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東京大学 1980年 理系 第2問 解説

数学1/立体図形数学3/積分法テーマ/空間図形テーマ/媒介変数テーマ/速度・距離
東京大学 1980年 理系 第2問 解説

方針・初手

空間座標を設定し、点 $S$ を原点 $(0,0,0)$、接する平面を $xy$ 平面として考えるのが定石である。線分 $NS$ は長さ $2$ の直径であるから、点 $N$ の座標は $(0,0,2)$ となる。球面 $K$ は中心が $(0,0,1)$ で半径 $1$ の球面として表せる。

点 $P$ は $xy$ 平面上の円弧と線分を合わせた曲線上を動く。点 $Q$ の軌跡の長さを求めるにあたり、以下の2つのアプローチが考えられる。

  1. 図形的性質を利用する:線分 $NP$ が描く面や平面と球面 $K$ との交わりに注目し、軌跡がどのような円弧の一部になるかを幾何学的に特定する。
  2. 媒介変数と微積分を利用する:点 $P$ の座標をパラメータで表し、点 $Q$ の座標を求め、弧長積分の公式を用いて直接計算する。

ここでは、両方の解法を示す。

解法1

座標空間を設定し、$S(0,0,0)$ とする。点 $S$ で球面 $K$ に接する平面を $xy$ 平面($z=0$)とする。 線分 $NS$ は球面 $K$ の直径であり長さが $2$ であるから、$N(0,0,2)$ である。 このとき、球面 $K$ の中心は $C(0,0,1)$ であり、半径は $1$ となるから、その方程式は

$$ x^2+y^2+(z-1)^2=1 $$

である。四分円 $AB$ の端点を $A(2,0,0), B(0,2,0)$ とおいても一般性を失わない。 点 $P$ は、平面 $z=0$ 上の円弧 $AB$($x^2+y^2=4 \ (x \ge 0, y \ge 0)$)と、線分 $AB$($x+y=2 \ (0 \le x \le 2)$)をあわせた曲線上を動く。 点 $Q$ が描く曲線の長さを、点 $P$ が円弧上を動くときと線分上を動くときの2つの部分に分けて求める。

(i) 点 $P$ が円弧 $AB$ 上を動くとき

点 $P$ は $S(0,0,0)$ を中心とする半径 $2$ の円周上にある。 線分 $NP$ の中点を $M$ とすると、$N(0,0,2)$ かつ $P$ の $z$ 座標は $0$ であるから、$M$ の $z$ 座標は $1$ である。 点 $M$ と球面 $K$ の中心 $C(0,0,1)$ との距離は、線分 $SP$ の長さの半分に等しく $\frac{2}{2}=1$ となる。 すなわち、$M$ は中心 $C$ から距離 $1$ の点であるため、球面 $K$ 上に存在する。 点 $Q$ は線分 $NP$ と球面 $K$ の($N$ 以外の)交点であるから、$Q$ は中点 $M$ に一致する。 したがって、点 $Q$ の軌跡は点 $P$ の軌跡を点 $N$ を中心に $\frac{1}{2}$ に縮小した相似な図形となり、平面 $z=1$ 上の半径 $1$ の四分円弧を描く。 この部分の曲線の長さ $L_1$ は、

$$ L_1 = 2\pi \cdot 1 \cdot \frac{1}{4} = \frac{\pi}{2} $$

(ii) 点 $P$ が線分 $AB$ 上を動くとき

点 $P$ は $xy$ 平面上の直線 $x+y=2$ の一部を動く。 点 $N(0,0,2)$ とこの直線を含む平面を $\alpha$ とする。平面 $\alpha$ は $x$ 軸、$y$ 軸、$z$ 軸とそれぞれ $(2,0,0), (0,2,0), (0,0,2)$ で交わるため、その方程式は

$$ \frac{x}{2} + \frac{y}{2} + \frac{z}{2} = 1 \iff x+y+z=2 $$

である。線分 $NP$ は常に平面 $\alpha$ 上にあるため、点 $Q$ は球面 $K$ と平面 $\alpha$ の交線である円の一部を描く。 この交線の円の半径 $r'$ を求める。球面 $K$ の中心 $C(0,0,1)$ から平面 $\alpha: x+y+z-2=0$ までの距離 $d$ は、

$$ d = \frac{|0+0+1-2|}{\sqrt{1^2+1^2+1^2}} = \frac{1}{\sqrt{3}} $$

三平方の定理より、切り口の円の半径 $r'$ は

$$ r' = \sqrt{1^2 - d^2} = \sqrt{1 - \frac{1}{3}} = \sqrt{\frac{2}{3}} = \frac{\sqrt{6}}{3} $$

