東北大学 1961年 文系 第6問 解説

方針・初手
対数方程式および対数不等式を解くにあたり、最も重要な初手は「真数条件の確認」である。これを与式を変形する前に必ず行う。 その後、底が $\frac{1}{2}$ で統一されていることに着目し、対数の性質を用いて両辺をそれぞれ一つの対数にまとめる。真数同士を比較することで $x, y$ の関係式を導出し、前半は整数問題として絞り込みを、後半は関数のグラフを用いた領域の図示を行う。
解法1
まず、与えられた方程式および不等式に含まれる対数の真数条件を確認する。
$$ x^2 - 5 > 0 \iff x < -\sqrt{5}, \quad \sqrt{5} < x $$
$$ x^2 + 7 > 0 \quad (\text{すべての実数 } x \text{ について成立}) $$
$$ y^2 > 0 \iff y \neq 0 $$
これらが共通して満たされる前提条件である。
前半の方程式について考える。
$$ \log_{\frac{1}{2}} (x^2 - 5) + 2 = \log_{\frac{1}{2}} (x^2 + 7) - \frac{1}{2} \log_{\frac{1}{2}} y^2 $$
左辺の定数項 $2$ を底 $\frac{1}{2}$ の対数で表すと、
$$ 2 = \log_{\frac{1}{2}} \left(\frac{1}{2}\right)^2 = \log_{\frac{1}{2}} \frac{1}{4} $$
また、右辺の第2項は $y \neq 0$ に注意して対数の性質を用いると次のように変形できる。
$$ -\frac{1}{2} \log_{\frac{1}{2}} y^2 = \log_{\frac{1}{2}} (y^2)^{-\frac{1}{2}} = \log_{\frac{1}{2}} \frac{1}{\sqrt{y^2}} = \log_{\frac{1}{2}} \frac{1}{|y|} $$
これらを方程式に代入して整理する。
$$ \log_{\frac{1}{2}} (x^2 - 5) + \log_{\frac{1}{2}} \frac{1}{4} = \log_{\frac{1}{2}} (x^2 + 7) + \log_{\frac{1}{2}} \frac{1}{|y|} $$
$$ \log_{\frac{1}{2}} \frac{x^2 - 5}{4} = \log_{\frac{1}{2}} \frac{x^2 + 7}{|y|} $$
底が同じであるため、真数同士を比較して等号で結ぶ。
$$ \frac{x^2 - 5}{4} = \frac{x^2 + 7}{|y|} $$
真数条件より $x^2 - 5 > 0$ であるから、両辺に正の数 $\frac{4|y|}{x^2 - 5}$ を掛けて整理すると、
$$ |y| = \frac{4(x^2 + 7)}{x^2 - 5} $$
右辺の分子を展開し、分母の形に合わせて変形することで帯分数化する。
$$ |y| = \frac{4(x^2 - 5) + 48}{x^2 - 5} = 4 + \frac{48}{x^2 - 5} $$
ここで、$x, y$ は整数であるから、$|y|$ も整数である。したがって、$48$ は整数 $x^2 - 5$ で割り切れなければならない。すなわち、$x^2 - 5$ は $48$ の約数である。 また、真数条件 $|x| > \sqrt{5}$ と $x$ が整数であることから、$|x| \geqq 3$、つまり $x^2 \geqq 9$ となる。 よって、$x^2 - 5 \geqq 4$ を満たす正の整数である。 $48$ の正の約数のうち、$4$ 以上のものは以下の通りである。
$$ 4, 6, 8, 12, 16, 24, 48 $$
これらに対応する $x^2$ の値は、それぞれ各値に $5$ を足して、
$$ 9, 11, 13, 17, 21, 29, 53 $$
となる。$x$ は整数であるから、$x^2$ が平方数となるのは $x^2 = 9$ のときのみである。 このとき、$x = \pm 3$ となり、真数条件を満たす。 $x^2 = 9$ を $|y|$ の式に代入する。
$$ |y| = 4 + \frac{48}{9 - 5} = 4 + \frac{48}{4} = 4 + 12 = 16 $$
よって、$y = \pm 16$ となり、これも真数条件 $y \neq 0$ を満たす。 以上より、求める点 $(x, y)$ の座標は、$(3, 16), (3, -16), (-3, 16), (-3, -16)$ である。
次に、後半の不等式について考える。
