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東京大学 1987年 理系 第3問 解説

数学1/立体図形数学C/空間ベクトルテーマ/接線・法線テーマ/空間図形テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
東京大学 1987年 理系 第3問 解説

方針・初手

球面上の点における接平面の方程式を立て、それが各座標軸と交わる点 $A, B, C$ の座標を求める。三角形 $ABC$ の面積 $S$ は、四面体 $OABC$ の体積と、原点から平面への距離を利用すると見通しよく求めることができる。得られた面積の式に対して、点 $Q$ が球面上にあるという条件を用い、相加平均と相乗平均の大小関係を利用して変数を減らし、1変数関数の最小値問題に帰着させる。

解法1

球面 $K$ は中心が $P(0, 0, 1)$、半径が $1$ であるから、その方程式は

$$ x^2 + y^2 + (z - 1)^2 = 1 $$

である。

点 $Q(a, b, c)$ は $K$ 上の点であるため、

$$ a^2 + b^2 + (c - 1)^2 = 1 $$

が成り立つ。 ここで、条件 $a > 0, b > 0, c > 1$ より $a^2 + b^2 > 0$ であるから、$(c - 1)^2 < 1$ となり、$1 < c < 2$ であることがわかる。

球面 $K$ 上の点 $Q(a, b, c)$ における接平面 $L$ の方程式は

$$ ax + by + (c - 1)(z - 1) = 1 $$

整理して、

$$ ax + by + (c - 1)z = c $$

となる。

接平面 $L$ が $x$ 軸、 $y$ 軸、 $z$ 軸と交わる点 $A, B, C$ の座標を求める。 $a > 0, b > 0, c > 1$ より $c-1 > 0$ であり、$x$ 切片、$y$ 切片、$z$ 切片はそれぞれ存在する。 $y = z = 0$ とすると $x = \frac{c}{a}$ より、$A\left(\frac{c}{a}, 0, 0\right)$ $x = z = 0$ とすると $y = \frac{c}{b}$ より、$B\left(0, \frac{c}{b}, 0\right)$ $x = y = 0$ とすると $z = \frac{c}{c - 1}$ より、$C\left(0, 0, \frac{c}{c - 1}\right)$

原点を $O(0, 0, 0)$ とする。四面体 $OABC$ の体積 $V$ を2通りの方法で表す。 1つ目は、互いに直交する線分 $OA, OB, OC$ を用いる方法である。

$$ \begin{aligned} V &= \frac{1}{6} OA \cdot OB \cdot OC \\ &= \frac{1}{6} \cdot \frac{c}{a} \cdot \frac{c}{b} \cdot \frac{c}{c - 1} \\ &= \frac{c^3}{6ab(c - 1)} \end{aligned} $$

2つ目は、三角形 $ABC$ を底面とみる方法である。底面積を $S$、原点 $O$ から平面 $L$ に下ろした垂線の長さを $h$ とすると、$V = \frac{1}{3}Sh$ である。 平面 $L$ の方程式 $ax + by + (c - 1)z - c = 0$ と原点 $O$ の距離 $h$ は、点と平面の距離の公式より

$$ h = \frac{|a \cdot 0 + b \cdot 0 + (c - 1) \cdot 0 - c|}{\sqrt{a^2 + b^2 + (c - 1)^2}} $$

ここで、$a^2 + b^2 + (c - 1)^2 = 1$ と $c > 1$ を用いると、$h = c$ となる。 したがって、

$$ V = \frac{1}{3} S \cdot c = \frac{c}{3} S $$

これら2つの $V$ の式を等置して、

$$ \frac{c}{3} S = \frac{c^3}{6ab(c - 1)} $$

$$ S = \frac{c^2}{2ab(c - 1)} $$

を得る。

次に、$S$ の最小値を求める。 条件式 $a^2 + b^2 = 1 - (c - 1)^2 = -c^2 + 2c$ について、$a^2 > 0, b^2 > 0$ であるから相加平均と相乗平均の大小関係より

$$ a^2 + b^2 \geqq 2\sqrt{a^2b^2} = 2ab $$

が成り立つ。等号は $a^2 = b^2$ すなわち $a = b$ のとき成立する。 これより、

$$ 2ab \leqq -c^2 + 2c $$

$$ ab \leqq \frac{-c^2 + 2c}{2} = \frac{c(2 - c)}{2} $$

$a, b, c-1$ はすべて正であるから、$S$ の分母が最大のときに $S$ 全体は最小となる。 したがって、

$$ S \geqq \frac{c^2}{2 \cdot \frac{c(2 - c)}{2} \cdot (c - 1)} = \frac{c}{(2 - c)(c - 1)} $$

となる。

この式の右辺を $f(c)$ とおき、$1 < c < 2$ における最小値を求める。

$$ f(c) = \frac{c}{-c^2 + 3c - 2} $$

$f(c)$ を $c$ で微分すると、

$$ \begin{aligned} f'(c) &= \frac{1 \cdot (-c^2 + 3c - 2) - c \cdot (-2c + 3)}{(-c^2 + 3c - 2)^2} \\ &= \frac{-c^2 + 3c - 2 + 2c^2 - 3c}{(-c^2 + 3c - 2)^2} \\ &= \frac{c^2 - 2}{(-c^2 + 3c - 2)^2} \end{aligned} $$