点 $P$ が $A(2,0,0), B(0,2,0)$ にあるときの点 $Q$ をそれぞれ $Q_A, Q_B$ とする。 (i) と同様に、これらはそれぞれ線分 $NA, NB$ の中点であるから、$Q_A(1,0,1), Q_B(0,1,1)$ となる。 切り口の円の中心 $C'$ は、$C$ から平面 $\alpha$ に下ろした垂線の足である。 直線 $(x,y,z) = (t,t,t+1)$ と平面 $\alpha$ の交点を求めると、$t+t+(t+1)=2$ より $t=\frac{1}{3}$ となるため、$C'\left(\frac{1}{3}, \frac{1}{3}, \frac{4}{3}\right)$ を得る。 ここで、ベクトル $\vec{C'Q_A}$ と $\vec{C'Q_B}$ は、

$$ \begin{aligned} \vec{C'Q_A} &= \left( \frac{2}{3}, -\frac{1}{3}, -\frac{1}{3} \right) \\ \vec{C'Q_B} &= \left( -\frac{1}{3}, \frac{2}{3}, -\frac{1}{3} \right) \end{aligned} $$

これら2つのベクトルのなす角を $\gamma$ とすると、内積を用いて、

$$ \cos\gamma = \frac{\vec{C'Q_A} \cdot \vec{C'Q_B}}{|\vec{C'Q_A}| |\vec{C'Q_B}|} = \frac{-\frac{2}{9}-\frac{2}{9}+\frac{1}{9}}{\left(\frac{\sqrt{6}}{3}\right)^2} = \frac{-\frac{1}{3}}{\frac{2}{3}} = -\frac{1}{2} $$

よって、$\gamma = \frac{2}{3}\pi$ または $\frac{4}{3}\pi$ となる。 線分 $AB$ の中点 $(1,1,0)$ を点 $P$ が通るとき、対応する点 $Q_M$ は線分 $N(0,0,2)$ と $(1,1,0)$ の間に存在する。 このとき、$\vec{C'Q_A} + \vec{C'Q_B} = \left(\frac{1}{3}, \frac{1}{3}, -\frac{2}{3}\right)$ となり、これは点 $Q_M$ の方向(角の二等分線方向)と一致するため、点 $Q$ は中心角が小さい方の弧を描くことがわかる。 したがって、この部分の曲線の長さ $L_2$ は、

$$ L_2 = r' \gamma = \frac{\sqrt{6}}{3} \times \frac{2}{3}\pi = \frac{2\sqrt{6}}{9}\pi $$

以上より、点 $Q$ の描く曲線の長さは

$$ L_1 + L_2 = \frac{\pi}{2} + \frac{2\sqrt{6}}{9}\pi = \left( \frac{1}{2} + \frac{2\sqrt{6}}{9} \right)\pi $$

解法2

点 $P$ の極座標を $(r, \phi)$ とすると、直交座標では $P(r\cos\phi, r\sin\phi, 0)$ である。 直線 $NP$ 上の点は、実数 $k$ を用いて $\vec{OQ} = \vec{ON} + k\vec{NP} = (kr\cos\phi, kr\sin\phi, 2-2k)$ と表せる。 点 $Q$ が球面 $x^2+y^2+z^2-2z=0$ 上にある条件から、

$$ (kr\cos\phi)^2 + (kr\sin\phi)^2 + (2-2k)^2 - 2(2-2k) = 0 $$

これを整理すると、$k(kr^2+4k-4)=0$ となる。$Q \neq N$ より $k > 0$ であるから、

$$ k = \frac{4}{r^2+4} $$

これより、点 $Q$ の位置ベクトル $\vec{q} = \vec{OQ}$ は次のように表される。

$$ \vec{q} = \left( \frac{4r}{r^2+4}\cos\phi, \frac{4r}{r^2+4}\sin\phi, \frac{2r^2}{r^2+4} \right) $$

