数学2 微分の基本 問題 3 解説

方針・初手
微分係数の定義式 $f'(a) = \lim_{x \to a} \frac{f(x) - f(a)}{x - a}$ を作り出すように式を変形する。
分子に都合の良い項を足し引きすることで、微分係数の定義式を含む項とそれ以外の極限が容易に求まる項に分離するのが定石である。
また、分母が $x^2 - a^2 = (x - a)(x + a)$ と因数分解できることに着目する。極限を計算する過程で分母に $x + a$ が残り、これが $a=0$ のときに $0$ に収束して不都合が生じるため、$a \neq 0$ と $a = 0$ で場合分けを行う。
解法1
(i) $a \neq 0$ のとき
分子に $-a^2 f(x) + a^2 f(x)$ を補って変形する。
$$ \frac{x^2 f(x) - a^2 f(a)}{x^2 - a^2} = \frac{x^2 f(x) - a^2 f(x) + a^2 f(x) - a^2 f(a)}{x^2 - a^2} $$
$$ = \frac{f(x)(x^2 - a^2) + a^2(f(x) - f(a))}{x^2 - a^2} $$
$$ = f(x) + a^2 \frac{f(x) - f(a)}{x - a} \cdot \frac{1}{x + a} $$
ここで $x \to a$ の極限をとる。 関数 $f(x)$ は $x=a$ で微分可能であるから連続であり、$\lim_{x \to a} f(x) = f(a)$ が成り立つ。 また、微分係数の定義より $\lim_{x \to a} \frac{f(x) - f(a)}{x - a} = f'(a)$ である。 $a \neq 0$ であるから、$\lim_{x \to a} \frac{1}{x + a} = \frac{1}{2a}$ となる。
したがって、求める極限は以下のようになる。
$$ \lim_{x \to a} \frac{x^2 f(x) - a^2 f(a)}{x^2 - a^2} = \lim_{x \to a} \left\{ f(x) + a^2 \frac{f(x) - f(a)}{x - a} \cdot \frac{1}{x + a} \right\} $$
$$ = f(a) + a^2 \cdot f'(a) \cdot \frac{1}{2a} $$
$$ = f(a) + \frac{a}{2} f'(a) $$
(ii) $a = 0$ のとき
与えられた式に $a = 0$ を代入すると、以下のようになる。
$$ \lim_{x \to 0} \frac{x^2 f(x) - 0^2 \cdot f(0)}{x^2 - 0^2} = \lim_{x \to 0} \frac{x^2 f(x)}{x^2} $$
$x \to 0$ の極限を考えるため $x \neq 0$ としてよく、分母分子を $x^2$ で約分できる。
$$ \lim_{x \to 0} f(x) $$
関数 $f(x)$ は $x=0$ で連続であるから、以下の極限値をもつ。
$$ \lim_{x \to 0} f(x) = f(0) $$
これは、(i) で得られた結果 $f(a) + \frac{a}{2} f'(a)$ に $a=0$ を代入した値 $f(0) + 0 \cdot f'(0) = f(0)$ と一致する。
以上より、すべての実数 $a$ について求める極限値は $f(a) + \frac{a}{2} f'(a)$ である。
解法2
分子に $-x^2 f(a) + x^2 f(a)$ を補って変形する方針をとる。
(i) $a \neq 0$ のとき
$$ \frac{x^2 f(x) - a^2 f(a)}{x^2 - a^2} = \frac{x^2 f(x) - x^2 f(a) + x^2 f(a) - a^2 f(a)}{x^2 - a^2} $$
$$ = \frac{x^2(f(x) - f(a)) + f(a)(x^2 - a^2)}{x^2 - a^2} $$
$$ = x^2 \cdot \frac{f(x) - f(a)}{x - a} \cdot \frac{1}{x + a} + f(a) $$
解法1と同様に $x \to a$ の極限をとる。$a \neq 0$ であることに注意する。
$$ \lim_{x \to a} \left\{ x^2 \cdot \frac{f(x) - f(a)}{x - a} \cdot \frac{1}{x + a} + f(a) \right\} $$
$$ = a^2 \cdot f'(a) \cdot \frac{1}{2a} + f(a) $$
$$ = f(a) + \frac{a}{2} f'(a) $$
(ii) $a = 0$ のとき
解法1と同様に、与式は $\lim_{x \to 0} f(x)$ となり、関数 $f(x)$ の $x=0$ での連続性から $f(0)$ となる。これは (i) の結果と一致する。
解法3
関数全体を新しい関数として置き換える方針をとる。
$F(x) = x^2 f(x)$ とおく。 積の微分法より、$F'(x) = 2x f(x) + x^2 f'(x)$ である。 与えられた極限の式は、関数 $F(x)$ を用いて以下のように表せる。
$$ \lim_{x \to a} \frac{F(x) - F(a)}{x^2 - a^2} $$
(i) $a \neq 0$ のとき
$$ \lim_{x \to a} \frac{F(x) - F(a)}{x^2 - a^2} = \lim_{x \to a} \frac{F(x) - F(a)}{x - a} \cdot \frac{1}{x + a} $$
$$ = F'(a) \cdot \frac{1}{2a} $$
ここで $F'(a) = 2a f(a) + a^2 f'(a)$ を代入する。
$$ = \frac{2a f(a) + a^2 f'(a)}{2a} $$
$$ = f(a) + \frac{a}{2} f'(a) $$
(ii) $a = 0$ のとき
解法1と同様に、与式は $\lim_{x \to 0} \frac{x^2 f(x)}{x^2} = \lim_{x \to 0} f(x)$ となり、$f(0)$ に収束する。これも (i) の結果に $a=0$ を代入したものと一致する。
解説
- 微分係数の定義式 $f'(a) = \lim_{x \to a} \frac{f(x) - f(a)}{x - a}$ をいかにして作り出すかがポイントとなる典型問題である。
- そのために「引いて足す」というテクニックが非常に有効である。定数として $f(x)$ 側か $f(a)$ 側のどちらかに合わせて項を補い、共通因数でくくることで形を整えることができる。
- 解法3のように、分子の関数をまるごと新しい関数と置き直して微分係数の定義そのものに帰着させる手法も、見通しが良く汎用性が高い。
- 途中で $\frac{1}{x+a}$ の極限をとる際、分母が $0$ になる可能性への配慮として、$a=0$ の場合分けを記述できると論理的に抜けのない解答となる。
答え
$f(a) + \frac{a}{2} f'(a)$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





