トップ 東京大学 1981年 理系 第6問

東京大学 1981年 理系 第6問 解説

数学2/式と証明数学2/積分法数学1/二次関数テーマ/場合分けテーマ/最大・最小
東京大学 1981年 理系 第6問 解説

方針・初手

(1) は条件(イ)と(ロ)から係数 $c, d$ を $a, b$ で表し、(ハ)の絶対値を含む不等式に代入する。絶対値を外すために定義域を $-1 \leqq x \leqq 0$ と $0 \leqq x \leqq 1$ に分け、それぞれの区間で不等式が常に成立する条件を求める。その際、二次関数のグラフの凹凸と軸の位置関係に注意して場合分けを行う。 (2) は定積分を $a, b$ の式として計算する。積分区間が対称であることを利用して奇数次数の項を消去し、(1)で求めた領域における最小値を平方完成の形から求める。

解法1

(1)

条件(イ) $f(-1) = 0$、(ロ) $f(1) = 0$ より、

$$ \begin{cases} -a + b - c + d = 0 \\ a + b + c + d = 0 \end{cases} $$

2式の和と差をとることで、

$$ 2b + 2d = 0 \iff d = -b $$

$$ 2a + 2c = 0 \iff c = -a $$

これらを $f(x)$ に代入すると、

$$ f(x) = ax^3 + bx^2 - ax - b = a(x^3 - x) + b(x^2 - 1) = (ax+b)(x^2 - 1) $$

$$ f(x) = (ax+b)(x+1)(x-1) $$

となる。

次に、条件(ハ) $|x| \leqq 1$ のとき $f(x) \geqq 1 - |x|$ について考える。 絶対値を外すため、2つの区間に分けて不等式を整理する。

(i) $-1 \leqq x \leqq 0$ のとき

$1 - |x| = 1 + x$ であるから、不等式は

$$ (ax+b)(x+1)(x-1) \geqq x + 1 $$

となる。$x + 1 \geqq 0$ であるため、$x = -1$ のときは $0 \geqq 0$ となり成立する。 $-1 < x \leqq 0$ のとき、両辺を $x + 1$ ($>0$)で割って整理すると、

$$ (ax+b)(x-1) \geqq 1 $$

$$ ax^2 + (b-a)x - b - 1 \geqq 0 $$

$g_1(x) = ax^2 + (b-a)x - b - 1$ とおき、$-1 \leqq x \leqq 0$ で常に $g_1(x) \geqq 0$ となる条件を $a$ の符号で場合分けして調べる。

以上をまとめると、(i) の区間で成り立つための条件は、

$$ b \leqq -1 \quad \text{かつ} \quad b \leqq a - \frac{1}{2} $$

となる。($a \geqq 0, b \leqq -1$ のときは自動的に $b \leqq a - 1/2$ を満たすため、このように一つにまとめられる)

(ii) $0 \leqq x \leqq 1$ のとき

$1 - |x| = 1 - x$ であるから、不等式は

$$ (ax+b)(x+1)(x-1) \geqq -(x - 1) $$

となる。$x - 1 \leqq 0$ であるため、$x = 1$ のときは $0 \geqq 0$ となり成立する。 $0 \leqq x < 1$ のとき、両辺を $x - 1$ ($<0$)で割ると不等号の向きが変わり、

$$ (ax+b)(x+1) \leqq -1 $$

$$ ax^2 + (a+b)x + b + 1 \leqq 0 $$

$g_2(x) = ax^2 + (a+b)x + b + 1$ とおき、$0 \leqq x \leqq 1$ で常に $g_2(x) \leqq 0$ となる条件を調べる。

以上をまとめると、(ii) の区間で成り立つための条件は、

$$ b \leqq -1 \quad \text{かつ} \quad b \leqq -a - \frac{1}{2} $$

となる。($a \leqq 0, b \leqq -1$ のときは自動的に $b \leqq -a - 1/2$ を満たす)

(i), (ii) より、求める条件は以下のすべてを満たすことである。

$$ \begin{cases} c = -a \\ d = -b \\ b \leqq -1 \\ b \leqq a - \frac{1}{2} \\ b \leqq -a - \frac{1}{2} \end{cases} $$

