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東京大学 1982年 理系 第2問 解説

数学1/立体図形数学3/積分法テーマ/空間図形テーマ/面積・体積
東京大学 1982年 理系 第2問 解説

方針・初手

正四面体の対称性から、各辺に接する球面 $S$ の中心は、正四面体 $T$ の重心と一致することに着目する。球の中心から各辺までの距離が球の半径 $1$ に等しいことを利用し、まずは $T$ の1辺の長さを求める。

後半の体積については、「正四面体の外側かつ球の内側」という条件から、正四面体の各面から外側にはみ出した球の一部(球欠)の体積を求める問題に帰着させる。隣り合う球欠同士が重ならないことを確認したうえで、積分によって体積を計算する。

解法1

正四面体 $T$ の頂点を $\text{A}, \text{B}, \text{C}, \text{D}$ とし、1辺の長さを $a$ とする。対称性から、球面 $S$ の中心 $\text{O}$ は $T$ の重心に一致する。

$T$ の辺 $\text{AB}$ の中点を $\text{M}$ とすると、球 $S$ はすべての辺に接するため、点 $\text{M}$ は球 $S$ と辺 $\text{AB}$ の接点となる。したがって、線分 $\text{OM}$ は辺 $\text{AB}$ と垂直であり、その長さは球 $S$ の半径である $1$ に等しい。すなわち、$\text{OM} = 1$ である。

頂点 $\text{A}$ から底面 $\text{BCD}$ に下ろした垂線の足を $\text{H}$ とすると、$\text{H}$ は $\triangle \text{BCD}$ の重心であるから、$\text{AH}$ の長さは次のように求められる。

$$ \text{AH} = \sqrt{\text{AB}^2 - \text{BH}^2} = \sqrt{a^2 - \left( \frac{\sqrt{3}}{3}a \right)^2} = \frac{\sqrt{6}}{3}a $$

正四面体の重心 $\text{O}$ は線分 $\text{AH}$ を $3 : 1$ に内分するため、外接球の半径 $\text{OA}$ は以下のようになる。

$$ \text{OA} = \frac{3}{4}\text{AH} = \frac{\sqrt{6}}{4}a $$

$\triangle \text{OAB}$ は $\text{OA} = \text{OB}$ の二等辺三角形であり、$\text{OM} \perp \text{AB}$ である。直角三角形 $\text{OMA}$ において三平方の定理より、以下が成り立つ。

$$ \text{OM}^2 = \text{OA}^2 - \text{AM}^2 $$

これに $\text{OA} = \frac{\sqrt{6}}{4}a$、$\text{AM} = \frac{1}{2}a$ を代入する。

$$ \text{OM}^2 = \left( \frac{\sqrt{6}}{4}a \right)^2 - \left( \frac{a}{2} \right)^2 = \frac{6}{16}a^2 - \frac{4}{16}a^2 = \frac{1}{8}a^2 $$

$\text{OM} > 0$ より $\text{OM} = \frac{\sqrt{2}}{4}a$ となる。$\text{OM} = 1$ であるから、

$$ \frac{\sqrt{2}}{4}a = 1 \iff a = 2\sqrt{2} $$

よって、$T$ の1辺の長さは $2\sqrt{2}$ である。

次に、指定された部分の体積 $V$ を求める。球の中心 $\text{O}$ から面 $\text{BCD}$ までの距離 $d$ は線分 $\text{OH}$ の長さに等しい。

$$ d = \text{OH} = \frac{1}{4}\text{AH} = \frac{\sqrt{6}}{12}a = \frac{\sqrt{6}}{12} \times 2\sqrt{2} = \frac{\sqrt{3}}{3} = \frac{1}{\sqrt{3}} $$

球の半径 $1$ に対して $d < 1$ であるため、球面 $S$ は正四面体の4つの面それぞれと交わり、面の外側(正四面体の外側)に球の一部がはみ出す。はみ出した部分は高さが $1 - d$ の球欠となる。

ここで、正四面体の2つの面が交わる辺と、球の中心 $\text{O}$ との距離は $\text{OM} = 1$ である。球の半径も $1$ であるから、球 $S$ は辺を超えて外側に飛び出すことはない。したがって、4つの面からはみ出した4つの球欠は、辺の中点(接点)で接するのみで、互いに内部を共有せず重ならない。

