数学2 微分の基本 問題 6 解説

方針・初手
- 与えられた不等式の右辺が、点 $(y, f(y))$ と点 $(a, f(a))$ を結ぶ線分上の点の $y$ 座標を表していることに着目する。
- 不等式を整理して平均変化率(傾き)の比較に持ち込み、平均値の定理を適用して微分の増減を調べる方針(解法1)か、差の関数を定義して微分の増減を調べる方針(解法2)をとる。
解法1
与えられた不等式
$$ f(x) > \frac{(x-y)f(a) + (a-x)f(y)}{a-y} $$
の両辺に $a-y \ (>0)$ を掛けて整理する。
$$ (a-y)f(x) > (x-y)f(a) + (a-x)f(y) $$
左辺の $a-y$ を $(a-x) + (x-y)$ に分割すると、
$$ \{ (a-x) + (x-y) \} f(x) > (x-y)f(a) + (a-x)f(y) $$
$$ (a-x) \{ f(x) - f(y) \} > (x-y) \{ f(a) - f(x) \} $$
$y < x < a$ より $a-x > 0$ かつ $x-y > 0$ であるから、両辺を $(a-x)(x-y)$ で割ると、
$$ \frac{f(x) - f(y)}{x - y} > \frac{f(a) - f(x)}{a - x} $$
となる。 関数 $f(x) = x^3 + 3x^2 - 9x$ はすべての実数で微分可能であり、導関数は $f'(x) = 3x^2 + 6x - 9$ である。 区間 $[y, x]$ および $[x, a]$ において平均値の定理を用いると、
$$ \frac{f(x) - f(y)}{x - y} = f'(c_1) \quad (y < c_1 < x) $$
$$ \frac{f(a) - f(x)}{a - x} = f'(c_2) \quad (x < c_2 < a) $$
を満たす実数 $c_1, c_2$ が存在する。 よって、示すべき不等式は $f'(c_1) > f'(c_2)$ となる。 これが $y < x < a$ を満たすすべての $x, y$ に対して、すなわち $c_1 < c_2$ を満たす任意の $c_1, c_2$ について成り立つような $a$ の条件を求める。
導関数を平方完成すると、
$$ f'(t) = 3(t+1)^2 - 12 $$
となり、$y = f'(t)$ のグラフは軸が $t = -1$ の下に凸の放物線である。
(i) $a \le -1$ のとき
$c_1 < c_2 < a \le -1$ であるから、$f'(t)$ は区間 $(-\infty, -1]$ において単調減少している。 したがって $c_1 < c_2$ より $f'(c_1) > f'(c_2)$ が常に成り立ち、条件を満たす。
(ii) $a > -1$ のとき
$y$ を $-1 \le y < a$ を満たすようにとることができる。 このとき、$-1 \le y < c_1 < c_2 < a$ となり、$f'(t)$ はこの区間において単調増加している。 したがって $f'(c_1) < f'(c_2)$ となり、不等式の向きが逆になるため、条件を満たさない。
以上より、求める $a$ の範囲は $a \le -1$ である。
解法2
差の関数 $g(x) = f(x) - \frac{(x-y)f(a) + (a-x)f(y)}{a-y}$ とおく。 求める条件は、$y < x < a$ を満たすすべての $x, y$ に対して $g(x) > 0$ が成り立つことである。 $g(x)$ を $x$ について微分すると、
$$ g'(x) = f'(x) - \frac{f(a) - f(y)}{a - y} $$
$$ g''(x) = f''(x) = 6x + 6 $$
(i) $a \le -1$ のとき
$y < x < a \le -1$ において、$g''(x) = 6(x+1) < 0$ であるから、$g'(x)$ は区間 $(y, a)$ において単調減少する。 また、$x=y, a$ を代入すると明らかなように、$g(y) = 0$ および $g(a) = 0$ である。 平均値の定理(またはロルの定理)より、$g'(c) = 0$ となる $c \ (y < c < a)$ が存在する。 $g'(x)$ は単調減少であるから、$y < x < c$ において $g'(x) > 0$、$c < x < a$ において $g'(x) < 0$ となる。 したがって $g(x)$ は $x=c$ で極大かつ最大となり、$g(y)=g(a)=0$ より $y < x < a$ において $g(x) > 0$ が成り立つ。
(ii) $a > -1$ のとき
ある $y$ に対して $g(x) \le 0$ となる $x$ が存在することを示せばよい。 $a > -1$ であるから、$-1 < y < a$ となるように $y$ を一つ固定する。 このとき、$y < x < a$ において $g''(x) = 6(x+1) > 0$ であるから、$g'(x)$ は区間 $(y, a)$ において単調増加する。 $g(y) = g(a) = 0$ とロルの定理より、$g'(d) = 0$ となる $d \ (y < d < a)$ が存在する。 $g'(x)$ の符号は $x=d$ の前後で負から正に変わるため、$g(x)$ は $x=d$ で極小かつ負の値をとる。 よって $y < x < a$ において $g(x) < 0$ となる区間が存在し、すべての $x$ に対して $g(x) > 0$ とはならない。
以上より、求める $a$ の範囲は $a \le -1$ である。
解説
- 本問は「関数のグラフと弦の上下関係」から関数の凸性を問う問題である。
- 不等式を変形して平均値の定理を用い、$f'(x)$ の増減に帰着させる手法(解法1)は、微分積分における不等式証明の典型である。
- 不等式の右辺が2点を結ぶ直線の方程式であることを読み取り、差の関数を設定して微分によりグラフの概形を調べる手法(解法2)も自然なアプローチである。グラフが「上に凸」であることを数式的に処理する力が問われている。
答え
$a \le -1$
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