九州大学 2006年 理系 第5問 解説

方針・初手
関数 $f(x) = 4x(1-x)$ のグラフは、頂点が $(1/2, 1)$ で上に凸の放物線である。
(1) は、区間 $[0, 1]$ における $f(x)$ の最大値と最小値を調べ、値域が $[0, 1]$ に含まれることを示せばよい。
(2) は背理法を用いる。区間 $[a, b]$ が不変であると仮定し、放物線の軸 $x=\frac{1}{2}$ と区間 $[a, b]$ の位置関係で場合分けをして矛盾を導く。
解法1
(1)
与えられた関数を変形すると、以下のようになる。
$$f(x) = 4x(1-x) = -4\left(x - \frac{1}{2}\right)^2 + 1$$
$0 \leqq x \leqq 1$ における関数 $f(x)$ の増減を考える。 $x = \frac{1}{2}$ のとき、最大値 $1$ をとる。 $x = 0, 1$ のとき、最小値 $0$ をとる。
したがって、$0 \leqq x \leqq 1$ ならば、$0 \leqq f(x) \leqq 1$ が成り立つ。 よって、定義より区間 $[0, 1]$ は関数 $f(x)$ に関して不変である。(証明終)
(2)
$0 < a < b < 1$ を満たす定数 $a, b$ に対し、区間 $[a, b]$ が関数 $f(x)$ に関して不変であると仮定して矛盾を導く。
不変性の定義より、条件「$a \leqq x \leqq b$ ならば $a \leqq f(x) \leqq b$」が成り立つ。 区間 $[a, b]$ と放物線の軸 $x = \frac{1}{2}$ の位置関係により、以下の3つの場合に分ける。
(i) $a \leqq \frac{1}{2} \leqq b$ の場合
$x = \frac{1}{2}$ は区間 $[a, b]$ に含まれる。 不変性の仮定より、$x = \frac{1}{2}$ のとき $f\left(\frac{1}{2}\right) \leqq b$ が成り立たなければならない。
$$f\left(\frac{1}{2}\right) = 1$$
であるから $1 \leqq b$ となるが、これは前提条件 $b < 1$ に矛盾する。
(ii) $b < \frac{1}{2}$ の場合
$a \leqq x \leqq b < \frac{1}{2}$ であり、この区間において $f(x)$ は狭義単調増加である。 不変性の仮定より、$x=b$ において $f(b) \leqq b$ が成り立つ。
$$4b(1-b) \leqq b$$
$b > 0$ であるから、両辺を $b$ で割って整理する。
$$4(1-b) \leqq 1 \iff 4b \geqq 3 \iff b \geqq \frac{3}{4}$$
これは $b < \frac{1}{2}$ に矛盾する。
(iii) $a > \frac{1}{2}$ の場合
$\frac{1}{2} < a \leqq x \leqq b$ であり、この区間において $f(x)$ は狭義単調減少である。 不変性の仮定より、区間 $[a, b]$ における最大値は $f(a)$、最小値は $f(b)$ であり、これらが $[a, b]$ に含まれなければならない。 すなわち、$f(a) \leqq b$ かつ $f(b) \geqq a$ が成り立つ。
$f(x)$ は狭義単調減少であるから、$a \leqq f(b)$ かつ $f(a) \leqq b$ より、以下が成り立つ。
$$a \leqq f(b) < f(a) \leqq b$$
また、$b \geqq f(a)$ の両辺に $f$ を適用すると、単調減少性により不等号の向きが反転し、$f(b) \leqq f(f(a))$ となる。これと $a \leqq f(b)$ を合わせると、以下の条件が必要となる。
$$a \leqq f(f(a))$$
ここで、$a$ のとり得る値の範囲を絞る。 $x > \frac{1}{2}$ において、$f(x) - x = x(3-4x)$ であるから、$x \geqq \frac{3}{4}$ ならば $f(x) \leqq x$ である。 もし $a \geqq \frac{3}{4}$ であれば、$f(a) \leqq a$ となる。 $f(x)$ の単調減少性より $b > a \implies f(b) < f(a) \leqq a$ となり、これは $f(b) \geqq a$ に矛盾する。 したがって、$\frac{1}{2} < a < \frac{3}{4}$ でなければならない。
次に、$f(f(a)) - a$ を計算する。 $A = f(a) = 4a(1-a)$ とおくと、$f(f(a)) = f(A) = 4A(1-A)$ である。 $A = 4a - 4a^2$ より $1-A = (2a-1)^2$ であるから、以下のように変形できる。
$$f(f(a)) = 4 \cdot 4a(1-a) \cdot (2a-1)^2 = 16a(1-a)(2a-1)^2$$
よって、以下の式を得る。
$$f(f(a)) - a = a \{ 16(1-a)(2a-1)^2 - 1 \}$$
ここで、$k(a) = 16(1-a)(2a-1)^2$ とおき、$\frac{1}{2} < a < \frac{3}{4}$ における増減を調べる。
$$\begin{aligned} k'(a) &= 16 \{ -(2a-1)^2 + (1-a) \cdot 2(2a-1) \cdot 2 \} \\ &= 16(2a-1) \{ -(2a-1) + 4(1-a) \} \\ &= 16(2a-1)(5-6a) \end{aligned}$$
$\frac{1}{2} < a < \frac{3}{4}$ において、$2a-1 > 0$ かつ $5-6a > 5 - 6 \cdot \frac{3}{4} = \frac{1}{2} > 0$ である。 よって、$k'(a) > 0$ となり、$k(a)$ はこの区間で狭義単調増加である。 したがって、上限の値を用いて以下の評価ができる。
$$k(a) < k\left(\frac{3}{4}\right) = 16 \left(1-\frac{3}{4}\right) \left(2 \cdot \frac{3}{4}-1\right)^2 = 16 \cdot \frac{1}{4} \cdot \frac{1}{4} = 1$$
ゆえに、$k(a) - 1 < 0$ であり、$a > 0$ であるから、以下が成り立つ。
$$f(f(a)) - a = a(k(a) - 1) < 0 \iff f(f(a)) < a$$
しかし、これは先に導いた $a \leqq f(f(a))$ に矛盾する。
以上 (i), (ii), (iii) のすべての場合において矛盾が生じた。 したがって、$0 < a < b < 1$ のとき、区間 $[a, b]$ は関数 $f(x)$ に関して不変ではない。(証明終)
解説
ロジスティック写像 $f(x) = 4x(1-x)$ の不変区間に関する問題である。
(1) は基本的な二次関数の値域を調べるだけであり、確実に得点したい箇所である。
(2) は抽象的な背理法の証明であり、難易度が高い。 区間 $[a, b]$ が不変であるための条件を式に落とし込む際、最大値・最小値に着目するのが定石である。関数が上に凸の放物線であるため、区間が頂点(軸)を含むかどうかで場合分けを行うという発想が第一歩となる。 最大の難関は軸の右側($a > 1/2$)の場合である。関数が単調減少となるため、「最小値 $f(b)$ が $a$ 以上」「最大値 $f(a)$ が $b$ 以下」という2つの条件が導かれる。ここから $f(f(a)) \geqq a$ という合成関数の条件を見出し、その不等式を微分などを用いて精密に評価しきれるかが鍵となる。
答え
(1) 証明は解法1を参照。
(2) 証明は解法1を参照。
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