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東京大学 1999年 理系 第4問 解説

数学1/立体図形数学C/空間ベクトルテーマ/空間図形テーマ/最大・最小
東京大学 1999年 理系 第4問 解説

方針・初手

円板 $A$ は $xy$ 平面上($z=0$)、円板 $B$ は $xz$ 平面上($y=0$)にある。この2つの円板が点 $P$ を共有するとき、$P$ は $y=0$ かつ $z=0$ を満たす、すなわち $x$ 軸上の点である。 円板 $A, B$ と $x$ 軸との共通部分が 1 点 $P$ のみで交わるための条件を立式し、円板が単位球(原点からの距離が1以下)に含まれる条件とあわせて、各半径 $r_A, r_B$ がとりうる最大の値を $P$ の $x$ 座標 $p$ の関数として評価する。

解法1

円板 $A$ の半径を $r_A$、中心の座標を $(x_A, y_A, 0)$ とする。 円板 $B$ の半径を $r_B$、中心の座標を $(x_B, 0, z_B)$ とする。

$A, B$ 上の点はそれぞれ $z=0, y=0$ を満たすため、共有点 $P$ は $x$ 軸上に存在する。$P$ の座標を $(p, 0, 0)$ とおく。 条件 (a) より $P$ は原点からの距離が 1 以下の領域に含まれるため、$-1 \le p \le 1$ である。

円板 $A, B$ と $x$ 軸との共通部分(線分または点)をそれぞれ $A_x, B_x$ とする。 条件 (b) より $A, B$ の共有点は $P$ のみであるから、$A_x \cap B_x = \{p\}$ である。 これにより、$A_x$ が $x \le p$ の範囲に含まれ、$B_x$ が $x \ge p$ の範囲に含まれるとしても、対称性から一般性を失わない。(役割を入れ替えても半径の和は変わらないため)

$P$ は $A$ の円周上にあり、かつ $A_x$ の右端の点となるから、$x_A \le p$ であり、

$$ (p - x_A)^2 + y_A^2 = r_A^2 $$

が成り立つ。 同様に、$P$ は $B$ の円周上にあり、かつ $B_x$ の左端の点となるから、$x_B \ge p$ であり、

$$ (p - x_B)^2 + z_B^2 = r_B^2 $$

が成り立つ。

条件 (a) より、円板 $A$ 全体が原点から距離 1 以下の領域に含まれるためには、原点と $A$ の中心との距離に半径を加えたものが 1 以下であればよい。すなわち、

$$ \sqrt{x_A^2 + y_A^2} + r_A \le 1 \iff x_A^2 + y_A^2 \le (1 - r_A)^2 $$

これに $y_A^2 = r_A^2 - (p - x_A)^2$ を代入して整理する。

$$ \begin{aligned} x_A^2 + r_A^2 - (p - x_A)^2 &\le 1 - 2r_A + r_A^2 \\ 2px_A - p^2 &\le 1 - 2r_A \\ 2r_A &\le 1 + p^2 - 2px_A \end{aligned} $$

ここで、$y_A$ が実数として存在するためには $(p - x_A)^2 \le r_A^2$ が必要である。$x_A \le p$ より $p - x_A \le r_A$ すなわち $p - r_A \le x_A \le p$ である。 同様の議論を円板 $B$ にも適用すると、中心が原点から半径 $1 - r_B$ の球内にある条件から、

$$ 2r_B \le 1 + p^2 - 2px_B $$

となり、$z_B$ が実数として存在する条件と $x_B \ge p$ から $p \le x_B \le p + r_B$ となる。

$p$ の符号によって場合分けを行い、$r_A, r_B$ の最大値を求める。

(i)

$p \ge 0$ のとき

$A$ について、不等式 $2r_A \le 1 + p^2 - 2px_A$ の右辺を最大化するには、$x_A$ をなるべく小さくすればよい。$x_A \ge p - r_A$ より $x_A = p - r_A$ のとき右辺は最大となる。

$$ \begin{aligned} 2r_A &\le 1 + p^2 - 2p(p - r_A) \\ 2r_A(1 - p) &\le 1 - p^2 \end{aligned} $$