(2)

(1)より、$f(x) = ax^3 + bx^2 - ax - b$ である。

$$ f'(x) = 3ax^2 + 2bx - a $$

よって、

$$ f'(x) - x = 3ax^2 + (2b - 1)x - a $$

となる。これを2乗して展開すると、

$$ \{f'(x) - x\}^2 = 9a^2x^4 + 6a(2b-1)x^3 + \{(2b-1)^2 - 6a^2\}x^2 - 2a(2b-1)x + a^2 $$

積分区間 $[-1, 1]$ は原点に関して対称であるため、奇数次数の項($x^3, x$)の定積分は $0$ となる。また、偶数次数の項の定積分は $[0, 1]$ の積分の2倍になる。

$$ \int_{-1}^1 \{f'(x) - x\}^2 dx = 2 \int_0^1 \left[ 9a^2x^4 + \{(2b-1)^2 - 6a^2\}x^2 + a^2 \right] dx $$

$$ = 2 \left[ \frac{9}{5}a^2x^5 + \frac{(2b-1)^2 - 6a^2}{3}x^3 + a^2x \right]_0^1 $$

$$ = 2 \left( \frac{9}{5}a^2 + \frac{(2b-1)^2 - 6a^2}{3} + a^2 \right) $$

$$ = 2 \left( \frac{9}{5}a^2 - 2a^2 + a^2 + \frac{1}{3}(2b-1)^2 \right) $$

$$ = 2 \left( \frac{4}{5}a^2 + \frac{1}{3}(2b-1)^2 \right) = \frac{8}{5}a^2 + \frac{2}{3}(2b-1)^2 $$

この値を $I$ とおく。 (1)の条件のもとで $I$ を最小にする $a, b$ を求める。 $a^2 \geqq 0$ であり、等号は $a=0$ のとき成立する。 また、条件 $b \leqq -1$ より $2b - 1 \leqq -3$ であるため、

$$ (2b - 1)^2 \geqq (-3)^2 = 9 $$

であり、等号は $b = -1$ のとき成立する。 したがって、$I$ は $a = 0, b = -1$ のときに最小となる可能性がある。

このとき、(1)の残りの条件を満たすか確認する。 $b \leqq a - \frac{1}{2}$ については、$-1 \leqq 0 - \frac{1}{2}$ となり成立。 $b \leqq -a - \frac{1}{2}$ についても、$-1 \leqq 0 - \frac{1}{2}$ となり成立。 よって、$a = 0, b = -1$ は(1)のすべての条件を満たし、このとき $I$ は最小値をとる。

$a = 0, b = -1$ のとき、(1)より $c = 0, d = 1$ となる。 求める関数は

$$ f(x) = -x^2 + 1 $$

である。

解説

(1)の絶対値を含む不等式の処理が最大の山場である。定義域を分けて絶対値を外したのち、それぞれが区間内で「常に成立する条件」を求める。二次不等式が指定された区間で常に成り立つ条件は、グラフの凹凸($a$ の符号)と軸の位置によって場合分けするのが定石である。本問ではどの場合も両端点の条件または片方の端点の条件に帰着されるという特徴があり、最終的に条件式が扱いやすくまとまるようになっている。

(2)は積分の計算を工夫する問題である。奇関数の定積分が $0$ になることを利用し、偶数次数の項だけを抜き出して計算することで労力を大きく減らすことができる。計算結果の式 $\frac{8}{5}a^2 + \frac{2}{3}(2b-1)^2$ は $a$ と $b$ が独立に平方完成された形になっているため、(1)で求めた不等式領域と照らし合わせることで、直感的に最小値を与える組 $(a, b) = (0, -1)$ を見抜くことができる。

答え

(1)

$$ \begin{cases} c = -a \\ d = -b \\ b \leqq -1 \\ b \leqq a - \frac{1}{2} \\ b \leqq -a - \frac{1}{2} \end{cases} $$

(2)

$$ f(x) = -x^2 + 1 $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。