よって、求める体積 $V$ は、1つの球欠の体積の $4$ 倍となる。球の中心を原点、面に垂直な直線を $x$ 軸に取ると、1つの球欠の体積は $x = \frac{1}{\sqrt{3}}$ から $x = 1$ までの回転体の体積として計算できる。

$$ \begin{aligned} \int_{\frac{1}{\sqrt{3}}}^{1} \pi (1 - x^2) \, dx &= \pi \left[ x - \frac{x^3}{3} \right]_{\frac{1}{\sqrt{3}}}^{1} \\ &= \pi \left\{ \left( 1 - \frac{1}{3} \right) - \left( \frac{1}{\sqrt{3}} - \frac{1}{9\sqrt{3}} \right) \right\} \\ &= \pi \left( \frac{2}{3} - \frac{8}{9\sqrt{3}} \right) \\ &= \pi \left( \frac{2}{3} - \frac{8\sqrt{3}}{27} \right) \\ &= \frac{18 - 8\sqrt{3}}{27}\pi \end{aligned} $$

したがって、求める体積 $V$ はこれを $4$ 倍して以下のようになる。

$$ V = 4 \times \frac{18 - 8\sqrt{3}}{27}\pi = \frac{72 - 32\sqrt{3}}{27}\pi $$

解法2

空間座標を用いて、立方体に正四面体を埋め込んで考える。

座標空間において、各面が座標平面に平行な立方体を考え、その頂点から互いに隣り合わない4点 $\text{A}(1, 1, 1), \text{B}(1, -1, -1), \text{C}(-1, 1, -1), \text{D}(-1, -1, 1)$ を選ぶ。これらを結ぶと、重心を原点 $\text{O}(0,0,0)$ とする正四面体 $T'$ ができる。

$T'$ の1辺の長さ $\text{AB}$ は、2点間の距離の公式より以下のように求まる。

$$ \text{AB} = \sqrt{(1-1)^2 + (-1-1)^2 + (-1-1)^2} = \sqrt{0 + 4 + 4} = 2\sqrt{2} $$

$T'$ の辺 $\text{AB}$ の中点 $\text{M}$ の座標は $(1, 0, 0)$ であり、原点 $\text{O}$ から辺 $\text{AB}$ までの距離 $\text{OM}$ は $1$ である。対称性から、$\text{O}$ から $T'$ のすべての辺までの距離は $1$ となる。

これは問題文の「正四面体 $T$ の6つの辺すべてが半径 $1$ の球面 $S$ に接する」という条件を完全に満たしている。したがって、求める正四面体 $T$ はこの $T'$ と合同であり、その1辺の長さは $2\sqrt{2}$ であると分かる。

続いて体積を求めるために、球の中心(原点 $\text{O}$)から $T$ の面までの距離 $d$ を求める。3点 $\text{B}, \text{C}, \text{D}$ を通る平面の方程式を $ax+by+cz+k=0$ と置く。3点の座標を代入すると、対称性から $x+y+z+1=0$ と求まる。

原点 $\text{O}(0,0,0)$ とこの平面の距離 $d$ は、点と平面の距離の公式より以下のようになる。

$$ d = \frac{|0 + 0 + 0 + 1|}{\sqrt{1^2 + 1^2 + 1^2}} = \frac{1}{\sqrt{3}} $$

球 $S$ の半径 $1$ に対して $d < 1$ であるから、正四面体の4つの面の外側に球欠がはみ出す。これら4つの球欠は互いに重ならないため、求める体積 $V$ は、平面からの距離が $\frac{1}{\sqrt{3}}$ 以上 $1$ 以下の部分の球欠の体積の $4$ 倍となる。

$$ V = 4 \times \int_{\frac{1}{\sqrt{3}}}^{1} \pi (1 - x^2) \, dx $$

この定積分を計算すると解法1と同様に $\frac{18 - 8\sqrt{3}}{27}\pi$ となるため、全体の体積は以下のようになる。

$$ V = \frac{72 - 32\sqrt{3}}{27}\pi $$

解説

正四面体の計量に関する問題である。辺に接する球(稜接球)の中心が、正四面体の重心と一致するという対称性を見抜くことが出発点となる。

解法2で示した「正四面体を立方体に埋め込む」という手法は、空間図形を扱う上で非常に強力なテクニックである。1辺が $2$ の立方体から1辺が $2\sqrt{2}$ の正四面体が切り出せることや、その重心が原点に一致することを知識として持っておくと、複雑な幾何の計算をショートカットして、点と平面の距離の公式などの代数的な処理に持ち込むことができる。

また、後半の体積計算では、「はみ出した4つの球欠が互いに重ならないか」という確認を怠らないことが重要である。球が辺に接している(辺を突き抜けない)という事実から、球欠同士は接点のみで触れ合い、体積計算において単純な足し算が成立することが保証される。

答え

$T$ の1辺の長さは $2\sqrt{2}$ である。

体積は $\frac{72 - 32\sqrt{3}}{27}\pi$ である。

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