トップ 大阪大学 1974年 理系 第3問

大阪大学 1974年 理系 第3問 解説

数学A/整数問題数学2/図形と式数学2/三角関数テーマ/軌跡・領域テーマ/整数の証明
大阪大学 1974年 理系 第3問 解説

方針・初手

正方形の枠内での光の反射(ビリヤード問題)は、正方形の辺を鏡とみなして軌跡を折り返す代わりに、「正方形そのものを辺で折り返して平面上に敷き詰め、軌跡を直進させる」という手法が極めて有効である。

敷き詰めた座標平面上で元の正方形の頂点 $A, B, C, D$ がそれぞれどのような座標に対応するか(偶奇性)を分類し、点 $P$ の軌跡である直線が最初に通過する格子点を調べることで解決する。

解法1

正方形の一辺の長さを $1$ とし、座標平面上に $A(0, 0), B(1, 0), C(1, 1), D(0, 1)$ となるように元の正方形を配置する。 正方形を各辺を軸にして対称移動させながら、第1象限の全体に敷き詰める。 光の反射の法則に従う点 $P$ の運動は、この敷き詰められた平面上を原点 $A(0,0)$ から出発して直進する運動に置き換えることができる。 出発時の方向が辺 $AB$($x$ 軸)となす角が $\theta$ であるから、点 $P$ の軌跡は半直線となる。

$$ y = x \tan\theta \quad (x > 0) $$

敷き詰められた平面上の格子点 $(x, y)$ ($x, y$ は自然数)は、元の正方形のいずれかの頂点に対応する。座標の偶奇に注目すると、対応関係は以下のようになる。

点 $P$ が頂点に止まるということは、直線 $y = x \tan\theta$ が原点を出発後、初めて通過する自然数の格子点 $(x, y)$ を見つけることに等しい。

(1) $\tan\theta = 0.3 = \frac{3}{10}$ のとき、直線の方程式は以下となる。

$$ y = \frac{3}{10}x $$

この直線上の点で、$x, y$ がともに自然数となるのは $3x = 10y$ を満たす点である。 これを満たす自然数の組 $(x, y)$ のうち、最も $x$ が小さい(初めて通過する)点は $(10, 3)$ である。 $x = 10$ は偶数、$y = 3$ は奇数であるから、対応する頂点は $D$ である。

(2) 半直線 $y = x \tan\theta \ (x > 0)$ 上に格子点が存在するためには、$\tan\theta$ は正の有理数でなければならない。 $\tan\theta$ が正の無理数の場合は、直線上に自然数の格子点が存在しないため、点 $P$ はどの頂点にも止まらない。

$\tan\theta$ が正の有理数のとき、互いに素な自然数 $p, q$ を用いて次のように表すことができる。

$$ \tan\theta = \frac{q}{p} $$

直線 $y = \frac{q}{p}x$ (すなわち $qx = py$)が初めて通過する自然数の格子点は $(p, q)$ である。 したがって、点 $P$ が各頂点に止まる条件は、$p, q$ の偶奇がそれぞれの頂点に対応する条件を満たすことである。

よって、$\tan\theta$ の値が満たすべき条件は、$\tan\theta$ が正の有理数であり、それを既約分数 $\frac{q}{p}$ と表したときの $p, q$ の偶奇が上記を満たすことである。

(3) 点 $P$ が頂点 $A$ に止まると仮定する。 (2) の考察より、直線 $y = \frac{q}{p}x$ が最初に通過する格子点 $(p, q)$ の座標がともに偶数でなければならない。 すなわち、$p$ も $q$ も偶数となる必要がある。 しかし、これは $p, q$ が互いに素な自然数であるという前提に矛盾する。 したがって、直線が最初に通過する格子点が $(偶数, 偶数)$ になることはない。 ゆえに、点 $P$ が頂点 $A$ に止まることはない。

解説

「反射」を「展開」に言い換える、図形問題における定石中の定石といえる解法である。これにより、反射ごとに角度や座標を計算する煩雑さがなくなり、「直線上の格子点を探す」という初等整数論の問題に帰着できる。

(2) では、「初めて頂点に達する」という条件を「初めて格子点を通過する」と言い換え、分数表現における「互いに素(既約分数)」という条件を引き出せるかがポイントである。 (3) は、既約分数の分母と分子が同時に偶数(2の倍数)になることはない、という背理法を用いた簡潔な証明が期待されている。

答え

(1)

頂点 $D$

(2)

$\tan\theta$ は正の有理数であり、それを互いに素な自然数 $p, q$ を用いて $\tan\theta = \frac{q}{p}$ と表したとき、それぞれ以下の条件を満たすこと。 頂点 $B$ に止まる条件:$p$ が奇数かつ $q$ が偶数 頂点 $C$ に止まる条件:$p$ が奇数かつ $q$ が奇数 頂点 $D$ に止まる条件:$p$ が偶数かつ $q$ が奇数

(3)

止まることはない。 (理由) 頂点 $A$ に止まるためには、直線 $y = x \tan\theta$ が最初に通過する自然数の格子点 $(p, q)$ において、$p$ と $q$ がともに偶数でなければならない。しかし、$(p, q)$ が最初に通過する格子点であるための条件は $p$ と $q$ が互いに素であることであり、両者がともに偶数になることはないため。

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。