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東京大学 1983年 理系 第3問 解説

数学1/立体図形数学C/空間ベクトル数学2/三角関数テーマ/空間図形テーマ/最大・最小
東京大学 1983年 理系 第3問 解説

方針・初手

空間図形における2図形(円と直線)の最短距離を求める問題である。まずは計算を容易にするために適切な座標空間を設定し、各図形を数式で表現することが第一歩となる。

円 $C$ が存在する平面を $xy$ 平面とし、その中心 $O$ を原点にとる。さらに、点 $A$ を $x$ 軸上の正の部分にとることで、直線 $l$ の方向ベクトルや円上の点の座標が簡潔に表現できる。円上の点 $Q$ と直線 $l$ の距離の2乗を立式し、三角関数の変数に対する最小値問題(2次関数の最大・最小)に帰着させる方針をとる。

解法1

円 $C$ が含まれる平面を $xy$ 平面とし、点 $O$ を原点 $(0,0,0)$ にとる。 点 $A$ は $O$ からの距離が $a \ (a>0)$ であるから、$A(a, 0, 0)$ としても一般性を失わない。 円 $C$ は $xy$ 平面上の原点を中心とする半径 $1$ の円であるから、円上の任意の点 $Q$ は変数 $\theta \ (0 \le \theta < 2\pi)$ を用いて次のように表せる。

$$ Q(\cos\theta, \sin\theta, 0) $$

次に、直線 $l$ の方向ベクトル $\vec{d}$ を求める。 直線 $l$ は点 $A$ を通り、直線 $OA$(すなわち $x$ 軸)に垂直な空間直線である。したがって、$l$ の方向ベクトル $\vec{d} = (u, v, w)$ は $x$ 軸の方向ベクトル $(1, 0, 0)$ と垂直であるため、$u = 0$ となり、$\vec{d} = (0, v, w)$ と表せる。

また、直線 $l$ と $xy$ 平面のなす角が $45^\circ$ である。$xy$ 平面の法線ベクトル $\vec{n} = (0, 0, 1)$ と $\vec{d}$ のなす角を考えると、平面と直線のなす角の定義より以下の関係が成り立つ。

$$ \sin 45^\circ = \frac{|\vec{d} \cdot \vec{n}|}{|\vec{d}||\vec{n}|} $$

$$ \frac{1}{\sqrt{2}} = \frac{|w|}{\sqrt{v^2 + w^2}} $$

両辺を2乗して整理すると、

$$ \frac{1}{2} = \frac{w^2}{v^2 + w^2} $$

$$ v^2 + w^2 = 2w^2 $$

$$ v^2 = w^2 $$

したがって、$|v| = |w|$ である。$\vec{d}$ の大きさは距離の計算結果に影響しないため、$v=1, w=1$ として方向ベクトルを $\vec{d} = (0, 1, 1)$ と定める($v=1, w=-1$ としても対称性から結果は変わらない)。

点 $Q$ と直線 $l$ の距離 $L$ を考える。 点 $A$ は直線 $l$ 上の点であるから、ベクトル $\vec{AQ}$ は以下のようになる。

$$ \vec{AQ} = (\cos\theta - a, \sin\theta, 0) $$

点 $Q$ から直線 $l$ に下ろした垂線の長さ $L$ は、ベクトル $\vec{AQ}$ の大きさから $\vec{d}$ 方向の正射影成分を除いたものであるから、次のように計算できる。

$$ L^2 = |\vec{AQ}|^2 - \frac{(\vec{AQ} \cdot \vec{d})^2}{|\vec{d}|^2} $$

各成分を計算すると、

$$ |\vec{AQ}|^2 = (\cos\theta - a)^2 + \sin^2\theta = \cos^2\theta - 2a\cos\theta + a^2 + \sin^2\theta = 1 + a^2 - 2a\cos\theta $$

$$ \vec{AQ} \cdot \vec{d} = (\cos\theta - a) \cdot 0 + \sin\theta \cdot 1 + 0 \cdot 1 = \sin\theta $$

$$ |\vec{d}|^2 = 0^2 + 1^2 + 1^2 = 2 $$

これらを $L^2$ の式に代入する。

$$ \begin{aligned} L^2 &= 1 + a^2 - 2a\cos\theta - \frac{\sin^2\theta}{2} \\ &= 1 + a^2 - 2a\cos\theta - \frac{1 - \cos^2\theta}{2} \\ &= \frac{1}{2}\cos^2\theta - 2a\cos\theta + a^2 + \frac{1}{2} \end{aligned} $$

ここで、$s = \cos\theta$ とおくと、$-1 \le s \le 1$ である。 $L^2$ を $s$ の関数 $f(s)$ とし、これを平方完成する。

$$ \begin{aligned} f(s) &= \frac{1}{2}s^2 - 2as + a^2 + \frac{1}{2} \\ &= \frac{1}{2}(s^2 - 4as) + a^2 + \frac{1}{2} \\ &= \frac{1}{2}(s - 2a)^2 - 2a^2 + a^2 + \frac{1}{2} \\ &= \frac{1}{2}(s - 2a)^2 - a^2 + \frac{1}{2} \end{aligned} $$

