トップ 東京大学 1988年 理系 第5問

東京大学 1988年 理系 第5問 解説

数学1/立体図形数学2/図形と式テーマ/空間図形テーマ/軌跡・領域
東京大学 1988年 理系 第5問 解説

方針・初手

立体 $V$ の形状を数式で表し、点光源 $P$ の座標を具体的に設定して、光が $xy$ 平面上に届く領域の条件を導出する。

立体 $V$ は $z$ 軸まわりの回転体であり、円 $C$ も原点中心であることから、全体の配置は $z$ 軸まわりの回転対称性を持つ。そのため、点光源 $P$ を $xz$ 平面上の特定の点に固定しても一般性を失わない。光源から $xy$ 平面上の点へ向かう線分が、不透明な立体 $V$ の内部を通らないような点の集合を求めることで、光が当たる領域を特定し、円弧の長さから円 $C$ の半径を逆算する。

解法1

立体 $V$ は、$xz$ 平面上の領域 $0 \leqq z \leqq 2 - x^2$ を $z$ 軸のまわりに回転させたものであるから、その領域は以下で表される。

$$ x^2 + y^2 \leqq 2 - z \quad (0 \leqq z \leqq 2) $$

光源 $P$ は $V$ の表面上にあり、$z = 1$ である。$z = 1$ を表面の式 $x^2 + y^2 = 2 - z$ に代入すると $x^2 + y^2 = 1$ となる。回転対称性より、$P$ の座標を $(1, 0, 1)$ としても一般性を失わない。

光が $xy$ 平面に届く領域の導出

$P(1, 0, 1)$ から出た光が、$xy$ 平面上の点 $Q(X, Y, 0)$ に届く条件を考える。 線分 $PQ$ 上の点 $(x, y, z)$ は、媒介変数 $t$ ($0 \leqq t \leqq 1$) を用いて次のように表せる。

$$ (x, y, z) = (1 - t + tX, tY, 1 - t) $$

この光線が不透明な立体 $V$ に遮られないためには、線分 $PQ$ 上の点が $V$ の内部を通らないことが必要である。 $V$ の内部は $x^2 + y^2 + z < 2$ かつ $0 < z < 2$ で表される。線分 $PQ$ においては $z = 1 - t$ より $0 < t < 1$ で $0 < z < 1$ となるため、$0 < t < 1$ の範囲で常に $x^2 + y^2 + z \geqq 2$ が成り立てばよい。

上の媒介変数表示を不等式に代入する。

$$ (1 - t + tX)^2 + (tY)^2 + (1 - t) \geqq 2 $$

展開して整理する。

$$ 1 - 2t(1 - X) + t^2(1 - X)^2 + t^2Y^2 + 1 - t \geqq 2 $$

$$ t^2 \left\{ (X - 1)^2 + Y^2 \right\} + t(2X - 3) \geqq 0 $$

$0 < t < 1$ において $t > 0$ であるから、両辺を $t$ で割ることができる。

$$ t \left\{ (X - 1)^2 + Y^2 \right\} + 2X - 3 \geqq 0 $$

この不等式が $0 < t < 1$ を満たすすべての $t$ で成り立つ条件を求める。 左辺は $t$ の1次関数であり、その傾き $(X - 1)^2 + Y^2$ は $0$ 以上であるため、左辺は $t$ について単調増加(または定数関数)である。 したがって、これが $0 < t < 1$ で常に $0$ 以上となるための必要十分条件は、$t \to +0$ における限界値が $0$ 以上となることである。

$$ 2X - 3 \geqq 0 \iff X \geqq \frac{3}{2} $$

よって、光源 $P$ からの光が $xy$ 平面に当たる領域は、半平面 $x \geqq \frac{3}{2}$ である。

円 $C$ の半径の決定と影の長さ

原点を中心とする円 $C$ の半径を $R$ ($R > 0$) とする。円 $C$ は $x^2 + y^2 = R^2$ で表される。 光が当たっている部分は、この円のうち $x \geqq \frac{3}{2}$ を満たす部分である。この共通部分が存在するためには、$R \geqq \frac{3}{2}$ が必要である。

円 $C$ と直線 $x = \frac{3}{2}$ の交点と原点を結ぶ線分が、$x$ 軸の正の向きとなす角を $\theta$ ($0 \leqq \theta < \frac{\pi}{2}$) とすると、次が成り立つ。

$$ \cos\theta = \frac{3}{2R} $$

光が当たっている部分は中心角 $2\theta$ の円弧であり、その長さは $2R\theta$ である。問題の条件よりこの長さが $2\pi$ であるから、次の方程式を得る。

$$ 2R\theta = 2\pi \iff \theta = \frac{\pi}{R} $$

これを先ほどの $\cos\theta$ の式に代入する。

$$ \cos\left(\frac{\pi}{R}\right) = \frac{3}{2R} $$

ここで、$\alpha = \frac{\pi}{R}$ とおくと、方程式は次のように書き直せる。

$$ \cos\alpha = \frac{3\alpha}{2\pi} $$

$R \geqq \frac{3}{2}$ より $0 < \alpha \leqq \frac{2\pi}{3}$ であるが、$\cos\alpha > 0$ より $0 < \alpha < \frac{\pi}{2}$ の範囲で考えればよい。 関数 $f(\alpha) = \cos\alpha - \frac{3\alpha}{2\pi}$ を考えると、$f'(\alpha) = -\sin\alpha - \frac{3}{2\pi} < 0$ より $f(\alpha)$ はこの範囲で単調減少する。 また、$\alpha = \frac{\pi}{3}$ を代入すると以下のようになる。

$$ f\left(\frac{\pi}{3}\right) = \cos\frac{\pi}{3} - \frac{3}{2\pi} \cdot \frac{\pi}{3} = \frac{1}{2} - \frac{1}{2} = 0 $$

単調減少性より、解は $\alpha = \frac{\pi}{3}$ に限られる。 これより $\frac{\pi}{R} = \frac{\pi}{3}$ となり、$R = 3$ が得られる。

求めるものは「$C$ のかげの部分の長さ」、すなわち円周全体から光が当たっている部分を除いた長さである。 円周の長さは $2\pi R = 6\pi$ であり、光が当たっている部分の長さは $2\pi$ であるから、求める長さは以下のようになる。

$$ 6\pi - 2\pi = 4\pi $$

解説

立体 $V$ が「上に凸」な放物面で囲まれているため、光源 $P$ での接平面がそのまま光と影の境界(接平面より下側には光が届かない)になるという幾何学的な性質を持った問題である。接平面の方程式を求めてから $z=0$ と連立させても、境界線 $x = \frac{3}{2}$ を容易に導出できる。

最後に現れる $\cos\alpha = k\alpha$ 型の方程式は解析的に解くことができないが、本問のように綺麗な有名角($\frac{\pi}{3}$ など)が解となるように作問されている。グラフの単調性を述べて解の一意性を示す論証は、入試において減点を防ぐための重要なステップである。

答え

$4\pi$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。