大阪大学 1961年 理系 第1問 解説

方針・初手
(1) は、各点の原点からの距離を変数でおき、三角形の面積がすべて等しいと仮定して矛盾を導く背理法を用います。面積と和の条件から2次方程式を作成し、解の個数に注目することが鍵となります。
(2) は、動点 $X, Y$ の位置を変数 $x, y$ で表し、四角形 $ABYX$ の面積を $x$ の関数として立式します。「面積をつねに2等分する( $x$ に依らず一定になる)」という条件から、 $x$ についての恒等式として係数比較を行い、図形的性質を導きます。
(3) は、(2) で得られた「 $AD \parallel BC$ 」という結果を図形的に解釈します。四角形 $ABYX$ が台形になることを利用して面積を立式し、周の長さの条件と連立させることで辺の長さを決定します。
解法1
(1)
$OX_i = x_i, OY_i = y_i \ (i=1,2,3)$ とおく。 点 $X_i, Y_i$ はそれぞれ辺 $OA, OB$ 上の点であるから、$x_i > 0, y_i > 0$ である。 条件より、ある一定の正の数 $k$ が存在して、
$$ x_1 + y_1 = x_2 + y_2 = x_3 + y_3 = k $$
が成り立つ。 $\angle AOB = \theta$ とすると、$0^\circ < \theta < 180^\circ$ より $\sin\theta > 0$ である。 $\triangle OX_iY_i$ の面積 $S_i$ は、
$$ S_i = \frac{1}{2} x_i y_i \sin\theta $$
と表せる。 ここで、3つの三角形の面積がすべて等しいと仮定し、その面積を $S$ とおく。
$$ \frac{1}{2} x_i y_i \sin\theta = S $$
$$ x_i y_i = \frac{2S}{\sin\theta} $$
右辺は定数であるから、これを $c$ とおく。 すると、$x_i, y_i$ は和が $k$、積が $c$ となるため、解と係数の関係から、どちらも以下の $t$ についての2次方程式の解となる。
$$ t^2 - kt + c = 0 $$
この2次方程式がもつ実数解は最大でも2つである。したがって、$x_i$ が取り得る値も最大で2種類しかない。 しかし、条件より $X_1, X_2, X_3$ は辺 $OA$ 上の「異なる」3点であるため、$x_1, x_2, x_3$ はすべて異なる3つの値でなければならない。 これは $x_i$ が高々2つの値しか取れないことに矛盾する。 したがって、$\triangle OX_1Y_1, \triangle OX_2Y_2, \triangle OX_3Y_3$ の面積が全部同じであることはない。(証明終)
(2)
四辺形 $ABCD$ の各辺の長さを $AD=a, BC=b, AB=c, CD=d$ とする。 $AX = x, BY = y$ とおくと、点 $X, Y$ は辺上にあるため $0 \le x \le a, 0 \le y \le b$ である。 四辺形の周の長さを $L = a+b+c+d$ とする。 折線 $XABY$ の長さが周の半分に等しいという条件から、
$$ x + c + y = \frac{L}{2} $$
$$ y = \frac{a+b-c+d}{2} - x $$
ここで、定数 $C = \frac{a+b-c+d}{2}$ とおくと、$y = C - x$ と表せる。 次に、四角形 $ABYX$ の面積を考える。対角線 $XB$ を引き、$\triangle XAB$ と $\triangle XBY$ に分割する。 頂点 $A$ と頂点 $D$ から直線 $BC$ に下ろした垂線の長さをそれぞれ $h_A, h_D$ とする。 点 $X$ は線分 $AD$ 上を動くため、点 $X$ から直線 $BC$ に下ろした垂線の長さ $h_X$ は $x$ に比例して変化し、
$$ h_X = h_A + \frac{x}{a}(h_D - h_A) $$
と表せる。 これを用いて $\triangle XBY$ の面積を求めると、
$$ \triangle XBY = \frac{1}{2} y h_X = \frac{1}{2} (C - x) \left\{ h_A + \frac{x}{a}(h_D - h_A) \right\} $$
