京都大学 2012年 理系 第3問 解説

方針・初手
条件式および最大・最小を求める目的式が、ともに $x$ と $y$ の対称式($x$ と $y$ を入れ替えても変わらない式)であることに着目する。このような問題では、基本対称式 $u = x+y,\ v = xy$ を用いてすべての式を書き換えるのが定石である。条件式から $v$ を $u$ の式で表し、目的式を $u$ だけの関数にする。このとき最も忘れやすいポイントが「$x, y$ は実数である」という条件から、置換した変数 $u$ のとりうる値の範囲(実数存在条件)を求めることである。これには判別式を用いる。
解法1
$u = x+y,\ v = xy$ とおく。条件式 $x^2 + xy + y^2 = 6$ は、
$$ (x+y)^2 - xy = 6 \implies u^2 - v = 6 $$
と表せる。これを変形して、
$$ v = u^2 - 6 \quad \cdots① $$
$x, y$ は実数であるから、これらを2つの解に持つ2次方程式 $t^2 - ut + v = 0$ は実数解を持たなければならない。判別式を $D$ とすると、
$$ D = u^2 - 4v \geqq 0 $$
これに① を代入すると、
$$ u^2 - 4(u^2 - 6) \geqq 0 \implies -3u^2 + 24 \geqq 0 \implies u^2 \leqq 8 $$
したがって、$u$ のとりうる値の範囲は
$$ -2\sqrt{2} \leqq u \leqq 2\sqrt{2} \quad \cdots② $$
次に、求める値を $K$ とおき、$u, v$ で表す。
$$ K = x^2y + xy^2 - x^2 - 2xy - y^2 + x + y $$
$$ = xy(x+y) - (x+y)^2 + (x+y) = uv - u^2 + u $$
これに① を代入して $u$ の関数 $f(u)$ とする。
$$ f(u) = u(u^2 - 6) - u^2 + u = u^3 - u^2 - 5u $$
定義域 ② における $f(u)$ の最大値と最小値を求める。
$$ f'(u) = 3u^2 - 2u - 5 = (3u-5)(u+1) $$
$f'(u) = 0$ となるのは $u = -1,\ \dfrac{5}{3}$ のときであり、いずれも定義域内に含まれる。
増減表:
| $u$ | $-2\sqrt{2}$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ | $\dfrac{5}{3}$ | $\cdots$ | $2\sqrt{2}$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $f'(u)$ | $+$ | $0$ | $-$ | $0$ | $+$ | ||
| $f(u)$ | $-8-6\sqrt{2}$ | $\nearrow$ | $3$ | $\searrow$ | $-\dfrac{175}{27}$ | $\nearrow$ | $-8+6\sqrt{2}$ |
各点の値:
$$ f(-2\sqrt{2}) = -16\sqrt{2} - 8 + 10\sqrt{2} = -8 - 6\sqrt{2} $$
$$ f(-1) = -1 - 1 + 5 = 3 $$
$$ f\!\left(\frac{5}{3}\right) = \frac{125}{27} - \frac{25}{9} - \frac{25}{3} = \frac{125 - 75 - 225}{27} = -\frac{175}{27} $$
$$ f(2\sqrt{2}) = 16\sqrt{2} - 8 - 10\sqrt{2} = -8 + 6\sqrt{2} $$
最大値の比較:
$6\sqrt{2} = \sqrt{72} < \sqrt{81} = 9$ より $-8 + 6\sqrt{2} < 1 < 3$ であるから、最大値は $f(-1) = 3$。
最小値の比較:
$\sqrt{72} > \sqrt{64} = 8$ より $-8 - 6\sqrt{2} < -16$、一方 $-\dfrac{175}{27} \approx -6.48$ であるから、最小値は $f(-2\sqrt{2}) = -8 - 6\sqrt{2}$。
解説
対称式の扱いに関する典型問題である。「① 基本対称式 $u, v$ で置換する」「② 判別式から実数存在条件($u$ の定義域)を求める」「③ 1変数の関数として微分し、最大・最小を求める」という3ステップを踏む。
ステップ② の「実数存在条件の確認」を忘れると、増減表の端点が定まらずに誤った答えを導いてしまうため、絶対に忘れないようにしたい。また、増減表を書いた後の極値と端点の大小比較では、無理数と有理数の大小関係を $\sqrt{72}$ と $\sqrt{81}$ を比べるなどして正確に論証すること。
答え
$$ -8 - 6\sqrt{2} \leqq K \leqq 3 $$
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