$f'(c) = 0$ となる $c$ は、$c^2 - 2 = 0$ より $c = \pm\sqrt{2}$ である。 $1 < c < 2$ の範囲においては $c = \sqrt{2}$ となり、増減は以下のようになる。 $1 < c < \sqrt{2}$ のとき $f'(c) < 0$ より単調減少、 $\sqrt{2} < c < 2$ のとき $f'(c) > 0$ より単調増加となる。 ゆえに、$f(c)$ は $c = \sqrt{2}$ で極小かつ最小となる。

そのときの最小値は、

$$ \begin{aligned} f(\sqrt{2}) &= \frac{\sqrt{2}}{-(\sqrt{2})^2 + 3\sqrt{2} - 2} \\ &= \frac{\sqrt{2}}{3\sqrt{2} - 4} \\ &= \frac{\sqrt{2}(3\sqrt{2} + 4)}{(3\sqrt{2} - 4)(3\sqrt{2} + 4)} \\ &= \frac{6 + 4\sqrt{2}}{18 - 16} \\ &= 3 + 2\sqrt{2} \end{aligned} $$

等号成立条件は、$a = b$ かつ $c = \sqrt{2}$ のときである。 このとき $2a^2 = -(\sqrt{2})^2 + 2\sqrt{2} = 2\sqrt{2} - 2$ より $a^2 = \sqrt{2} - 1$ となり、$a = b = \sqrt{\sqrt{2} - 1}$ ($>0$) となって条件を満たす実数 $a, b, c$ が確かに存在する。

解法2

点 $A, B, C$ の座標を求めた後、ベクトルを用いて $\triangle ABC$ の面積 $S$ を直接計算する手法を示す。

$$ \vec{CA} = \left(\frac{c}{a}, 0, -\frac{c}{c - 1}\right), \quad \vec{CB} = \left(0, \frac{c}{b}, -\frac{c}{c - 1}\right) $$

であるから、内積および各ベクトルの大きさの2乗は以下のようになる。

$$ |\vec{CA}|^2 = \frac{c^2}{a^2} + \frac{c^2}{(c - 1)^2} $$

$$ |\vec{CB}|^2 = \frac{c^2}{b^2} + \frac{c^2}{(c - 1)^2} $$

$$ \vec{CA} \cdot \vec{CB} = 0 + 0 + \left(-\frac{c}{c - 1}\right)^2 = \frac{c^2}{(c - 1)^2} $$

三角形の面積公式により、

$$ \begin{aligned} S &= \frac{1}{2} \sqrt{|\vec{CA}|^2 |\vec{CB}|^2 - (\vec{CA} \cdot \vec{CB})^2} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{\left\{ \frac{c^2}{a^2} + \frac{c^2}{(c - 1)^2} \right\} \left\{ \frac{c^2}{b^2} + \frac{c^2}{(c - 1)^2} \right\} - \frac{c^4}{(c - 1)^4}} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{\frac{c^4}{a^2b^2} + \frac{c^4}{a^2(c - 1)^2} + \frac{c^4}{b^2(c - 1)^2} + \frac{c^4}{(c - 1)^4} - \frac{c^4}{(c - 1)^4}} \\ &= \frac{c^2}{2} \sqrt{\frac{1}{a^2b^2} + \frac{1}{a^2(c - 1)^2} + \frac{1}{b^2(c - 1)^2}} \\ &= \frac{c^2}{2} \sqrt{\frac{(c - 1)^2 + b^2 + a^2}{a^2b^2(c - 1)^2}} \end{aligned} $$

点 $Q$ が球面 $K$ 上にあることから $a^2 + b^2 + (c - 1)^2 = 1$ であり、

$$ S = \frac{c^2}{2} \sqrt{\frac{1}{a^2b^2(c - 1)^2}} = \frac{c^2}{2ab(c - 1)} $$

を得る。これ以降の最小値を求める手順は解法1と同様である。

解説

空間座標における球面の接平面の方程式を立てられるかが第一関門である。公式を利用して速やかに $x, y, z$ 切片を求めることが望ましい。

面積 $S$ を求める際、解法2のようにベクトルによる計算でも結論に至るが、解法1のように「四面体の体積」と「点と平面の距離」を組み合わせる視点を持つと、計算量が大幅に軽減される。空間図形の問題において、底面を切り替えて体積を2通りに表す手法は非常に有効である。

$S$ を $a, b, c$ で表した後は、$a^2 + b^2 + (c - 1)^2 = 1$ という制約条件のもとで多変数の最大最小を考えることになる。$a$ と $b$ について対称な式であることに着目し、相加平均と相乗平均の大小関係を用いて変数を消去し、1変数 $c$ の微分に持ち込むのが定石の処理である。

答え

$3 + 2\sqrt{2}$

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