東京工業大学 1994年 理系 第5問 解説

方針・初手
2つの放物線 $C_1: y = x^2$ と $C_2: y = -x^2 - 16x - 65$ 上の点 $P, Q$ 間の距離について考える。 2つの曲線上の点間の距離が最小となるとき、その2点における接線は互いに平行となる。したがって、$C_1$ 上の点 $P$ を固定したとき、それと平行な接線をもつ $C_2$ 上の点 $Q$ を $P$ の座標を用いて表し、$PQ^2$ を1変数関数として最小化する方針が最も確実である。 別解として、最短距離を与える線分 $PQ$ は両曲線の共通法線となる性質を利用して、直接座標を求める方法も考えられる。
解法1
$y = x^2$ を $C_1$、$y = -x^2 - 16x - 65$ を $C_2$ とする。
$C_1$ 上の点 $P(p, p^2)$ における接線の傾きは、$y' = 2x$ より $2p$ である。 線分 $PQ$ の長さが最小となるとき、$P$ における $C_1$ の接線と、$Q$ における $C_2$ の接線は互いに平行である必要がある。
$C_2$ について $y' = -2x - 16$ であるから、点 $Q$ の $x$ 座標を $q$ とすると、接線の傾きは $-2q - 16$ となる。 これらが等しいので、
$$ 2p = -2q - 16 $$
$$ q = -p - 8 $$
このとき、点 $Q$ の $y$ 座標は
$$ -(-p-8)^2 - 16(-p-8) - 65 = -(p^2 + 16p + 64) + 16p + 128 - 65 = -p^2 - 1 $$
したがって、接線が平行となるような $Q$ の座標は $Q(-p-8, -p^2-1)$ と表せる。
このときの線分 $PQ$ の長さの2乗を $f(p)$ とおくと、
$$ \begin{aligned} f(p) &= \{ p - (-p-8) \}^2 + \{ p^2 - (-p^2-1) \}^2 \\ &= (2p + 8)^2 + (2p^2 + 1)^2 \\ &= 4(p^2 + 8p + 16) + 4p^4 + 4p^2 + 1 \\ &= 4p^4 + 8p^2 + 32p + 65 \end{aligned} $$
$f(p)$ を $p$ で微分すると、
$$ \begin{aligned} f'(p) &= 16p^3 + 16p + 32 \\ &= 16(p^3 + p + 2) \\ &= 16(p + 1)(p^2 - p + 2) \end{aligned} $$
ここで、$p^2 - p + 2 = \left( p - \frac{1}{2} \right)^2 + \frac{7}{4} > 0$ であるから、$f'(p) = 0$ となる実数 $p$ は $p = -1$ のみである。 したがって、$f(p)$ の増減は以下のようになる。 $p < -1$ では $f'(p) < 0$、$p > -1$ では $f'(p) > 0$ となるため、$f(p)$ は $p = -1$ において最小値をとる。
$p = -1$ のとき、
$$ f(-1) = 4(-1)^4 + 8(-1)^2 + 32(-1) + 65 = 4 + 8 - 32 + 65 = 45 $$
$PQ > 0$ であるから、$PQ$ の最小値は $\sqrt{45} = 3\sqrt{5}$ となる。
解法2
線分 $PQ$ の長さが最小となるとき、直線 $PQ$ は $C_1, C_2$ 両方の曲線と点 $P, Q$ においてそれぞれ直交する(共通法線となる)。
$C_1$ 上の点 $P(p, p^2)$ における法線の方程式を求める。 $p \neq 0$ のとき、接線の傾きは $2p$ なので法線の傾きは $-\frac{1}{2p}$ である。
$$ y - p^2 = -\frac{1}{2p}(x - p) $$
分母を払い整理すると、
$$ x + 2py - p - 2p^3 = 0 \quad \cdots \text{①} $$
($p = 0$ のときの法線 $x = 0$ も①を満たす)
同様に、$C_2$ 上の点 $Q(q, -q^2-16q-65)$ における法線の方程式を求める。 $C_2$ の接線の傾きは $-2(q+8)$ であるから、$q \neq -8$ のとき法線の傾きは $\frac{1}{2(q+8)}$ である。
$$ y - (-q^2 - 16q - 65) = \frac{1}{2(q+8)}(x - q) $$
分母を払い整理すると、
$$ x - 2(q+8)y - q + 2(q+8)(-q^2 - 16q - 65) = 0 $$
ここで $-q^2 - 16q - 65 = -(q+8)^2 - 1$ であるから、定数項を計算すると
$$ -q + 2(q+8)\{-(q+8)^2 - 1\} = -q - 2(q+8)^3 - 2(q+8) = -2(q+8)^3 - 3q - 16 $$
よって、$C_2$ の法線の方程式は
$$ x - 2(q+8)y - 2(q+8)^3 - 3q - 16 = 0 \quad \cdots \text{②} $$
($q = -8$ のときの法線 $x = -8$ も②を満たす)
①と②が同一の直線を表すため、各係数を比較する。$x$ の係数がともに $1$ なので、
$$ \begin{cases} 2p = -2(q+8) \\ - p - 2p^3 = - 2(q+8)^3 - 3q - 16 \end{cases} $$
第1式より $p = -(q+8) \iff q = -p-8$。 これを第2式に代入すると、
$$ - p - 2p^3 = - 2(-p)^3 - 3(-p-8) - 16 $$
$$ - p - 2p^3 = 2p^3 + 3p + 8 $$
$$ 4p^3 + 4p + 8 = 0 $$
$$ p^3 + p + 2 = 0 $$
$$ (p+1)(p^2 - p + 2) = 0 $$
$p^2 - p + 2 = \left( p - \frac{1}{2} \right)^2 + \frac{7}{4} > 0$ であるから、実数解は $p = -1$ のみである。
このとき $q = -(-1)-8 = -7$ となり、点 $P, Q$ の座標はそれぞれ $P(-1, 1), Q(-7, -2)$ と定まる。 求める最小値は、このときの線分 $PQ$ の長さである。
$$ PQ = \sqrt{\{ -1 - (-7) \}^2 + \{ 1 - (-2) \}^2} = \sqrt{6^2 + 3^2} = \sqrt{45} = 3\sqrt{5} $$
解説
2つの図形間の最短距離を求める典型問題である。交わらない2つの滑らかな曲線間の距離が最小となる点対においては、「それぞれの点における接線が平行になる」「2点を結ぶ直線が共通法線となる」という幾何学的な性質が成り立つ。
法線の方程式を立てて一致させる解法(解法2)は非常に鮮やかであるが、展開や係数比較の計算量がやや多くなり、符号ミスを誘発しやすい。本問のように一方の点の座標からもう一方の点の座標を簡潔に表現できる場合は、接線が平行になる条件を用いて1変数の距離関数を作り、微分で最小値を求める方針(解法1)が実戦的で手堅い。
答え
$3\sqrt{5}$
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