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名古屋大学 1983年 文系 第4問 解説

数学A/図形の性質数学1/図形計量数学2/図形と式テーマ/場合分けテーマ/面積・体積
名古屋大学 1983年 文系 第4問 解説

方針・初手

正三角形の周の長さは $3\text{ cm}$ であるため、頂点Aから反時計回りに測った道のりを考えることで、各点の位置を数式で表現できます。

(1) は、3秒経過したときの各点の道のりの増加量に着目し、それが周の長さの整数倍であることを示します。 (2) は、三角形の面積が $0$ になる図形的な条件を考えます。凸多角形の周上にある3点で形成される三角形の面積が $0$ になるのは、「少なくとも2点が一致する」または「3点が同一の辺上にある」場合に限られることを利用して場合分けを行います。

解法1

頂点 A を基準とし、反時計回りに測った周上の道のりを考える。 正三角形 ABC の周の長さは $3\text{ cm}$ であるから、道のりが $3$ の倍数だけ変化しても、周上の位置は元の位置と一致する。

(1)

出発してから $t$ 秒後の点 P, Q, R の A から測った道のりをそれぞれ $L_P(t), L_Q(t), L_R(t)$ とすると、各点の速さと出発点から、以下のように表せる。

$$ \begin{aligned} L_P(t) &= t \\ L_Q(t) &= 2t + 1 \\ L_R(t) &= 3t + 2 \end{aligned} $$

$t+3$ 秒後の各点の道のりは、

$$ \begin{aligned} L_P(t+3) &= (t + 3) = L_P(t) + 3 \\ L_Q(t+3) &= 2(t + 3) + 1 = L_Q(t) + 6 \\ L_R(t+3) &= 3(t + 3) + 2 = L_R(t) + 9 \end{aligned} $$

各点の道のりの増加量 $3, 6, 9$ はすべて周の長さ $3$ の倍数である。 したがって、$t+3$ 秒後の P, Q, R の位置は、$t$ 秒後の位置とそれぞれ完全に一致する。 3点が同じ位置にある以上、形成される三角形は同一となるため、その面積についても以下が成り立つ。

$$ S(t+3) = S(t) $$

(2)

$S(t) = 0$ となるのは、3点 P, Q, R が同一直線上にあるときである。 正三角形(凸多角形)と直線の共有点は、高々2点であるか、1つの辺全体に含まれる線分のいずれかである。したがって、周上の3点が同一直線上にあるのは、以下のいずれかの場合に限られる。

(i) 3点のうち少なくとも2点が一致する。 (ii) 3点が同一の辺上にある。

点Aからの道のりを $L$ としたとき、周上の位置は $L$ を $3$ で割った余り $x$ ($0 \leqq x < 3$)で一意に定まる。 辺AB上: $0 \leqq x \leqq 1$ 辺BC上: $1 \leqq x \leqq 2$ 辺CA上: $2 \leqq x < 3$ または $x=0$

$0 \leqq t \leqq 2$ の範囲において、条件を満たす $t$ を調べる。

(i) 少なくとも2点が一致する場合

道のりの差が $3$ の倍数になればよい。

・PとQが一致するとき $L_Q(t) - L_P(t) = t + 1$ が $3$ の倍数。 $0 \leqq t \leqq 2$ より $1 \leqq t+1 \leqq 3$ だから、$t+1 = 3$ すなわち $t = 2$。

・QとRが一致するとき $L_R(t) - L_Q(t) = t + 1$ が $3$ の倍数。 同様に $t = 2$。

・RとPが一致するとき $L_R(t) - L_P(t) = 2t + 2$ が $3$ の倍数。 $0 \leqq t \leqq 2$ より $2 \leqq 2t+2 \leqq 6$ だから、$2t+2 = 3, 6$ すなわち $t = \frac{1}{2}, 2$。

よって、少なくとも2点が一致する $t$ は $t = \frac{1}{2}, 2$。

(ii) 3点が同一の辺上にある場合

・3点が辺AB上にある場合 Pが辺AB上にあるのは $0 \leqq t \leqq 1$ のとき。 この範囲でQの道のりは $1 \leqq 2t+1 \leqq 3$ となるため、Qが辺AB上(余りが $0$ 以上 $1$ 以下)にあるのは $2t+1=3$ すなわち $t=1$ のみ。 しかし $t=1$ のとき、Rの道のりは $3(1)+2=5$ であり、余りは $2$(点C)となるため、3点は同一辺上にない。

・3点が辺BC上にある場合 Pが辺BC上にあるのは $1 \leqq t \leqq 2$ のとき。 この範囲でQの道のりは $3 \leqq 2t+1 \leqq 5$ となる。Qが辺BC上(余りが $1$ 以上 $2$ 以下)にあるのは、道のりが $4$ 以上 $5$ 以下のときであり、条件は $\frac{3}{2} \leqq t \leqq 2$。 さらにこの範囲でRの道のりは $\frac{13}{2} \leqq 3t+2 \leqq 8$ となる。Rが辺BC上(余りが $1$ 以上 $2$ 以下)にあるのは、道のりが $7$ 以上 $8$ 以下のときであり、条件は $\frac{5}{3} \leqq t \leqq 2$。 これを満たすとき、3点はともに辺BC上にあり、条件を満たす。

・3点が辺CA上にある場合 Pが辺CA上にあるのは $2 \leqq t \leqq 3$ のとき。 $0 \leqq t \leqq 2$ の範囲では $t=2$ のみとなるが、このときは (i) で確認した通り面積は $0$ である。

以上 (i), (ii) より、$S(t) = 0$ となる $t$ の範囲をすべてまとめると、求める答えとなる。

解説

動点が正多角形の周上を回る問題では、ある1点を基準(原点)とした「道のり(座標)」を設定し、それを「周の長さで割った余り」で位置を特定する定式化が有効です。本問では周期が $3$ であるため、モジュロ演算($\bmod 3$)の考え方が背景にあります。

(2) で「面積が $0$ になる」という条件を、図形的に「同一直線上にある」と言い換え、さらに「少なくとも2点が一致する」または「同一辺上に3点が並ぶ」と分解できるかどうかが完答の鍵となります。2点が一致するケース(特に $t=1/2$ のとき)は直感的には見落としやすいため、論理的に漏れなく場合分けを行う注意深さが求められます。

答え

(1) 題意の通り示された。 (2) $t = \frac{1}{2}, \quad \frac{5}{3} \leqq t \leqq 2$

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