東北大学 1971年 理系 第1問 解説

方針・初手
集合 $S$ は原点を中心とする一辺の長さ $2$ の正方形の領域(境界を含む)である。集合 $T$ は平面上に等間隔に並んだ特定の格子点群である。集合 $U$ は $2$ つの双曲線に挟まれた領域(境界を含まない)である。 (1) では、それぞれの条件を整理し、$S$ との共通部分を平面上に図示するための要素を明確にする。 (2) では、$S \cap T$ に属する有限個の点の中から、$U$ の条件を満たすものを数式処理によって絞り込む。分数を含む不等式を整数のみの不等式に置き換えることで、見通しよく処理できる。
解法1
(1)
$S \cap T$ について考える。 $T$ に属する点は、$x = \frac{2m+1}{8}$、$y = \frac{2n+1}{8}$ ($m, n$ は整数)で表される。 $S$ に属する条件は $-1 \leqq x \leqq 1$ かつ $-1 \leqq y \leqq 1$ であるから、 $$-1 \leqq \frac{2m+1}{8} \leqq 1$$ $$-8 \leqq 2m+1 \leqq 8$$ $$-\frac{9}{2} \leqq m \leqq \frac{7}{2}$$ $m$ は整数であるから、$m = -4, -3, -2, -1, 0, 1, 2, 3$ となる。 $y$ についても同様に条件を解くと、$n = -4, -3, -2, -1, 0, 1, 2, 3$ となる。 したがって、 $x, y$ がとりうる値はそれぞれ $\pm \frac{1}{8}, \pm \frac{3}{8}, \pm \frac{5}{8}, \pm \frac{7}{8}$ の $8$ 通りであり、$S \cap T$ はこれらを座標にもつ $8 \times 8 = 64$ 個の点の集合となる。図示する際は、領域 $S$ 内に等間隔に並んだ $64$ 個の点を描く。
$S \cap U$ について考える。 $U$ は不等式 $\frac{1}{4} < xy < \frac{1}{2}$ を満たす点の集合である。 これは、双曲線 $xy = \frac{1}{4}$ と $xy = \frac{1}{2}$ に挟まれた領域(境界を含まない)を表す。 $S \cap U$ は、この領域と正方形領域 $S$ (境界を含む)の共通部分である。$xy > 0$ であるため、図形は第1象限 ($x>0, y>0$) および第3象限 ($x<0, y<0$) にのみ存在する。
(2)
求める共通部分 $S \cap T \cap U$ は、(1) で求めた $S \cap T$ の $64$ 個の点のうち、条件 $U$ を満たす点である。 $x = \frac{2m+1}{8}$、$y = \frac{2n+1}{8}$ を $U$ の条件式 $\frac{1}{4} < xy < \frac{1}{2}$ に代入する。 $$\frac{1}{4} < \frac{2m+1}{8} \cdot \frac{2n+1}{8} < \frac{1}{2}$$ $$\frac{1}{4} < \frac{(2m+1)(2n+1)}{64} < \frac{1}{2}$$ 各辺に $64$ を掛けると、 $$16 < (2m+1)(2n+1) < 32$$
ここで、$X = 2m+1$、$Y = 2n+1$ とおく。 (1) で求めた $m, n$ の範囲より、$X, Y$ は以下の奇数値をとる。 $$X, Y \in \{-7, -5, -3, -1, 1, 3, 5, 7\}$$ 条件は $16 < XY < 32$ となる。 $X, Y$ の符号は一致しなければならないため、$X > 0, Y > 0$ の場合と $X < 0, Y < 0$ の場合に分けて考える。
(i) $X > 0, Y > 0$ の場合 $X, Y \in \{1, 3, 5, 7\}$ である。 $X = 1$ のとき、$16 < Y < 32$ を満たす奇数 $Y$ は存在しない。 $X = 3$ のとき、$16 < 3Y < 32$ より $\frac{16}{3} < Y < \frac{32}{3}$ ($5.3\dots < Y < 10.6\dots$)。満たす奇数 $Y$ は $Y = 7$ のみ。 $X = 5$ のとき、$16 < 5Y < 32$ より $\frac{16}{5} < Y < \frac{32}{5}$ ($3.2 < Y < 6.4$)。満たす奇数 $Y$ は $Y = 5$ のみ。 $X = 7$ のとき、$16 < 7Y < 32$ より $\frac{16}{7} < Y < \frac{32}{7}$ ($2.2\dots < Y < 4.5\dots$)。満たす奇数 $Y$ は $Y = 3$ のみ。 よって、$(X, Y) = (3, 7), (5, 5), (7, 3)$ となる。
(ii) $X < 0, Y < 0$ の場合 $X, Y \in \{-7, -5, -3, -1\}$ である。 $XY$ の値は $X$ と $Y$ の符号をともに反転させても変わらないため、(i) の結果の符号を反転させたものが解となる。 よって、$(X, Y) = (-3, -7), (-5, -5), (-7, -3)$ となる。
(i), (ii) より、$(X, Y)$ の組は以下の $6$ 通りである。 $$(X, Y) = (3, 7), (5, 5), (7, 3), (-3, -7), (-5, -5), (-7, -3)$$ $x = \frac{X}{8}$、$y = \frac{Y}{8}$ であるから、求める $S \cap T \cap U$ の点の集合は $$\left\{ \left(\frac{3}{8}, \frac{7}{8}\right), \left(\frac{5}{8}, \frac{5}{8}\right), \left(\frac{7}{8}, \frac{3}{8}\right), \left(-\frac{3}{8}, -\frac{7}{8}\right), \left(-\frac{5}{8}, -\frac{5}{8}\right), \left(-\frac{7}{8}, -\frac{3}{8}\right) \right\}$$ となる。
解説
図形と方程式、および不等式を満たす整数解(格子点)を求める問題である。 (1) では、集合の条件を正確に把握し、境界の有無を含めて図示できるかが問われている。 (2) では、不等式を満たす有限個の点を一つずつ調べる「しらみつぶし」を行うことになるが、分数のまま扱うと計算ミスの原因になりやすい。本解答のように分子を整数 $X, Y$ に置き換え、$16 < XY < 32$ という簡潔な整数の不等式に帰着させることが、迅速かつ正確に解くための重要な発想である。また、第1象限と第3象限の対称性を利用して調べる範囲を半減させる工夫も有効である。
答え
(1) $S \cap T$ : 領域 $-1 \leqq x \leqq 1, -1 \leqq y \leqq 1$ 内にある、 $x, y$ 座標がともに $\pm \frac{1}{8}, \pm \frac{3}{8}, \pm \frac{5}{8}, \pm \frac{7}{8}$ のいずれかである $64$ 個の点の集合。 $S \cap U$ : 正方形領域 $-1 \leqq x \leqq 1, -1 \leqq y \leqq 1$ (境界を含む)と、双曲線 $xy = \frac{1}{4}$ と $xy = \frac{1}{2}$ の間にある領域(境界を含まない)の共通部分。 (実際の解答ではこれらを座標平面上に作図する)
(2) $$\left\{ \left(\frac{3}{8}, \frac{7}{8}\right), \left(\frac{5}{8}, \frac{5}{8}\right), \left(\frac{7}{8}, \frac{3}{8}\right), \left(-\frac{3}{8}, -\frac{7}{8}\right), \left(-\frac{5}{8}, -\frac{5}{8}\right), \left(-\frac{7}{8}, -\frac{3}{8}\right) \right\}$$
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