$$ \log_{\frac{1}{2}} (x^2 - 5) + 2 \leqq \log_{\frac{1}{2}} (x^2 + 7) - \frac{1}{2} \log_{\frac{1}{2}} y^2 $$
方程式のときと同様に両辺を一つの対数にまとめる。
$$ \log_{\frac{1}{2}} \frac{x^2 - 5}{4} \leqq \log_{\frac{1}{2}} \frac{x^2 + 7}{|y|} $$
ここで、底は $\frac{1}{2}$ であり、$0 < \frac{1}{2} < 1$ であるから、真数の大小関係は逆転する。
$$ \frac{x^2 - 5}{4} \geqq \frac{x^2 + 7}{|y|} $$
真数条件より $x^2 - 5 > 0$ であるから、両辺に正の数 $\frac{4|y|}{x^2 - 5}$ を掛けて整理する。
$$ |y| \geqq \frac{4(x^2 + 7)}{x^2 - 5} $$
これを満たす実数 $x, y$ の範囲を考える。方程式のときと同様に変形して、
$$ |y| \geqq 4 + \frac{48}{x^2 - 5} $$
絶対値を外すと、求める領域の不等式が得られる。
$$ y \geqq 4 + \frac{48}{x^2 - 5} \quad \text{または} \quad y \leqq -4 - \frac{48}{x^2 - 5} $$
図示のために、境界線となる関数 $f(x) = 4 + \frac{48}{x^2 - 5}$ について考察する。 真数条件 $|x| > \sqrt{5}$ の範囲で考える。 $x = \pm \sqrt{5}$ のとき分母が $0$ になるため、直線 $x = \sqrt{5}$ および $x = -\sqrt{5}$ は垂直な漸近線である。 $x \to \pm \infty$ のとき、$f(x) \to 4$ となるため、直線 $y = 4$ も水平な漸近線である。 導関数を調べなくても、$x > \sqrt{5}$ において $x$ が増加すると分母 $x^2 - 5$ は単調に増加するため、$f(x)$ は単調に減少することが分かる。 また、$x < -\sqrt{5}$ において $x$ が増加すると分母 $x^2 - 5$ は単調に減少するため、$f(x)$ は単調に増加する。 さらに、$f(-x) = f(x)$ より $y$ 軸対称の偶関数である。 同様に、$y = -4 - \frac{48}{x^2 - 5}$ は $f(x)$ を $x$ 軸対称に折り返したグラフとなる。
求める領域は、曲線 $y = f(x)$ の上側と、曲線 $y = -f(x)$ の下側の和集合である(境界線を含む)。 なお、領域内の点において $y \geqq 4 + \frac{48}{x^2 - 5} > 4$ または $y \leqq -4 - \frac{48}{x^2 - 5} < -4$ が成り立つため、真数条件 $y \neq 0$ は常に満たされている。
解説
対数を含む方程式や不等式を解く上で、最初に「真数条件」を確認することは鉄則である。この確認を怠ると、求めた値が元の式を満たさないという事態に陥る。 また、$y^2$ を真数に持つ項の変形において、$\log (y^2) = 2 \log |y|$ と絶対値がつくことを見落とさないように注意が必要である。 不等式の処理においては、底が $1$ より小さい場合に真数の大小関係が逆転するという対数関数の性質を正確に適用することが求められる。 後半の図示問題では、分数関数の漸近線や単調性、対称性を素早く把握し、概形を描く力が試されている。微分を用いずとも、式の形から大まかな挙動を掴むことが重要である。
答え
求める整数 $x, y$ を座標とする点 $(x, y)$ は、
$$ (3, 16), \quad (3, -16), \quad (-3, 16), \quad (-3, -16) $$
不等式が成立する実数 $x, y$ について点 $(x, y)$ の存在する範囲は、以下の不等式で表される領域である。
$$ y \geqq 4 + \frac{48}{x^2 - 5} \quad \text{または} \quad y \leqq -4 - \frac{48}{x^2 - 5} \quad (\text{ただし} \quad x < -\sqrt{5}, \quad \sqrt{5} < x) $$
この領域を図示すると、直線 $x = \pm \sqrt{5}$ および $y = \pm 4$ を漸近線とし、$xy$ 平面上の4つの領域に分かれた曲線の外側部分となる(境界線を含む)。
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