数学2 最大最小・解の個数 問題 4 解説

方針・初手
- (1) は、$x$ と $\frac{1}{x}$ の和のとりうる値を求める。相加平均・相乗平均の大小関係を用いる方法か、$x+\frac{1}{x}=k$ とおいて $x$ の2次方程式が実数解をもつ条件として処理する方法が考えられる。
- (2) は、対称式の変形を用いる。$t = x+\frac{1}{x}$ とおいて与式を $t$ の関数として表し、(1) で求めた $t$ の定義域における値域を微分法を用いて調べる。
解法1
(1)
$x > 0$ のとき、相加平均と相乗平均の大小関係より
$$x + \frac{1}{x} \geqq 2\sqrt{x \cdot \frac{1}{x}} = 2$$
等号は $x = \frac{1}{x}$ かつ $x > 0$、すなわち $x = 1$ のとき成り立つ。
$x < 0$ のとき、$-x > 0$ かつ $-\frac{1}{x} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より
$$(-x) + \left(-\frac{1}{x}\right) \geqq 2\sqrt{(-x) \cdot \left(-\frac{1}{x}\right)} = 2$$
両辺に $-1$ をかけて
$$x + \frac{1}{x} \leqq -2$$
等号は $-x = -\frac{1}{x}$ かつ $x < 0$、すなわち $x = -1$ のとき成り立つ。
以上より、求める範囲は $x + \frac{1}{x} \leqq -2, \ 2 \leqq x + \frac{1}{x}$ である。
(2)
与式を $y$ とおく。
$t = x + \frac{1}{x}$ とおくと、(1) より $t$ のとりうる値の範囲は $t \leqq -2, \ 2 \leqq t$ である。
$y$ を変形すると
$$y = \left(x^3 + \frac{1}{x^3}\right) - \left(x^2 + \frac{1}{x^2}\right) + \left(x + \frac{1}{x}\right)$$
ここで
$$x^2 + \frac{1}{x^2} = \left(x + \frac{1}{x}\right)^2 - 2 = t^2 - 2$$
$$x^3 + \frac{1}{x^3} = \left(x + \frac{1}{x}\right)^3 - 3x \cdot \frac{1}{x}\left(x + \frac{1}{x}\right) = t^3 - 3t$$
これらを代入して $y$ を $t$ で表すと
$$\begin{aligned} y &= (t^3 - 3t) - (t^2 - 2) + t \\ &= t^3 - t^2 - 2t + 2 \end{aligned}$$
これを $f(t) = t^3 - t^2 - 2t + 2$ とおく。この $f(t)$ について、$t \leqq -2, \ 2 \leqq t$ における値の範囲を求める。
$f(t)$ を $t$ で微分すると
$$f'(t) = 3t^2 - 2t - 2$$
$f'(t) = 0$ とすると、$t = \frac{1 \pm \sqrt{7}}{3}$ である。
$2 < \sqrt{7} < 3$ より、$-1 < 1 - \sqrt{7} < 0$ および $3 < 1 + \sqrt{7} < 4$ であるから
$$-1 < \frac{1 - \sqrt{7}}{3} < 0, \ 1 < \frac{1 + \sqrt{7}}{3} < \frac{4}{3}$$
となる。
したがって、$t \leqq -2$ および $2 \leqq t$ の範囲においてつねに $f'(t) > 0$ であり、$f(t)$ は単調に増加する。
$t = -2$ のとき
$$f(-2) = (-2)^3 - (-2)^2 - 2(-2) + 2 = -8 - 4 + 4 + 2 = -6$$
$t = 2$ のとき
$$f(2) = 2^3 - 2^2 - 2(2) + 2 = 8 - 4 - 4 + 2 = 2$$
また、$t \to -\infty$ のとき $f(t) \to -\infty$、$t \to \infty$ のとき $f(t) \to \infty$ である。
以上より、$f(t)$、すなわち与式のとりうる値の範囲は $y \leqq -6, \ 2 \leqq y$ である。
解法2
(1) の別解
$x + \frac{1}{x} = k$ とおく。
$x \neq 0$ であるから、両辺に $x$ をかけて整理すると
$$x^2 - kx + 1 = 0$$
これが $x \neq 0$ なる実数解をもつような実数 $k$ の範囲を求めればよい。
$x = 0$ とすると左辺は $1 \neq 0$ となるため、$x = 0$ はこの方程式の解ではない。よって、この $x$ についての2次方程式が実数解をもつ条件を考えれば十分である。
判別式を $D$ とすると、$D \geqq 0$ より
$$D = (-k)^2 - 4 \cdot 1 \cdot 1 = k^2 - 4 \geqq 0$$
$$(k - 2)(k + 2) \geqq 0$$
$$k \leqq -2, \ 2 \leqq k$$
したがって、求める範囲は $x + \frac{1}{x} \leqq -2, \ 2 \leqq x + \frac{1}{x}$ である。
解説
- (1) は、$x$ の符号による場合分けをして相加平均・相乗平均の大小関係を用いるのが典型である。実数解の条件(判別式)に帰着させる解法2も、場合分けが不要で見通しがよいため実戦的である。
- (2) は、対称式の基本定理に基づく頻出問題である。$x+\frac{1}{x}$ をひとつの変数 $t$ とおき、$t$ の多項式に帰着させる。その際、(1) で求めた $t$ の変域における値域を調べることを忘れないようにしたい。
- 3次関数の増減を調べる際、極値をとる $t$ の値が定義域($t \leqq -2, \ 2 \leqq t$)に含まれないことを適切に評価することが論証のポイントとなる。
答え
(1) $x + \frac{1}{x} \leqq -2, \ 2 \leqq x + \frac{1}{x}$
(2) $-6$ 以下、または $2$ 以上
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