このベクトルを $r$ と $\phi$ でそれぞれ偏微分して大きさを求めると、

$$ \begin{aligned} \left| \frac{\partial \vec{q}}{\partial r} \right|^2 &= \left( \frac{4(4-r^2)}{(r^2+4)^2} \right)^2 (\cos^2\phi + \sin^2\phi) + \left( \frac{16r}{(r^2+4)^2} \right)^2 = \frac{16}{(r^2+4)^2} \\ \left| \frac{\partial \vec{q}}{\partial \phi} \right|^2 &= \left( -\frac{4r}{r^2+4}\sin\phi \right)^2 + \left( \frac{4r}{r^2+4}\cos\phi \right)^2 = \frac{16r^2}{(r^2+4)^2} \end{aligned} $$

また、内積 $\frac{\partial \vec{q}}{\partial r} \cdot \frac{\partial \vec{q}}{\partial \phi} = 0$ となる。 したがって、点 $Q$ の微小な弧長要素 $ds_Q$ は、平面上の点 $P$ の弧長要素 $ds_P = \sqrt{dr^2+r^2d\phi^2}$ を用いて次のように表せる。

$$ ds_Q^2 = \left| \frac{\partial \vec{q}}{\partial r} \right|^2 dr^2 + \left| \frac{\partial \vec{q}}{\partial \phi} \right|^2 d\phi^2 = \frac{16}{(r^2+4)^2} (dr^2 + r^2d\phi^2) $$

$$ ds_Q = \frac{4}{r^2+4} ds_P $$

(i) 点 $P$ が円弧 $AB$ 上を動くとき

半径 $r=2$ で一定であるから、$ds_Q = \frac{4}{2^2+4} ds_P = \frac{1}{2} ds_P$ となる。 点 $P$ が描く長さは半径 $2$ の四分円周で $\pi$ であるから、対応する点 $Q$ の軌跡の長さ $L_1$ は、

$$ L_1 = \frac{1}{2} \times \pi = \frac{\pi}{2} $$

(ii) 点 $P$ が線分 $AB$ 上を動くとき

点 $P$ は直線 $x+y=2$ を $(2,0,0)$ から $(0,2,0)$ まで動く。媒介変数 $t$ を用いて $x=t, y=2-t \ (0 \le t \le 2)$ とおくと、$r^2 = x^2+y^2 = 2t^2-4t+4$ であり、$ds_P = \sqrt{1^2+(-1)^2} dt = \sqrt{2} dt$ である。 したがって、この部分の曲線の長さ $L_2$ は、

$$ \begin{aligned} L_2 &= \int_0^2 \frac{4}{(2t^2-4t+4)+4} \sqrt{2} dt \\ &= \int_0^2 \frac{2\sqrt{2}}{t^2-2t+4} dt \\ &= 2\sqrt{2} \int_0^2 \frac{1}{(t-1)^2+3} dt \end{aligned} $$

ここで $t-1 = \sqrt{3}\tan\theta$ と置換する。$dt = \frac{\sqrt{3}}{\cos^2\theta} d\theta$ であり、積分区間は $-\frac{\pi}{6} \le \theta \le \frac{\pi}{6}$ となる。

$$ \begin{aligned} L_2 &= 2\sqrt{2} \int_{-\pi/6}^{\pi/6} \frac{1}{3\tan^2\theta+3} \frac{\sqrt{3}}{\cos^2\theta} d\theta \\ &= 2\sqrt{2} \int_{-\pi/6}^{\pi/6} \frac{\sqrt{3}}{3} d\theta \\ &= \frac{2\sqrt{6}}{3} \left[ \theta \right]_{-\pi/6}^{\pi/6} \\ &= \frac{2\sqrt{6}}{9}\pi \end{aligned} $$

以上より、求める曲線の長さは

$$ L_1 + L_2 = \left( \frac{1}{2} + \frac{2\sqrt{6}}{9} \right)\pi $$

解説

空間図形における軌跡の長さを求める問題である。 解法1のように図形的に処理すると、平面と球面の交わりが円になることを利用して、積分計算を回避できる。切り口の円の半径や中心角を空間ベクトルを用いて求める処理は、図形問題の定石として習熟しておきたい。 解法2は媒介変数と微積分を用いた計算である。微小長さの拡大縮小率が $\frac{4}{r^2+4}$ となる事実は、球面への立体射影に関連する性質であり、弧長要素がきれいに整理される過程は計算力が問われるが非常に見通しが良い。

答え

$$ \left( \frac{1}{2} + \frac{2\sqrt{6}}{9} \right)\pi $$

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