一方、$\triangle XAB$ の面積は、$\angle DAB = A$ とすると、
$$ \triangle XAB = \frac{1}{2} c x \sin A $$
したがって、四角形 $ABYX$ の面積 $S(x)$ は、
$$ S(x) = \frac{1}{2} c x \sin A + \frac{1}{2} (C - x) \left\{ h_A + \frac{x}{a}(h_D - h_A) \right\} $$
この式を展開して $x$ の2次関数として整理したとき、$x^2$ の項の係数は $-\frac{h_D - h_A}{2a}$ となる。 問題の条件より、四角形 $ABYX$ の面積は $X, Y$ のとり方(すなわち $x$ の値)によらず「つねに」四辺形 $ABCD$ の半分で一定となる。 したがって、$S(x)$ は定数関数でなければならず、$x^2$ の係数は $0$ である。
$$ -\frac{h_D - h_A}{2a} = 0 $$
$$ h_D = h_A $$
点 $A$ と点 $D$ から直線 $BC$ までの距離が等しく、かつ四角形をなすため $A, D$ は直線 $BC$ に関して同じ側にある。 ゆえに、直線 $AD$ と直線 $BC$ は平行である。(証明終)
(3)
(2) の結果から $AD \parallel BC$ である。 点 $X$ は辺 $AD$ 上、点 $Y$ は辺 $BC$ 上にあるため、線分 $AX$ と線分 $BY$ も平行になる。 すなわち、四角形 $ABYX$ は $AX \parallel BY$ の台形である。 平行な2直線 $AD, BC$ 間の距離(台形の高さ)を $h$ とすると、台形 $ABYX$ の面積 $S_{ABYX}$ は、
$$ S_{ABYX} = \frac{1}{2}(AX + BY)h = \frac{1}{2}(x+y)h $$
また、四辺形 $ABCD$ 全体も $AD \parallel BC$ の台形であるから、その面積 $S_{ABCD}$ は、
$$ S_{ABCD} = \frac{1}{2}(AD + BC)h = \frac{1}{2}(a+b)h $$
条件より、線分 $XY$ はつねに四辺形の面積を2等分するため、$S_{ABYX} = \frac{1}{2} S_{ABCD}$ が成り立つ。
$$ \frac{1}{2}(x+y)h = \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{2}(a+b)h $$
$h > 0$ であるから、両辺を整理すると、
$$ x + y = \frac{a+b}{2} $$
一方、(2) の冒頭で求めた折線の長さの条件より、
$$ x + y = C = \frac{a+b-c+d}{2} $$
この2つの式は等しいから、
$$ \frac{a+b}{2} = \frac{a+b-c+d}{2} $$
$$ a+b = a+b-c+d $$
$$ c = d $$
すなわち、$AB = CD$ である。 以上より、四辺形 $ABCD$ は $AD \parallel BC$ かつ $AB = CD$ を満たす四辺形(等脚台形または平行四辺形)であることが決定される。
解説
(1) は解と係数の関係を用いた背理法の典型的な応用です。式変形によって「変数が取り得る値の個数」に制限をかけ、図形的な前提(3点がすべて異なる)と衝突させる論理展開は、難関大でよく求められる発想です。
(2) は動点の絡む面積を関数として立式し、「つねに成り立つ」という条件を恒等式の係数比較に帰着させるのが最も鮮やかです。ベクトルや座標軸を設定して外積(多角形の面積公式)を用いる解法もありますが、計算量が膨らみやすいため、高さを変数とする初等幾何的なアプローチが推奨されます。
(3) は (2) で得た「台形である」という強力な条件を再利用します。台形の面積公式を適用することで、煩雑な計算を経ずに辺の長さの関係式を導くことができます。
答え
(1) (解法1の通り証明された)
(2) (解法1の通り証明された)
(3) $AD \parallel BC$ かつ $AB = CD$ を満たす台形(等脚台形や平行四辺形)
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