これは下に凸の2次関数であり、軸は $s = 2a$ である。$a > 0$ であることに注意して、軸の位置と定義域 $-1 \le s \le 1$ の関係で場合分けを行う。

(i)

$0 < 2a \le 1$ すなわち $0 < a \le \frac{1}{2}$ のとき 軸 $s = 2a$ は区間 $[-1, 1]$ 内に存在する。したがって、$f(s)$ は $s = 2a$ で最小となる。 最小値は

$$ f(2a) = -a^2 + \frac{1}{2} $$

よって、このときの最短距離 $L$ は $\sqrt{\frac{1}{2} - a^2}$ である。

(ii)

$2a > 1$ すなわち $a > \frac{1}{2}$ のとき 軸 $s = 2a$ は区間 $[-1, 1]$ の右側にある。したがって、$f(s)$ は区間 $[-1, 1]$ において単調減少となり、$s = 1$ で最小となる。 最小値は

$$ f(1) = \frac{1}{2} - 2a + a^2 + \frac{1}{2} = a^2 - 2a + 1 = (a - 1)^2 $$

よって、このときの最短距離 $L$ は $\sqrt{(a - 1)^2} = |a - 1|$ である。

解法2

直線 $l$ 上の点と円 $C$ 上の点の距離の2乗を直接立式して最小化する。 座標設定および直線 $l$ の方向ベクトル $\vec{d} = (0, 1, 1)$ を求めるまでの手順は解法1と同様である。

直線 $l$ は点 $A(a, 0, 0)$ を通り $\vec{d}$ に平行なので、直線 $l$ 上の任意の点 $P$ は実数パラメータ $t$ を用いて次のように表せる。

$$ \vec{OP} = \vec{OA} + t\vec{d} = (a, 0, 0) + t(0, 1, 1) = (a, t, t) $$

円 $C$ 上の点を $Q(\cos\theta, \sin\theta, 0)$ とし、2点 $P, Q$ 間の距離の2乗 $D^2$ を計算する。

$$ D^2 = (a - \cos\theta)^2 + (t - \sin\theta)^2 + (t - 0)^2 $$

これを $t$ について整理して平方完成する。

$$ \begin{aligned} D^2 &= (a - \cos\theta)^2 + t^2 - 2t\sin\theta + \sin^2\theta + t^2 \\ &= 2t^2 - 2t\sin\theta + \sin^2\theta + (a - \cos\theta)^2 \\ &= 2\left(t - \frac{1}{2}\sin\theta\right)^2 - \frac{1}{2}\sin^2\theta + \sin^2\theta + (a - \cos\theta)^2 \\ &= 2\left(t - \frac{1}{2}\sin\theta\right)^2 + \frac{1}{2}\sin^2\theta + (a - \cos\theta)^2 \end{aligned} $$

$t$ は任意の実数値をとれるため、$\theta$ を固定したとき、$D^2$ は $t = \frac{1}{2}\sin\theta$ のときに最小となる。 そのときの最小値を $g(\theta)$ とおくと、

$$ \begin{aligned} g(\theta) &= \frac{1}{2}\sin^2\theta + (a - \cos\theta)^2 \\ &= \frac{1}{2}(1 - \cos^2\theta) + a^2 - 2a\cos\theta + \cos^2\theta \\ &= \frac{1}{2}\cos^2\theta - 2a\cos\theta + a^2 + \frac{1}{2} \end{aligned} $$

これは解法1で導出した $L^2$ の式と全く同じである。 以降は解法1と同様に $s = \cos\theta$ とおき、$-1 \le s \le 1$ における二次関数の最小値を場合分けして求めればよい。

解説

空間図形における2つの図形間の最短距離を問う典型問題である。与えられた条件を図形的な直感だけで処理するのは難しいため、適切な直交座標系を導入し、数式の問題に翻訳して処理するのがもっとも確実なアプローチである。

解法1では「点と直線の距離の公式(ベクトル表記)」を利用して変数を1つに絞り込んでいる。解法2のように、直線上の点と円上の点のそれぞれにパラメータを設定し、2変数関数として扱う方法も自然な発想である。2変数関数の最小化では、今回のように一方が任意の実数をとれる場合、そちらの変数(本問では $t$)について先に平方完成して消去する「1文字固定法」が有効である。

最終的に導かれた $\cos\theta$ の2次関数の最小値問題は、定義域が $[-1, 1]$ に制限されているため、軸の位置によって最小値をとる場所が変わることに注意して場合分けを行う必要がある。

答え

$0 < a \le \frac{1}{2}$ のとき、 $\sqrt{\frac{1}{2} - a^2}$

$a > \frac{1}{2}$ のとき、 $|a - 1|$

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