$0 \le p < 1$ のとき、両辺を $1 - p$ で割って $r_A \le \frac{1 + p}{2}$ を得る。($p=1$ のときも矛盾しない)

$B$ について、不等式 $2r_B \le 1 + p^2 - 2px_B$ の右辺を最大化するには、$x_B$ をなるべく小さくすればよい。$x_B \ge p$ より $x_B = p$ のとき右辺は最大となる。

$$ 2r_B \le 1 + p^2 - 2p(p) = 1 - p^2 \iff r_B \le \frac{1 - p^2}{2} $$

ゆえに、半径の和は次のように評価できる。

$$ r_A + r_B \le \frac{1 + p}{2} + \frac{1 - p^2}{2} = -\frac{1}{2}\left(p - \frac{1}{2}\right)^2 + \frac{9}{8} $$

$0 \le p \le 1$ の範囲において、これは $p = \frac{1}{2}$ のとき最大値 $\frac{9}{8}$ をとる。

(ii)

$p < 0$ のとき

$A$ について、$-2px_A > 0$ であるため、不等式の右辺を最大化するには $x_A$ をなるべく大きくすればよい。$x_A \le p$ より $x_A = p$ のとき最大となる。

$$ 2r_A \le 1 + p^2 - 2p(p) = 1 - p^2 \iff r_A \le \frac{1 - p^2}{2} $$

$B$ について、$-2px_B > 0$ であるため、右辺を最大化するには $x_B$ をなるべく大きくすればよい。$x_B \le p + r_B$ より $x_B = p + r_B$ のとき最大となる。

$$ \begin{aligned} 2r_B &\le 1 + p^2 - 2p(p + r_B) \\ 2r_B(1 + p) &\le 1 - p^2 \end{aligned} $$

$-1 < p < 0$ のとき、両辺を $1 + p$ で割って $r_B \le \frac{1 - p}{2}$ を得る。($p=-1$ のときも矛盾しない)

ゆえに、半径の和は次のように評価できる。

$$ r_A + r_B \le \frac{1 - p^2}{2} + \frac{1 - p}{2} = -\frac{1}{2}\left(p + \frac{1}{2}\right)^2 + \frac{9}{8} $$

$-1 \le p < 0$ の範囲において、これは $p = -\frac{1}{2}$ のとき最大値 $\frac{9}{8}$ をとる。

(i),(ii)より、$r_A + r_B$ の最大値の候補は $\frac{9}{8}$ である。 実際に $p = \frac{1}{2}$ のとき、 $A$ は中心 $(-\frac{1}{4}, 0, 0)$、半径 $\frac{3}{4}$ の円板、 $B$ は中心 $(\frac{1}{2}, 0, \frac{3}{8})$、半径 $\frac{3}{8}$ の円板とすると、 どちらも原点からの最大距離が 1 となり条件 (a) を満たす。また、$x$ 軸との共通部分は $A$ が区間 $[-1, \frac{1}{2}]$、$B$ が点 $\frac{1}{2}$ のみとなり、共有点が $P(\frac{1}{2}, 0, 0)$ のみとなって条件 (b) も満たす。

以上より、半径の和の最大値は $\frac{9}{8}$ である。

解説

空間図形における2つの円板の配置に関する最大・最小問題である。「円板が一点のみを共有する」という条件から、その共有点がそれぞれの存在する平面の交線(すなわち $x$ 軸)上にしかないことを見抜くのが第一歩となる。 さらに、「一点のみを共有する」ことを $x$ 軸上の区間の交わりとして数式化し、一方を共有点の左側、もう一方を右側に配置して考えることで、中心座標と半径の不等式評価に帰着できる。独立変数となる共有点の $x$ 座標 $p$ の符号によって、最適な円板の配置が変わるため、丁寧な場合分けが必要となる。

答え

$$ \frac{9}{8} $$

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