3t \leqq 1$ であるため、点 $R$ は辺 $CA$ 上にあり、$CR = 3t$、$RA = 1-3t$ となる。

$\triangle PQR$ の面積 $S(t)$ は、$\triangle ABC$ の面積から周囲の3つの三角形 $\triangle APR, \triangle BQP, \triangle CRQ$ の面積を引いたものである。 $\triangle ABC$ の面積は、

$$ \frac{1}{2} \cdot 1^2 \cdot \sin 60^\circ = \frac{\sqrt{3}}{4} $$

周囲の3つの三角形の面積の和は、

$$ \begin{aligned} & \triangle APR + \triangle BQP + \triangle CRQ \\ &= \frac{1}{2} AP \cdot AR \sin 60^\circ + \frac{1}{2} PB \cdot BQ \sin 60^\circ + \frac{1}{2} QC \cdot CR \sin 60^\circ \\ &= \frac{\sqrt{3}}{4} \{ t(1-3t) + (1-t)2t + (1-2t)3t \} \\ &= \frac{\sqrt{3}}{4} ( t - 3t^2 + 2t - 2t^2 + 3t - 6t^2 ) \\ &= \frac{\sqrt{3}}{4} ( 6t - 11t^2 ) \end{aligned} $$

したがって、$S(t)$ は次のように表される。

$$ \begin{aligned} S(t) &= \frac{\sqrt{3}}{4} - \frac{\sqrt{3}}{4} ( 6t - 11t^2 ) \\ &= \frac{\sqrt{3}}{4} ( 11t^2 - 6t + 1 ) \\ &= \frac{11\sqrt{3}}{4} \left( t^2 - \frac{6}{11}t + \frac{1}{11} \right) \\ &= \frac{11\sqrt{3}}{4} \left\{ \left( t - \frac{3}{11} \right)^2 - \frac{9}{121} + \frac{11}{121} \right\} \\ &= \frac{11\sqrt{3}}{4} \left( t - \frac{3}{11} \right)^2 + \frac{\sqrt{3}}{22} \end{aligned} $$

$S(t)$ は $t = \frac{3}{11}$ を軸とする下に凸の放物線である。 ここで、$0 \leqq \frac{3}{11} \leqq \frac{1}{3}$ を満たすため、定義域 $0 \leqq t \leqq \frac{1}{3}$ の内側に頂点が存在する。 よって、$S(t)$ を最小にする $t$ は $t = \frac{3}{11}$ である。

(3)

$\triangle PQR$ の面積 $S(t)$ が $0$ になるのは、3点 $P, Q, R$ が同一直線上にあるときである。 正三角形の周は凸図形の境界であるため、その周上の3点が同一直線上にあるのは、それらを通る直線が正三角形のいずれかの辺を含み、3点が全て同じ辺上(両端の頂点を含む)に存在するときに限られる。

頂点 $A$ を基準として、周に沿って $A \to B \to C \to A$ の向きに測った距離を $x$ とすると、各辺上にある条件は $k$ を $0$ 以上の整数として以下のように表せる。 辺 $AB$ 上 : $3k \leqq x \leqq 3k+1$ 辺 $BC$ 上 : $3k+1 \leqq x \leqq 3k+2$ 辺 $CA$ 上 : $3k+2 \leqq x \leqq 3k+3$

出発してからの3点の移動距離は、それぞれ $x_P(t) = t$ $x_Q(t) = 1 + 2t$ $x_R(t) = 2 + 3t$ である。$0 \leqq t \leqq 2$ の範囲で、これらが同じ辺上に同時に存在する $t$ の条件を求める。

(i) 辺 $AB$ 上に3点が存在する場合

点 $P$ について、$0 \leqq t \leqq 1$ が辺 $AB$ 上にいる条件である。 点 $Q$ について、$1 \leqq t \leqq \frac{3}{2}$ のとき $3 \leqq x_Q \leqq 4$ となり辺 $AB$ 上にいる。 両者を満たすのは $t = 1$ のみである。 しかし $t = 1$ のとき、点 $R$ の位置は $x_R(1) = 5$ であり、これは点 $C$ に該当するため辺 $AB$ 上にはない。よって不適。

(ii) 辺 $BC$ 上に3点が存在する場合

点 $P$ について、$1 \leqq t \leqq 2$ のとき辺 $BC$ 上にいる。 点 $Q$ について、$x_Q$ が辺 $BC$ 上にいる条件は $0 \leqq t \leqq \frac{1}{2}$ または $\frac{3}{2} \leqq t \leqq 2$ のときである。 点 $P, Q$ が共に辺 $BC$ 上にいるのは $\frac{3}{2} \leqq t \leqq 2$ の範囲である。 この範囲において、点 $R$ が辺 $BC$ 上にいる条件を調べる。 $x_R(t) = 2 + 3t$ について、$\frac{3}{2} \leqq t \leqq 2$ のとき $\frac{13}{2} \leqq 2+3t \leqq 8$ である。 これが辺 $BC$ 上($3k+1 \leqq x \leqq 3k+2$)となるのは、$k=2$ すなわち $7 \leqq 2+3t \leqq 8$ のときであり、解くと $\frac{5}{3} \leqq t \leqq 2$ となる。 これは $\frac{3}{2} \leqq t \leqq 2$ に含まれるため、$\frac{5}{3} \leqq t \leqq 2$ のとき3点とも辺 $BC$ 上に存在する。

(iii) 辺 $CA$ 上に3点が存在する場合

点 $P$ について、$x_P(t) = t$ であり、$0 \leqq t \leqq 2$ の範囲で辺 $CA$ 上にいるのは $t = 2$ のみである。 $t = 2$ のとき、(ii) で求めた範囲に含まれており、3点は頂点 $C$(辺 $BC$ と辺 $CA$ の境界)で一致する。

以上より、3点が同じ辺上に存在し、面積が $0$ となる $t$ の範囲は $\frac{5}{3} \leqq t \leqq 2$ である。

解説

点が図形の周上を一定の速さで動く問題では、周の長さを法とする合同式のように、基準点からの「道のり」を追うことが最も見通しの良い解法となります。 本問の最大のポイントは(3)です。図形が正三角形(凸多角形)であることを利用すると、「3点が同一直線上にある」という面積が $0$ になる条件を、「3点が同じ辺上に乗る」という扱いやすい条件に帰着させることができます。これを数式のみで処理しようとすると、各点の座標を設定して行列式などで共線条件を考えることになり、場合分けが非常に煩雑になります。

答え

(1) 略(解説参照) (2) $t = \frac{3}{11}$ (3) $\frac{5}{3} \leqq t \leqq 2$

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