名古屋大学 1965年 理系 第2問 解説

方針・初手
面積を2等分する線分は三角形の内部を通るため、その両端点は三角形の異なる2辺上に存在しなければならない。正三角形の対称性を考慮すると、特定の2辺(例えば辺 $\text{AB}$ と辺 $\text{AC}$)上に端点を持つ場合についてのみ考えれば十分である。 線分が切り取る三角形の面積が一定であることを用いて、線分の長さを表す式を導き、その最小値を求める。
解法1
正三角形の頂点を $\text{A, B, C}$ とし、面積を2等分する線分の端点を $\text{P, Q}$ とする。 面積を2等分するためには、点 $\text{P, Q}$ は同じ辺上には存在し得ない。正三角形の対称性から、点 $\text{P}$ が辺 $\text{AB}$ 上、点 $\text{Q}$ が辺 $\text{AC}$ 上にあるとして一般性を失わない。(点 $\text{P}$ が点 $\text{B}$、または点 $\text{Q}$ が点 $\text{C}$ に一致する場合も含む)
$\text{AP} = x$、$\text{AQ} = y$ とおく。点 $\text{P, Q}$ はそれぞれ辺 $\text{AB, AC}$ 上にあるので、
$$ 0 < x \leqq a, \quad 0 < y \leqq a $$
である。正三角形 $\text{ABC}$ の面積を $S$ とすると、
$$ S = \frac{1}{2} a^2 \sin 60^\circ = \frac{\sqrt{3}}{4} a^2 $$
$\triangle \text{APQ}$ の面積は $\triangle \text{ABC}$ の半分であるから、
$$ \frac{1}{2} x y \sin 60^\circ = \frac{1}{2} \cdot \frac{\sqrt{3}}{4} a^2 $$
これを整理すると、
$$ x y = \frac{1}{2} a^2 $$
となる。線分 $\text{PQ}$ の長さを $l$ とすると、$\triangle \text{APQ}$ において余弦定理より
$$ \begin{aligned} l^2 &= x^2 + y^2 - 2xy \cos 60^\circ \\ &= x^2 + y^2 - x y \\ &= x^2 + y^2 - \frac{1}{2} a^2 \end{aligned} $$
ここで、$x > 0, y > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より
$$ x^2 + y^2 \geqq 2\sqrt{x^2 y^2} = 2xy = a^2 $$
したがって、$l^2$ の値の範囲は
$$ l^2 \geqq a^2 - \frac{1}{2} a^2 = \frac{1}{2} a^2 $$
$l > 0$ より、
$$ l \geqq \frac{a}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}}{2} a $$
等号が成立するのは、$x > 0, y > 0$ より $x = y$ のときである。 $xy = \frac{1}{2} a^2$ であるから、$x = y = \frac{\sqrt{2}}{2} a$ となる。 これは $0 < x \leqq a$ および $0 < y \leqq a$ を満たすため、このような点 $\text{P, Q}$ は確かに辺 $\text{AB, AC}$ 上に存在する。
以上より、求める最も短い線分の長さは $\frac{\sqrt{2}}{2} a$ である。
解法2
解法1と同様に、点 $\text{P}$ が辺 $\text{AB}$ 上、点 $\text{Q}$ が辺 $\text{AC}$ 上にあるとする。 $\text{AP} = x$、$\text{AQ} = y$ とおくと、面積の条件から
$$ x y = \frac{1}{2} a^2 $$
が得られる。点 $\text{Q}$ は辺 $\text{AC}$ 上にあるため $y \leqq a$ であり、これより
$$ \frac{a^2}{2x} \leqq a \iff x \geqq \frac{a}{2} $$
点 $\text{P}$ は辺 $\text{AB}$ 上にあるため $x \leqq a$ であり、合わせて $x$ のとりうる値の範囲は
$$ \frac{a}{2} \leqq x \leqq a $$
となる。線分 $\text{PQ}$ の長さを $l$ とすると、余弦定理より
$$ l^2 = x^2 + y^2 - x y = x^2 + \frac{a^4}{4x^2} - \frac{1}{2} a^2 $$
ここで、関数 $f(x) = x^2 + \frac{a^4}{4x^2} - \frac{1}{2} a^2 \quad \left( \frac{a}{2} \leqq x \leqq a \right)$ を考える。$x$ で微分すると、
$$ f'(x) = 2x - \frac{a^4}{2x^3} = \frac{4x^4 - a^4}{2x^3} $$
$f'(x) = 0$ となるのは、$4x^4 = a^4$ かつ $x > 0$ より $x = \frac{a}{\sqrt{2}}$ のときである。 増減を調べると、$\frac{a}{2} \leqq x \leqq a$ において、$f(x)$ は $x = \frac{a}{\sqrt{2}}$ のとき極小かつ最小となる。
そのときの最小値は、
$$ f\left(\frac{a}{\sqrt{2}}\right) = \left(\frac{a}{\sqrt{2}}\right)^2 + \frac{a^4}{4\left(\frac{a}{\sqrt{2}}\right)^2} - \frac{1}{2} a^2 = \frac{a^2}{2} + \frac{a^2}{2} - \frac{1}{2} a^2 = \frac{1}{2} a^2 $$
よって、$l^2 \geqq \frac{1}{2} a^2$ であり、$l > 0$ より
$$ l \geqq \frac{a}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}}{2} a $$
したがって、最も短い線分の長さは $\frac{\sqrt{2}}{2} a$ である。
解説
面積を等分する線分の長さを最小化する典型的な図形問題である。 線分の端点がどの辺上にあるかを考える際、正三角形の対称性を利用して変数の設定を限定することがポイントとなる。 面積一定という条件から変数の積が定数になることを導き、余弦定理で得られた長さの式に「相加平均と相乗平均の大小関係」を適用する解法1が、最も鮮やかで計算ミスも少ない。解法2のように1変数関数に帰着させて微分を行うことでも、確実に答えを導くことができる。
答え
$$ \frac{\sqrt{2}}{2} a $$
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